7話「ロリと寝てしまったが、俺はロリコンではない⑦-1万円ショップ-」



俺と白真珠は学園を出て、近くにあるタワーマンションへと向かった。

車を使う必要もない距離にある大きな大きな建物だ。横に無駄と思えるほどに建物が広がっていて、それが合計10棟もある。

内部に多数の店を抱えていて、金さえあれば死ぬまで引きこもって自由自在に生活する事が可能である。

これはもう、小さな都市国家と言っても過言ではない。

白真珠は、そんな大きすぎる建造物を見上げて、初々しい驚きの声を上げた。


「す、すごい!何階建てのマンションですか!

いや、高さより横に広がっている長さがありえない!?」


「五十階建てで、それが十棟も並んでいるんだ。セキュリティーがきちんとしているから、比較的安全な場所だぞ。

火災が発生しても魔導師がウヨウヨいるから、消防団が来る前に消化してくれるだろうしな」


「お師様は凄い金持ちだったんですね!こんな所に住めるのって特権階級だと思います!

……ところで家賃は?」


「一ヶ月500万円」


「……あ、頭が拒絶するような高さ……です…。

ちょっと、僕、他の部屋を探しに――」


カルチャーショックを受けた白真珠が場から立ち去ろうとしたから、俺はその背を引っ張って止めた。

力が強すぎて、逆に俺の身体が引っ張られそうになったが、足を踏ん張って男の意地を見せて耐える。


「こらっ!?その強さなら楽に稼げる額だぞ!

今まで得た報酬はどうしていたんだ?」


姫「何回か言ったと思いますけど……魔物を倒すと出る食べ物は、全部食べてたんですよね……。

それにお師様と出会う前、僕、重機関銃使ってたんです」


「……うむうむ、それで?」


「秒間200発も出て、一発当たり五百円くらいして高いんです。

一秒10万円も消費して高いから……えと、この三点バースト付きの銃に落ち着いた訳でして……。

ほら、この自動小銃って便利なんですよ!無駄弾を撃たないために3発づつしか銃弾が出ない仕様なんです!」


白真珠が魔法の鞄から自動小銃を出して見せて、必死に弁解してきた。

まるで小動物のような愛らしさがある。俺の保護欲が刺激されて……抱きしめて慰めてやりたい気分になった。

だが、俺はロリコンではない。さすがに公衆の面前で銀髪ロリをモギューと盛大に抱きしめるのは恥ずかしい。

彼女の綺麗な頭に俺の手を置いて、撫で撫でしてやるのがせいぜいだ。


「……明日になったら、もっと効率が良い武器を教えてやる。

高い魔力を生かさないのは、宝の持ち腐れだ」


「僕……お師様に惚れちゃいそう……」


「ん?何か言ったか?」


俺は聞こえない振りをした。

小さいロリ娘からモテモテなようだが……これはアレだ。

『大きくなったらパパのお嫁さんになりたいー』っていう小さいロリが言うテンプレ的なセリフと同じだ。

今まで辛い生活をしてきたギャップで、俺に大いなる好意をもってしまったようだが残念だったな。

俺はロリ娘は、女として見ない主義なのだ……たぶん。

白真珠の輝く銀髪が貧乏生活していたと思えないほどにサラサラッで、ずっと撫ででやりたい気持ちになった。今の俺は幸せだ。


「いえ、何でもありません、お師様。

さぁさぁ、時は紙切れなりと言いますし!さっさと行きましょう!」


「時間の価値が儚い!?」


「あれ?ロリは金なりでしたっけ?」


白真珠が首を可愛く傾げた。どこでどう特殊な諺を学んだのか知らないが……まるで、援助交際のキャッチフレーズみたいな諺だな。

でも、若すぎる娘は逆に買い叩かれるそうだから、ロリは金にならないと思うぞ……。

……と思ったが、俺は目の前のロリ娘のために多少の散財はしても良いやっていう気分になっている。

ロリは金なりという諺は、俺には通用するようだ。

~~~~~~~


タワーマンションの警戒厳重な玄関を通り、俺たちは1階にある店を目指した。

冒険者と富裕層が多数、居住している場所なだけあって、一階は武器屋や雑貨屋などがあり、地球とは全く違う店が出ている。

どう違うかは――まぁ、これからの白真珠の反応で分かるだろう。

ダンジョン世界の常識は、地球の非常識という有名な言葉があるのだからして。


「まずは生活に必要な物を買おう」


「僕、可愛い服とかトマトを買いたいです!」


「なら……この店が良いだろ。なんでも揃ってるぞ」


俺は扉がない店の前へと立ち止まった。気軽に次々と客が入れるように扉を最初から排除してある。

店内は、ありとあらゆる種類の商品がずらりっと並んであって、地球の100円ショップを思わせる雰囲気が漂っていた。

その安さと値段の分かりやすさに、客が次々と気軽に、商品を籠に入れてレジへと向かっている。

ギルドカードによる電子マネー払いのおかげで、ほとんど待たずに商品が買えるのも、ここのメリットだ。

白真珠はこの光景を違和感を覚えたのか、不安そうに聞いてくる。


「……あの、お師様……ここは?」


「1万円ショップ。どんな道具も1万円で売っていてお得だ。

掘り出し物があったりするから、かなり評判が良いな」


「日本の最高額紙幣がワンコイン感覚なんですか!?」


「うむ、こっちだと1ゴールドアップル程度の価値だしな。慣れてくると諭吉さんが百円玉に見えてくる。

……と言いたいが、紙幣も貨幣もどっちも持ってる奴がほとんどいないから、今のは俺の冗談だ」


「め、目が眩みそう……1万円が百円玉扱いなんて可笑しい……」


「金の事は気にするな。これからたくさん稼げば良い。

今日は相棒になった記念に、俺が奢ってやろう」


急に白真珠が黙って、俺を熱い視線で見つめてきた。

深紅の目がウルウルと感動の涙を流している。可愛い銀髪の乙女がやっているから余計に、目の前のアホが可愛らしく見えて仕方ない。

……うむむ、俺はロリコンじゃないんだぞ……美しくてもロリはロリなのだ。性的な興味を持つのは駄目なのである。


「し、白真珠……どうしたんだ?」


「他人の金で……買い物とか……僕、幸せかも……」


「奢るのは……20万円までだ。そこからは先は自分で稼いで買え」


「か、価値観が崩壊しちゃいます……。ここの金銭感覚に慣れたら駄目になりそう……。

しょ、商品がどれも諭吉さんに見える……諭吉さんって一万円ですよね……えへへへへ……。

宝の山だぁ……」


そう言って、ふらふらっと、白真珠は浮浪者のごとく店内を歩き始めた。

一万円ショップの贅沢さに、脳みそが違和感を覚えて狂ってしまったのだろう、可哀想に。

俺はゆっくりと、そんな銀髪ロリの後ろ姿を見ながらついていく。

ロリとはいえ女の子。それも可愛いロリだ。放っておいたらロリコン達が骨を折られて、大騒ぎになるかもしれないから付いていくのだ。


「ニンニク臭い……ううう……あ、トマトジュースだ、買おう」


白真珠が真っ先に籠に入れたのは、健康食品エリアにあるトマトジュースだ。

ペットボトルの中に、150ミリリットルの赤い液体が入っており、表面に『血がサラサラになるよ!吸血鬼もびっくりするくらい健康になれる!』と書いてある。

しかし可笑しい事に――トマトジュースの隣に設置されたニンニクには手を出さない。

ニンニクという食べ物は、確かに臭いが凄くするが……トマト以上に健康食品として扱われる人気食材だ。

カツオや肉への薬味としても使えて、とても素晴らしい食べ物なのだが、白真珠はニンニク嫌いなようである。

好き嫌いは良くない。吸血鬼なら兎も角、人間は偏った食生活をすると問題が発生する生き物だ。

後日、たっぷりと、ニンニク料理を食べさせてやろう。

……うむむ、白真珠がとんでもない場所へと移動してしまった。俺の足が止まる。

女性の下着コーナーには、色々な神秘的な物体(パンティー)が、整然と宝物庫の財宝のように置かれており、男に問答無用で羞恥心を与える結界と化していた。

子供用から大人用、果ては勝負パンティーまである。

他に女性客は居ないが、この下着エリアに入る勇気を俺はもてない。


「お師様?どうしたんです?」


「バ、バリアーがあって入れないんだ……」


「まぁ……1万円ショップって凄いんですね。

このパンティーとかどうです?僕に似合いますか?」


白真珠が見せてきたのは、黒い丈夫そうなパンティーだった。

質実剛健すぎる大人の下着だ。

白真珠が履けば……恐らく、白くて美しい太もものおかげで、それなりに似合うのかもしれないが――もっと子供っぽい下着の方が、ロリには似合うと思うのだ。

子供がアダルトなパンティーを履いても、違和感が出るだけである。


「お主、わっちはコイツの好みを知っておるんじゃよ?」


突然、白真珠の隣に、ちっちゃい鬼娘が何処からともなく勝手に生えてきた。

高級感溢れる巫女服を見事なまでに着こなす10歳くらいに見える少女である。頭に鹿のような大きな角が生えていて、黄金色のストレートヘアーがよく似合っている。

一応、顔見知りなのだが……この娘が店長で名前がカグヤという程度の事しか知らない中なのだ。

……鬼は人間より寿命が長い種族だから、実年齢はきっと凄い事になっているに違いない……つまり合法ロリだな。うむ。


「お主には……これが似合うのう」


胸がペッタンコの鬼娘が手に持っているのは、見事な縞々模様のパンティーだ。

青と白の縞々パンティー。白という生地はパンティーに清楚さを誕生させ、そこに青を加える事で清々しい大空のような縞々模様が出来上がっている。

大人の女性は滅多に履かない伝説のパンティーだ。

白真珠はそのパンティーを手に取って、鬼娘と言葉を交わす。


「あ、あなたは……?」


「わっち?この店の店長じゃよ?

こう見えても、それなりに年を取っておってな?

人生のわびさびを知っとる恋愛の達人なんじゃよ。

じゃから色んな男性と角で突き合った……もとい、付き合った、わっちには分かる。こういうロリコ……いや、日本男児は縞々パンツが大好きじゃとな。

これは断言しても良い真実であり、縞々パンティーを選べば幸せになれるんじゃよ?

縞々パンティーが嫌いなロリコ……日本男児は希少種じゃからのう」


「で、でも……白い生地があると、汚れが目立ちますし……。

黒いパンティーなら汚れが目立たないから、長く持ちますよ?」


「大丈夫じゃ。

ここの縞々パンティーはのう。

オシッコをしても、シミにならんし、強力な洗剤を使えば元通りというお得な品物なんじゃ。

小さな子供たちにも大人気なんじゃよ?

それにロリコン……いやコイツは縞々パンティーを見た瞬間、とっても安心したような表情をしておった。

つまり、縞々パンティーを買えば一石二鳥で最強じゃな?夜の生活が有鷹になるかの?」


「よく分からないですけど……高いものは逆にお得って事ですか?」


「うむうむ、人生の先達者であり、鬼の先輩であり、恋愛の達人でもある、わっちが、さらに縞々パンツの素晴らしさを教えるんじゃよ。

あ、関係ないんじゃけど、おパンツって言うと可愛らしく思えんかのう?

パンティーという表現も中々に良いと思うんじゃが、おパンツという男心をくすぐる表現もええと思うんじゃ」


「えとその……?」


「まず、この青と白の縞々パンティーをじっくりーと見るんじゃ。

横線の縞々は、着用者の魅力をあげる効果があるって分かるじゃろ?高度に計算された凄いパンティーって事じゃな?

逆に縦線の縞々パンティーは硬い女というイメージが付くから、履いては駄目じゃのう。

相手の男に振られる原因になるんじゃよ。

わっちも過去に大失敗して失恋した事があるしのう」


「な、なるほど!参考になります!」


「縞々パンティーの色の組み合わせの話になるんじゃが、やっぱり一番ええのは、白色を基本に、別の色を組みわせるのがええのう。

白という色はどの色とも合う上に、清楚さを出せてロリコン……いや男心がイチコロじゃ。

特に青と白は最高じゃよ?」


「ど、どう最高なんですか!」


「青と白が織り成すパンティー……つまり、空の模様のような凄い清楚さが醸し出るんじゃ!

特にお主のような可愛いロリが履くと、お主の魅力は千パーセント増しになる!

そう青と白の縞々パンティーは別名『青春パンティー』と言われておるくらい凄いんじゃ!」


「なんとなく理解できる気がします!僕の髪の色にも合いそうですし!」


「さらにさらに!男はピンクと白の縞々パンティーも大好物!

ピンクはエロいしのう!このパンティーで意中の男性を悩殺じゃ!

わっちも履いとる!

やはりピンクはええのう!勝負下着としても使えるし最強なんじゃよ」


「金持ち相手に玉の輿できるって事ですね!」


「もっと色の講座を聞きたいかの?」


「はい!聞いたいです!」


「黒と白の縞々パンティーなら、イタズラ娘っぽい属性を出せる。

緑と白の縞々パンティーなら、自然っぽい清楚さを出せて、巫女さん業界で大人気なんじゃ。

最近じゃと、薄いピンクとか、薄い青色を使った縞々パンティーも売り上げがええのう。

西の大きな大人が通う店の連中がよく購入していて、ロリロリ通りの定番パンティーになっておって男のハートをわし掴みなんじゃ!」


……銀髪ロリと、鬼娘の会話に、男の俺が入る隙間は全くなかった。

少しでも抗議すれば、すぐにロリコンの烙印を……念入りに焼きゴテのように押されそうで恐ろしすぎる。

しかし、この鬼娘を見て思うのだが……胸が小さいな。

合法ロリだから、俺が手を出しても全く問題ないのだが、胸に詰まっているロマンが小さいと哀れみを感じる。

いや、おっぱいで差別するのは良くないのだが、ペッタンコな胸には夢も希望もないのだ。

しかも、これ以上、成長しないというオチまでついてそうで恐ろしい。

……でもモテモテらしいから、貧乳族の男性には大好評なボディーなのだろう。


「そんでお前には、これじゃ」


会話を聞くのをやめた俺に、鬼娘が何かを渡した。確かめるとそれは……丸い輪っかのゴム製の――コンドームだった。


「また同じネタか!?」


校長も鬼娘も俺を何だと思っているんだろうか?

ロリに手を出す鬼畜と思われるのは心外である。


「これ、色々と使えて便利な道具なんですよね!」


確かに、この銀髪ロリは可愛い。とっても可愛い。

抱きしめてモギューモギューとしたくなるが、ベッドの上で激しく融合合体する対象ではないのだ。

しかし、鬼娘は白真珠の発言で色々と邪推してきた。


「なるほど……お主……手が早いのう……。

避妊はちゃんとするんじゃよ?

まぁ責任が取れるなら生でやってもええんじゃけどな」


「もうやだ……この悪徳都市」


白真珠みたいな清楚なロリが暮らすには不向きな都市に思えた。

ネットに住んでいる住民からは、ここに住んでいる連中は全員、非処女、非童貞という事が専らの定説なのだが――童貞を守っている奴は、ここではキチガイ扱されるのかもしれない。




 (ノ゚ω゚)(ノ゚ω゚) 縞々パンティー好きにも程があるでしょ!?


(´・ω・`)二次元限定の芸術品じゃよ?


(ノ゚ω゚)(ノ゚ω゚) 現実をすんなりと否定した!?

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