16話「ロリに100億円を貢いだが、俺はロリコンではない②~ロリに真珠~」

(ネタバレver)

http://suliruku.blogspot.jp/2017/01/1600.html



気絶した銀バッジの不良少年を、店の外へにある排気ダクトにキャッチ&リリースした俺達はネココさんの店に戻ってきた。

ネココさんは素晴らしい猫耳美少女で、縦に長い紅い猫耳がピョコピョコと動いて可愛らしいと思うのだが……サングラスを着用しているから、いまいち、猫娘の良さとか魅力が伝わってこない。

ネココさんの声は猫っぽい感じに甘ったるいのに、サングラスが台無しにしているように思える……まぁ、この悪徳都市で美少女ってのは、悪者が殺到してくる地雷属性だし、仕方ないのだが。


「わかるんだねー、トモヤさんは良いお客さんなんだねー」


「今日は武器を買いにきた。コイツに合いそうな武器はあるか?」


俺は白真珠を指し示した。彼女は高級そうな武器の数々に目眩がして少し足元がフラフラしている。ネココはそんな白真珠の紅い目を見つめながら話しかけた。


「どんな武器も訓練次第なんだよー。でも、その娘は小さいのに凄い魔力だねー、少し質問してもいいー?」


「は、はいっ!」白真珠が元気に返事した。


「そのセーラー服はやめといた方がいいんだよー。短いスカートがヒラヒラすると男の冒険者がパンチラを気にして戦えなくなるからねー。

この黒いドレスとかオススメなんだよー。スカートが風の抵抗を受けない謎構造なんだねーわかるよー。

だからとっても走りやすくて、戦闘の妨げにならなくて得だよーわかってねー」


「まぁ……いくらなんでしょうか?」


「仕入れ値は5万ゴールドアップルなんだよー。頑丈な武器を作る事で有名な武器職人ジョン・スミスから買ったんだよー。不良を倒してくれたお礼に、仕入れ値で売ってあげるんだねー」


「えーと、1万ゴールドアップルが1億円だから……ご、五億円!?た、高すぎます!」


「軽くて丈夫で、破けても壊れても、周りから魔力や感情を吸収して自己修復する素材だよー。わかるねー?」


ネココのセリフは、この黒いドレスは魔族と似たような素材で出来た衣服だと告げているようなものだが、まぁ良いだろう。俺達は敵対する魂的な存在を魔族、友好的に接してくる奴を精霊とか神とか呼んでいるだけで、魔族と精霊に大した違いは存在しないのだ。

それにハイテク機械が魔法のせいでぶっ壊れやすいダンジョン世界では、アナログな機械や、魔力装備の方が信頼性が高いのである。

ミサイルとか航空機の類も、ダンジョン世界の偽の空にぶつかって、食の神に捕食されるリスクがあるし、地球の兵器の仕様だと運用し辛いのだ。

白真珠は5億円の黒いドレスを持って、俺を物欲しそうな目で見つめてくる。幼くて微笑ましくて可愛いなぁと思った。だから俺は意地悪そうに問いかけた。


「……白真珠、どうしたんだ?」


「あの……お師様?さすがに高い金額だから駄目ですよね……5億円もあったら豪邸を建設できますし……」


「買ってやるぞ、俺の財布を舐めるな……いや財布に5億円も入らんが電子マネー払いなら買えるぞ」


「こ、これを買ってくれるんですか!?5億円ですよ!?」


「うむ、利子は月に5%な」


「え?借金なんですか!?ロリに小判な状態だと思ったのに酷い!?」


「生存率が上がるんだから買っておけ。死んだり怪我しない方が一番大事だぞ」


「……僕、返せる自信ないですよ?ゴブリンを5万匹くらい狩らないと駄目ですし……というか、美味しくてドロップするゴールドアップル食べちゃいますし……」


「大丈夫だ、冒険者の仕事は儲かる。特に利権が集中するここら辺には、世界中の膨大な金が流れ込んでいるんだぞ?

この悪徳都市で有名な諺にも『ダンジョンには財宝と女が埋まっている』ってセリフがあるくらい、べらぼうに儲かるんだ……その分、リスクも高いがな」


「ダンジョン学園のクエスト部が閉鎖中なんですけど稼げるんですか?」


「魔物を倒すと、食の神がプレゼントしてくれる食べ物とかあるだろう?あれを業者に売ればそこそこ儲かるぞ」


「さすがお師様です!僕に希望を与えてくれるなんて……そう、これは噂に聞く預言者っぽい行動です!確か名前はイエス・ロリータでしたっけ?」


「イエス・キリストがロリコン扱いになっている!?」


「僕の脳内ソースでは、『あなた方の中で、ロリを汚したことのない者が最初の石を投げなさい』って言っていた人物だったと思います。きっと優しい人だったんですね」


「教皇庁とかキリスト世界の人が激怒するから、そのネタはやめるんだ!」


大変だ。この小さくて素直な娘が変な常識に染まっていたら大変だ。明らかに……俺が周りからロリコンだと勘違いされてしまいそうだ。ネココさんが俺を見る視線が――いやサングラスをしているから分からないが、好青年を見る視線から犯罪者を見る視線に変わってしまっているように思える。


「トモヤさんー武器もちょうど良いのがあるんだよーわかるんだねー。この小さいナイフは持ち運び便利で良いんだよー」


そう言ってネココさんがショウケースの一つから出したのは……手のひらに収まりそうな小さな水色のナイフだった……それを手にとった白真珠は不思議そうな顔をしている。


「これは……ちっちゃい?ロリに金棒ならぬ、ロリにナイフ?」


「魔力を通せばわかるんだよー。魔力武器は魔力を使わないと意味がないんだねー。日本製のRPGに『武器は装備しないと意味がないですぞ!』っていう有名なセリフがあるけど、それと似たようなものだよーわかるねー?」


「あ、氷の剣になった?」


白真珠が魔力を通した途端――ナイフの刃先に、魔法で出来た氷の刀身が生成された。刃渡りは1mほどで魔力を注ぎ込めば込むほど、大きな刀身が生成される仕組みのようだ。

……うむむ、近接戦闘オンリーな武器だったらどうしよう。遠距離攻撃できる仕様だったら嬉しいのだが。


「その刃は魔力で出来た氷なんだよー。その剣は氷で壁を作ったり、相手を凍らせたり、氷の弾丸を降らせたり、応用が効いて便利な道具なんだねーわかるよー。

この武器も感情と魔力の両方を食べて燃費が良いんだねー。魔族に斬りつければ、厄介な空間転移を防げて戦いやすいんだよー」


「それは凄そうですね!」


「でも、道具を持っている術者の周りにしか、氷を作れないから……魔法と比べれば応用の幅が狭いし遠距離戦は不向きなんだよー。ネココとしては魔法を素直に学んで、その剣は補助武器として運用した方が良いと思うねーわかるよー」


「ま、魔法……?難しい漢字が読めない僕に、そういう方法での強化ルートはちょっと……あと、値段は……やっぱり高いですよね?」


「たったの100億円でお得なんだよー。もしくは100万ゴールドアップルなんだねー」


「あれ?さっきの不良さんに50万ゴールドアップルって言ってませんでしたっけ?」


「あれは仕入れ値なんだよー。販売する時の値段は仕入れ値の二倍設定にしないと倒産しちゃうから仕方ないんだねーわかってよー。悪徳都市は税金関連だけはしっかりしているんだねー」


「ぼ、僕の世界が崩壊しちゃう!?100億円ってどんな価値なんですか!?美味い棒が10億個も買えますよ!」


「安いんだねー。スライム・サンを狩り放題なんだよー。主力戦車より高いけど魔力武器にはそれだけの価値があるんだねー」


「あ、あの、お師様?」


またもや愛しき吸血姫が俺の顔を伺ってきた。どうやら俺の財布ならぬ、俺の銀行預金が気になるらしい。

小さなレディーを安心させるために、俺は即座に返答した。


「金なら貸すぞ」


「どれだけ大金を持っているんですか?!100億円って大金を通り越した凄すぎる金額ですよね!?」


驚きまくって新鮮な反応を見せる白真珠。俺は彼女の耳に口を近づけて、小さな声でボソボソッと――


「これはほかの奴に言うなよ……実は色んな魔法を開発しすぎたから……その特許で貯金がたくさんあるのだ。もう石油王がオイルを売ってドバドバ儲けていた旧時代のように……金が湧きまくってる」


「お師様は超大金持ち……?やだ、素敵すぎて僕の胸がドキドキしちゃう……金に恋しているのかな……。お師様と結婚したら金に困らない生活が待ってたり……?」


なんて事だ。大金は人を変えるというが……白真珠が俺の魅力ではなく、財産にメロメロになってしまった。

ああ、そうだ、忘れていた。これは偉大な近江商人が言っていたセリフなのだが――『どれだけ儲けたか自慢するのは死亡フラグ、だから黙れカトンボがっ!』

意味は……人はお金でコロコロと心を変える生き物であり、儲けたと分かると、他の連中に嫉妬とか色んな感情を植え付けてトラブルを増やしてしまうという意味なのだ。

白真珠のような幼い娘に、大金の話をしてしまうのは失敗だったかもしれない。目をキラキラと輝かせて、俺を熱っぽい視線で見つめてくる。


「お師様っ!一生のお願いがあります!」


「……な、なんだ?」


「僕をセレブにしてください!」


「せめて、もう少し育ってからにしろ!?セレブの意味がわかっているのか!?現状だと、ただの借金小娘だぞ!?」


「セレブってどんな意味なのかわかりませんけど、金持ちの女って意味ですよね!たぶんっ!」


うむむ……白真珠は目に入れたくなるくらいに可愛い娘だ。だが残念な事に俺はロリコンではないのだ。どれだけ胸が大きくてエロ可愛いロリ娘だろうと、俺の鋼鉄の意思は揺るがない。

昨日出会ったエルフ娘のようなダイナマイト・エロエロボディーでもない限り、俺の性欲が暴走してロリの荒野を駆け巡る事はないのだ。


「お買い上げありがとうなんだねー。その剣の名前は『魔氷剣』って言うんだけど大事にして欲しいだよーわかるねー?」


~~~~~~


早速、武器屋の着替えコーナーで白真珠は黒いドレスを着用した。黒とは高貴な色と言われているが、確かにそうだ。

白真珠のように妖精みたいに可憐な娘が着ると、良家ですくすくと育てられたお嬢様のように見えてくる。

スカートの丈が長いおかげで縞々パンティーが、他の男たちに見られる心配がない事も大きな利点だ。青と白の縞々が織り成す奇跡パンティーを見て良いのは、俺だけで良い。そう思える。


「これ空気みたいに軽いですよ!まるで裸の王様になったような気分です!全裸の時みたいにスースーして防寒性能がきっとゼロです!」


白真珠が一回転する。長いスカートがフワリッと舞っていた……はて?風の抵抗を受けないドレスだと聞いたのだが、なぜ舞っているのだろうか?魔族と似たような素材で出来ているなら……これは魂だけの存在に近い代物なのだろう。物理攻撃完全無効すぎる代物なはずだ。

……ああ、そうか。人間の身体には魂があり、白真珠の魂の動きに合わせて、スカートがヒラヒラして可愛く動いているのか。

それにしても、この長いスカートがフワリッと動く様に感動すら覚える。かつてのイギリスでメイドさんに手を出しまくった金持ちがたくさんいるそうだが、その気持ちが理解できたぞ。うむ。

ロリコンではないが……目の前にいる銀髪ロリ娘が犯罪的なくらい可愛いって事は認めてやろうと思う。


「お師様っ!どうですか?」


「……す、凄く可愛い」


「これがロリに真珠って奴ですね!」


「どういう意味だ……?」


「小さくて可愛い娘は、着飾るともっと可愛くなるって意味です!」


「お、おう……」


ダメだ、俺。よく考えたら小さい娘に100億円も貢いでしまった。

いや、信頼できる相棒を買える値段と考えれば安い安い……おや?ネココさんが俺にこっそりと何かを渡してきたぞ?まさかラブレターだろうか?


「これはサービスなんだよーわかってねー。幾らなんでも、この年で子育ては大変すぎるんだよー」


……渡されたのは避妊用のコンドームだった。しかも、甘いミルク味。

どうしてコンドームに味を付けるのか分かったぞ。ペロペロさせるためだな、うむ


ーー



(ノ゚ω゚)(ノ゚ω゚) コンドームネタを何回使うんだ!


(´・ω・`)コンドームを活躍させたいパルメ。

ゴム手袋とか、事件現場の調査時に便利そう


(ノ゚ω゚)(ノ゚ω゚) そんな伏線はいやだ!?



『あなた方の中で、ロリを汚したことのない者が最初の石を投げなさい』

※意味:ロリコン死すべし時がきたのだ。●オウっー!

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