第2話 霞むひかり



きみは、 点滅する光だ


もはや、光を維持するちからもない、必死に光ろうとする、たどたどしく点滅する光だ


泥の中の泡で息をつなぎ、そうまでしてそこに在ろうとする、


不自然で不完全な生きもの


一度消えては、まだ最後まで照らそうと震えて照らそうとするひかり


夜の海を渡る鳥に寄りそって、海の向こうまで渡ろうとする光だ



ひかりはだんだん小さくなって、やがて誰も気づかなくなるだろう


ぼくはすぐそこに居て、小さく微かな、光の明滅を見つづける


誰かが言った


「君が消えても、誰もなにも、困らない」


きみは、かすんでゆく、点滅しながら消えてゆく光だ


誰にも気づかれずに、何かを呼ぶように



やがてそのうち、最後のひかりが止む時、ぼくはここにいる



小さな光の点滅を、ぼくは知っている

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