第3話学園案内とふたり

 私立紅葉園学園(こうようえんがくえん)

 県内有数の進学校で有名である。

「自由には義務を」を校風に勉強だけではなく生活指導にも力を入れている今時珍しい学校ではあるが、そのぶん地域の保護者の信頼も厚い。

 また「正しい心は運動で培われる」と部活にも熱心で、一部の運動部は全国大会に出たりもしている。


 もちろん毎年たくさんの応募があり高い受験倍率を維持している。

 その学園に特待生として通うのが一色白夜である。

 白夜は別にどこの高校でもよかったのだ。しかし、中学の時の担任が熱心にここを進めてきたのでなんとなく受験した。校舎なんて受験の日に初めて見たぐらい興味がなかった。

 まぁ担任としては自分の評価のために白夜にできるだけ偏差値の高い高校に入って欲しかったのだろう。

 受験の次の日、施設の電話が鳴り、出た先生が呼んできたので代わりに出ると、紅葉園学園の受験担当の人だった。話としては入試の結果が素晴らしかったのでぜひ特待生として入学してほしいとのこと。

 金の心配が1つ減ると思いその場でお願いしますと言った。


 その1年前。東雲白雪の自宅。

 志望校に悩んでいた白雪は母親から熱心に紅葉園学園を勧められていた。やはり保護者の信頼が厚いというのは学園にとって大きなアドバンテージだ。私立ということで、家庭の経済的な負担を気にしていた白雪だが父親にお金のことは心配しないでほしいと言われ、じゃあまずは校舎見学に仲の良かった緑と行ってみた。

 3年前に大幅な改築をし、かなり綺麗な校舎。掃除も隅々まで行き届いている。

 制服は有名なデザイナーがデザインしただけあってとてもかわいらしいチェックのスカートに心惹かれ、緑と顔を見合せ二人でここに通おうと約束した。

 白雪はそれほど苦労せずに無事合格。

 緑はスポーツ推薦で合格した。


 そして1年後白夜と白雪は運命の出会いを果たすのである。

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