5話「ロリと寝てしまったが、俺はロリコンではない⑤-ロリとコンドーム-」



橋を通り、都市を囲む壁をくぐり、俺は比較的安全な気がする悪徳都市・新キョウトへと戻ってきた。

ダンジョンの一層と二層を繋ぐ場所にあるから、膨大な利権があり、そのせいで腐っている事で有名だ。

たくさん金が流れ込むという事は、汚職の規模もでかくなるのある……人類の性(さが)って悲しい。サガと書いて運命だ。

近道を通らずに大通りを車で通り抜け、ダンジョン学園へと到着。装甲車から車載カメラの記録媒体を外して、魔法の鞄へと仕舞う。

今までは、自動運転モードで魔法の鞄に収納していたが……白真珠の怪力のおかげで、自動運転システム要らずだ。装甲車を持ち上げて、車をポイッと魔法の鞄に投げている。

この怪力と魔力を活かせる戦術を生み出せば、すぐに一流冒険者の仲間入りだろう。

まぁ、セーラー服はスカートがヒラッ!ヒラッ!とするから、俺が戦闘に集中できそうないから辛い訳だが。

米軍も国連軍も、女性兵士を組み込んだせいで、無駄に勇敢になったり、エロい事に夢中になる兵士が続出して大問題になっているし……。

……男と女の両方を組み合わせた部隊編成のせいで、上級軍人の頭がハゲているという噂もある。

女冒険者は、女冒険者同士で組んだ方が幸せかもしれない……。


パチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッ。


校門を潜った俺達を、盛大な拍手が迎えてくれた。

学校の教員たちが並び、祝福してくれる。


「合格っ……!合格っ……!貴様らは一番に試験を合格したっ……!」


白い髭が似合うチーズ校長が、唐突にこんな事を言った。

疑問だらけである。なぜなら俺は――


「まだ、何も提出してないのだが?

千ゴールドアップルを収めないと駄目な試験だろ?

あ、これ、味方殺しをしていた冒険者の映像を納めたデータです」


「ゴミの始末をありがとうっ……!

そしてっ……!この試験の本当の目的はっ……!

1000ゴールドアップルを得る事ではないっ……!

絶望的な目標を設定されてもっ……!それに挑戦しようとするサービス残業精神……いや、勇気を試したのだっ……!

軍隊風に例えるならっ……!兵士に50km走らせた後にっ……!もう一回、50km走らせる軍事教練と似たような試験っ……!」


ブラック企業の経営者みたいな人だ。

いや、軍隊も冒険者も命の危険があるから、ブラックなのは当たり前なのだが。

終わりが見えない状況で、働く事を求められているのである。


「校長……つまり、どういう事なんだ?」


「この会場からっ……!一時間以内に出た時点で合格っ……!」


「なんて難易度が低い試験なんだ!

誰でも受験したら受かるのかよ!?」


「よく考えてみろっ……!税金を費やして育てたヒヨッコどもをっ……!

育てずに資格剥奪して放棄する訳がなかろうっ……!公金の無駄遣いだと苦情がきて学園が倒産するわっ……!

もちろんっ……!試験に失敗しても資格は剥奪せぬっ……!くくくくっ……!

1000ゴールドアップルを納める必要もないっ……!入学金は事前に貰っているのだからっ……!」


朗報だ。入学金を追加で払わなくて良いらしい。

そういえば、そうだな……この学校、誰でも入学できて当たり前。

その代わり、入学してからの冒険者バッチ差別が酷い事で有名だった。

……文字がほとんど読めない白真珠みたいな子供でも入学できる時点で、とんでもないアホ学校だと思う。

さっきみたいに、冒険者を襲撃するウンコまで居る時点で……なんて酷いところなのだろうか……。

ネットの掲示板で悪徳都市とか、大した歴史遺産もないのに都市名が新キョウトとか言われているだけの事はある。


「やりましたね!お師様!」なぜか白真珠がガッツポーズをしていて愛らしかった。


「何がだ?」


「2000万円も払わずに済むなんて最高じゃないですか!

2000万もあれば、美味しい棒が200万個買えますよ!

これが諺によくある『ロリも歩けば棒に当たる』って奴なんですね!」


「どことなく卑猥だ!?」


「え?美味い棒のどこが卑猥なんです?

あの棒は美味しくて素敵なスナック菓子ですよ?」


答えられる訳がない。ロリと棒で、けしからん内容を想像できました……なんて言えるはずがないのだ。

それに俺はロリコンじゃないし。白真珠がどれだけ可愛い絶世の美ロリだとしても、俺の心は大阪城のように鉄壁なのだ。

主に……現代の大阪城が鉄筋コンクリート舗装してある的な意味で。


「くくくくっ……!拍手っ……!皆っ……!拍手っ……!

我々は有能な冒険者を大歓迎するっ……!

それが例えっ……!鬼畜ロリコンだとしてもっ……!受け入れようっ……!

未来の夫婦に拍手っ……!拍手っ……!」


パチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッ!


「おめでとう」「おめでとう」「ロリコンおめでとう」「おめでとう、死ねば良いのに」「おめでとう」「おめでとう、悪徳都市に来る前からロリコンとか……」「おめでとう」「おめでとう」「なんだホモじゃないのか」


「おい待て」


「言わなくてもわかっておるっ……!

その少し濡れたセーラー服っ……!イカ臭いにおいっ……!間違いないっ……!

報酬の一部を渡す事を条件にっ……!手篭めにした証っ……!

しかしっ……!ワシらは下劣な犯罪行為をしたロリコンを許そうっ……!

有能ならウェルカムっ……!

これで君は銅バッチ冒険者だっ……!」


その言葉と同時に、胸に付けているバッチの色が変わった。

黒色から銅色になる。白真珠の大きな胸元を見ると、彼女のバッチも銅色になっていた。

豊かな双丘が、服の上から分かって目の保養に良さそうだ。

しかし、白真珠は俺をまるで犯罪者を見るような目で――


「お、お師様はロリコンだったんですか!?」


「ちょっと待て!?誰がロリコンだ!」


「ところでロリコンってなんでしたっけ?

悪党なんですか?」


銀髪ロリにはオッパイがあっても、常識が全く足りなかった。

この様子だと、ロリの意味も理解してないだろう。

中学生や小学生の女の子は、皆、ロリなのだ。たぶん。

ロリコンじゃないから、詳しい定義は知らん。


「さぁっ……!最後に贈り物をプレゼントさせてもらおうっ……!

ついてこいっ……!!」


校長先生がそう言って、校舎がある方角へと歩いた。

きっと、一番最初に戻ってきたから特別賞があるのだろう。

ロリコン呼ばわりされるのは嫌だが、学園の最高権力者とのコネは大事だし、貰えるものは貰っておこう。


パチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッ


……この拍手、俺がこの場から去ってくれてありがとうって言ってるように聞こえるのだが……気のせいか?


~~~~~~~~~~


……校長に案内されて着いた先は、校舎裏だった。たくさんの茂みや林があり、ちらほらと自動販売機の姿が見える。

だが売っている代物が大問題だ。表紙が水着美少女のエロ本とか、エロ雑誌とか、コンドームの自販機が設置されている。

どうやら、校舎裏は下半身の欲求を我慢できなくなった生徒達のために、色々と設置している場所のようだ。偉大な教育者であられるチーズ校長は、ギルドカードを使って電子マネーで自販機のコンドームを買い、俺にプレゼントしてくる。


「さすがに避妊なしでの鬼畜行為はオススメできないっ……!

悪徳都市といえどっ……!ここは教育機関っ……!

このごム製のパォーンを使えっ……!それで様々な問題は回避できるっ……!」


「俺はロリコンじゃないぞ!?」


「分かっておるっ……!分かっておるっ……!

ツンデレ発言だなっ……!ふぉふぉふぉ……!

誤魔化しても分かっておるっ……!実はワシも若い頃は隠れロリコンだったりするのだっ……!

西の厠のロリロリ通りで合法ロリ娘とイチャイチャした事があるのは秘密だっ……!」


助けて、校長が社会的に殺しにきている。

確かに白真珠は、街中で見かけたら十人中百人が振り返るような凄まじい美少女だろう。

だが、幼い娘を性の対象にするのは失礼な事だ。

オッパイが柔らかくて揉みたいなぁーと思うことはあったとしても、俺はロリコンではないのである。

健全な日本男児だ。


「お師様」


「ん?」


「このゴムって何に使う道具なんですか?」


白真珠が、コンドームという道具の存在意義を質問してきた。

箱に書いてある説明書を読めば分かるが、彼女には読めないのだろう。

それにコンドームを知らない人間から見れば、これは小さなゴム製の丸い輪っかにしか見えない。

男性器に被せて、女性と合体する避妊具だなんて……分かるはずもないのだ。


「これはだな……水を大量に入れて水筒代わりにできるし、ゴム手袋、包帯止めとしても使えるぞ。

燃えるから燃料代わりにもなるな……」


俺に続いて、校長も説明した。


「いざという時のロープ代わりにもなるっ……!

海で遭難した時の浮き輪としても運用できるぞっ……!くくくくっ……!」


「まぁ……万能なんですね」


「万能なのだっ……!これがあればっ……!

どれだけ愛し合ってもっ……!病気にならないっ!」


……この校長の言動、ネットにアップロードしても良いだろうか?

きっと炎上して……いや、俺も叩かれて退学させられるな……。

この都市がどこまでロリコンに寛容なのかは分からないが、二度と日本国に戻れなくなる事は確実だろう……。


「わぁ!すごいです!

コンドームに水を入れたら2リットルくらい入りましたよ!

……でも、魔法の鞄があるのに、これって役に立つんですかね……?

普通に水筒をたくさん魔法の鞄に入れた方が便利だと思います!」


-----



(ノ゚ω゚)(ノ゚ω゚) コンドームがここまで便利な代物だったなんて……


(´・ω・`)応用が効いて最強じゃな?


ーー


出典:ロリことわざ辞典


『ロリも歩けば棒に当たる』

意味:なんかエッチィでしょう。 本来の意味はロリも歩けば♂に当たる。

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