第4話・無駄なこと。
「あ、あの。ありがとうございます」
遠慮がちにリスが頭を下げてきた。
「なにが?」
「助けてくれて」
「別に助けてないわよ?」
「え?」
私の言葉に困惑するリス。
困惑した顔も可愛い。
やっぱリスはパンダとは違うな。愛嬌がある。
「勘違いしないで。ただ邪魔だったから声をかけただけ。それはあんたも同じよ。もうイジメられたくなかったら言いたい事ハッキリ言えば?もじもじしてるから狙われるのよ。私貴方みたいな子嫌いだから、もう関わる事はないと思うけど気お付ければ」
吐き捨てる様に言って階段を上った。
阿呆らしい。
私が人を助けるわけないでしょ。そんなの時間が無駄だもの。
得しない事はしないわ。
階段を上っていたら前からネコが下りてきた。
そのネコの手を見れば、タオルらしき物が見えバケツを、ひっくり返したみたいにずぶ濡れだっだリスを思い出した。
みたいじゃなくて本当にぶっかけられたんだろうな。
「ねぇ。そこの貴女」
「え。…魔女!」
ネコは不思議そうに振り向き私の顔を見てオバケでも見たように驚いた。
「誰が魔女よ」
軽くネコを睨んで言った。
初対面で魔女呼ばわりされるなんて有り得ないわ。
「ごめんなさい。浅雛さん」
申し訳無さそうに眉を下げて謝るネコ。
謝るくらいの常識はあるみたいね。
魔女とは私のあだ名らしい。
ついでに歩輝は魔王。
この名前付けた奴に会ったら絶対一発は殴る。
ネーミングセンスの欠片もないわ。
それにしてもこのネコ綺麗な顔してるわ。
茶色い瞳、薄い唇、茶色の髪は肩にかかるくらいあり、長い前髪をセンター分けにしている。
「そのタオルを持ってあそこに行ってくれない?それ必要な人が居るから。あと出来れば着替えも持って行ってあげて。じゃ」
階段の下を指差したあとネコの隣を通り過ぎてその場を離れた。
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