第2話・本が好き



「たくよ。生徒会の奴ら話し長いわ。腰痛てー」



自分の腰を擦りながら、グチグチ文句を言う歩輝は、教室の方ではなく昇降口の方に、足を進めていた。



「歩輝。解ってると思うけど今日は真っ直ぐ帰ってよ」



「あ?なんでだよ」



「やっぱり忘れてる」



歩輝の答えにため息をついた。


いつもそうだ。大事な事はすぐに忘れる。



「今日から同居生活始まるって言ったでしょ?」



「あ?今日からだったのかよ」



「だから早く帰ってよ」



「わーたよ」



適当に返事をして昇降口の方に足を進めた。



「本当に解ってるのかしら」



ボソッと呟き私は教室とは、反対方面の図書室に足を進めた。


私は本が好きだ。


歩輝には似合わないと言われるが、本が好きに似合うとか似合わないとか関係ないと思う。


この学校の図書室は古いが本の揃いはいい。


古いものから最近流行りのものまで置いてある。


おまけに人はあまり来ないから静かに本が読める。



「新刊入ってるかな」



そう思うと自然と、歩くスピードが上がる。



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