第8話 1978年

動けない広隆、その瞬間トラック運転手と


目が合う。


スローモーションの様に目を見開き、


悲痛に歪む運転手の顔がハッキリと見えた。


声をあげる暇も無い。


(キューキュー!ドスーン!!)


時間にして数秒だろうか、


まさに、あっという間の出来事だった。


けれども急ブレーキが効いたのか、幸いにも


トラック運転手に怪我は無い。


慌てて運転席から降りてフロント部分を


観たところ、歩道へ乗り上げたトラックが


真ん中にある電柱と衝突して止まったらしい。


それを観た運転手がハッと息を呑む、


それは、電柱の前に立っていた広隆が


消滅していたからだ。


「きっ、消えた!?」


怯んだ様に呻く運転手、視線を感じ


後ろを振り向くと、トラックと衝突した


乗用車の運転手が、交差点の真ん中に停車


している車の前で立ったままこちらの


様子を伺っていた。




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