命乞い
流布島雷輝
復讐
寿司共和国の首都スシタウンでもひときわ目立つ大邸宅。
寿司に物を言わせた悪趣味な寿司御殿はこの館の主の醜い本性を現してるようだった。
「ブヒヒヒヒ、寿司で雇った傭兵どもに恐るべきトラップ。これならば奴もここまではこれまい」
寿司御殿の所有者、即ちスシタウンの事実上の支配者であり、この町の寿司の流通を牛耳る男すし太郎が醜悪な笑みを浮かべる。
無謀にもすし太郎の命を狙う男が現れたが問題はない。
これまでのトラブルもすべて寿司の力で解決してきた。今回のこれもその一つになるのも時間の問題だろう。
その時、すし太郎に仕える執事が信じられないものを見たかのように慌てふためいた様子で部屋に入ってきた。
「どうした。奴は殺したのか?」
「す、すし太郎さま!け、警備の傭兵が突破されました!」
執事がすし太郎に状況を説明する。
「奴らにいくら寿司を払ったと思っている!トラップはどうした」
「そ、それが!何故か機能していません!おそらく強力なハッカーが協力しているのかと」
「ば、ばかな!どうなっているのだ!」
執事の報告を聞き、すし太郎は醜く肥え太った体を揺らし動揺する。
「すし太郎だな」
男が扉を蹴破り、部屋に突入してきた。
すし太郎の不正を目撃したため彼の部下に殺された子供の敵討ちのためにすし太郎の命を狙っている男だ。
執事が男を排除しようと懐から拳銃を取り出すが、男は動揺することなく執事を射殺した。
「ま、待て!寿司ならいくらでも出す!大トロか!それともウニか!何が望みだ!」
「必要ない」
男が表情を変えずに拳銃の狙いをすし太郎に定めた。
「ば、ばかな!お前が一生かかっても食べられないほどの寿司だぞ!」
「悪いが俺は焼き肉派でね」
「やめ、」
見苦しくもまだ男を懐柔しようとしたすし太郎の言葉を最後まで聞かず、無慈悲に男が発砲した。
心臓を撃ち抜かれ、断末魔の声をあげながらすし太郎は死んだ。
命乞い 流布島雷輝 @luftleiter
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