第18話 40年目の真実

リビングルームの広さは20畳程の広さで、


隣りの部屋には寝室もある。


新築のせいかキッチン、バストイレも


綺麗なままだ。


室内は無機質なほどに真っ白で、なんだか


科学実験室のようだ。


リビングダイニングの真ん中に硝子製の


テーブルが置かれ、両脇には大き目のソファが


設置されている。


「それよりも、食べ物を。


こちらに来てから、まだ何も食べて


ないんです」


彼がお腹を摩りながら、ハニカムように


訴えた。


「任せて!デリバリーを注文するわ」


向かい合うように座ると、千春が携帯で


電話をかけ出す。


「いつものピザをお願いね」


そして、通話ボタンをタップする、


携帯をテーブルの上に置きながら。


「それは何ですか?」


ポカンとしている広隆が、それを指差す。


「これは電話機よ、これで電話出来るの」


「こ、これが電話機?!」


唖然とする彼に対し、微笑む千春。


「ダイヤルが無い、それに電話線も無い!」


「ウフフ、ダイヤルや電話線なんて無くてよ。


全てタッチ操作で通話出来るのよ」


「この時代は恐ろしい、理解出来ない」


「じき慣れますよ、貴方の時代から


まだ40年しか経ってないから」


そう言われても、動揺を隠せない広隆。


この世に、僕の居場所は無い・・・


(ビー!ビー!)


その時、玄関のインターフォンが鳴り響き、


千春が玄関に向かう。


どうやら、デリバリーピザが来たようだ。

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