第346話歎異抄 (宿業)

宿業の「宿」は過去、「業」は行為の意味。つまり過去の行為との意味になる。

善・悪が「宿業」という考えに立つと、善心が生じるのも過去の善業の結果であって、悪心が生じるのも過去の悪業の結果となる。

現代風の言葉で表現した場合は「深層意識」。

日常生活上での意識ではなく、その人の今までの人生の中ですり込まれてきた心の

深い部分の意識となる。

人間の行為は、全て深層意識にすり込まれ、蓄積される。

そして、それらが「縁(その時の条件)」に応じて新たな行為となって発現される。

新たに見える行為の原因としては、常に過去の行為の名残(蓄積)が認められる。


突発的になした行為であっても、どこかに過去の行為の影響がある。

結局、人間の心理や行為は、なかなか自由ではない。

かならず何らかの原因があり、縁がある。

そしてどうしても「自分本意、自己中心性」から離れることができない。

それが、煩悩であり、「色メガネ(曇った目)」で、事物を見つめることにもつながっていく。


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