第9話・新しい生活。




「…間違ってねーよな?」



私の方に顔を向かせ尋ねてきた。


地図通り来たはずだから間違ってはいないはず。


もう1度地図を見てもやはりこの家を指している。



「…間違ってないみたいよ」



私達が着いたのは豪邸の前だった。


白を基調にした今どきのグラス張りな家。


こんなの明らか一般人が住む家出はない。


…この家知ってる。



「…この家誰が用意したの?」



「あ?知るわけねーだろ」



歩輝に訪ねたが知らないようで、バイクを止めて家の中に入っていった。


この家…間違いない。


忘れるわけないこんな存在感しかない家。


この家を用意したのは。


この家の主は間違いない。



「…ルキだ」



でも、どうして。


混乱していて今の状況を飲み込めない。



「華恋早く入れよ」



歩輝の声で我に帰り慌てて家に入った。



「俺らが一番乗りか?」



リビングの扉を開けて呟く歩輝。


…変わってない。



「…お風呂入ってくる」



少し頭を冷やしたい。



「こんな時間にかよ」



「うるさいわね」



時間をみればまだ15時。


確かに微妙な時間だ。


歩輝に素っ気ない言葉を返して、お風呂場に向かった。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る