第2話彼と彼女の目線

 ~白雪side~

 次の日。曜日は変わって水曜日。

 私はあの少年のことが気になっていた。と言っても手掛かりが少なすぎる。見たことはなかったので、おそらく2年生ではないだろうというぐらい。

 他の学年の教室まで出向く勇気は私にはない。かといって昨日さぁ~と話しても良い内容だとは思えない。困った顔で登校していると

「どうしたのかしら?白雪が珍しい顔してるわね」

 っと学園で一番仲の良い宇佐美緑(うさみみどり)が声をかけてくれた。

「あっ。緑ちゃんおはよー」

 明るく挨拶。

「ええ、おはよう。ところで本当にどうしたの?困ったような顔してるけど」

 緑ちゃんは何でもお見通しだ。

 緑ちゃんになら話しても良いかな?と思った。

 ということで相談してみた。

「実はね、昨日男の子が告白されてる場面に出くわしちゃったんだけどね、即断った上に最後にうざったいって言ったんだよ。それが気になっちゃってね」

 すると緑ちゃんは、あぁという顔になって

「それ、1年の一色白夜だよ。学園中で噂の男の子。恐ろしく勉強ができて、恐ろしく愛想が悪いって有名」

 とすらすら語る。

「そっかぁー。一色くんかぁ。漢字はどう書くの?」

 と私が尋ねると簡単に説明してくれた。

「うふ。同じ「白」って漢字使うんだぁ」

 ちょっと嬉しかったり。するとその様子を見た緑ちゃんは

「なに白雪、もしかして一色白夜のこと……」

「ちがうちがう。ただそう思っただけで…」

 と勘違いをし始めたので慌てて、手をパタパタしながら否定する。

「白雪のその癖ってやっぱりかわいいわね。大丈夫。言いふらしたりしないから」

 と言って肩を叩く。

 良かった……のかな?ちゃんと伝わったのだろうか。ちょっと不安が残るけど気にしないことにして二人で登校を続ける。


 ~白夜side~

 今日は遅めの登校にした。昨日の告白でうざったいとまで言ったのだ。後ろ指指されてもおかしくない。

 いくら周りを気にしない俺でも、わざわざそんな目ごめん被りたい。

 入学当初から続く告白ラッシュ。多いときは1週間に3回なんて時もあった。はっきり言ってうんざりしている。だからこそ昨日はきつく言ったのだ。これで収まってくれればいいが……。

 と考えながら片手で本を読みながら、もう片方の手でカバンを持つという曲芸みたいな登校をしている。

 道すがら話す相手もいない。当然だ。なぜなら俺は友達がいないからだ。言い寄ってくる女子、それを遠巻きに見てる男子にはおもしろくないことだと理解している。それでも話しかけてくる男子はいたが友達の必要性を感じたことがないので適当に相手をしていたら完全に孤立していた。まぁその方が心地よいのだから良いんだが。

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