首ちょんぱするタイミングがなかなかないな……(今気づいたんですが首を繋ぎ直せば切断し放題ですよね!?)
遥かな高空であった。
夜空は風が強い。着衣をたなびかせながら、女賢者は浮遊していた。正確にはその霊魂が。
彼女が山地を抜けてこの砂漠までやってきてからさほど経っていない。元来たルートを全速力で飛翔すれば、すぐに元の地点までたどり着く。
―――はずだった。
馬で数日分の距離を飛んだはずの彼女の前に続くのは、広大なる砂漠のみ。星を見ながら一直線に進んでいたというのに!
賢者として星詠みにも秀でた彼女が、ただ直線に飛ぶだけで天文を読み誤るはずもない。あまりにも異常だった。
諦めて肉体へ戻ろう。そう思い、振り返ったとき。
―――馬鹿な。
大地にいたのは見覚えのある隊商と、そして胡坐をかき、瞑想している自分自身の肉体。
元の場所に戻ってきていたのだ。
ありえなかった。まっすぐに進んできたというのに。
人知を超えた何らかの力が働いている。それだけは確かなようだ。
それを悟った女賢者の霊魂は、地上へと降下していった。
◇
魔法によって迷わされている。それが女賢者の出した結論である。
あの、女賢者を傷付けた巨大蠍も異常だったが、先の幽体離脱で確信した。何者かが、悪意を持って自分たちを殺そうとしていると。
精霊の力を借りて行う魔法に
そして今や、女賢者も見えざる敵の魔手に堕ちようとしている。もっとも彼女は不死の怪物だから、持久戦となっても幾らでも耐えられるが。
とはいえ人間たちがいる以上、そうも言ってはいられない。
「つまり、そいつを倒さないと俺たちに未来はない、ということ」
半分ほどに減った隊商に囲まれ長は問うた。頷き返す女賢者。
魔法を破ることも考えたが、それをするにもまず術の中心へ向かう必要がある。
「わかった。進む道を教えてくれ。俺が先頭に立つ」
長の言葉に女賢者は首を振る。負傷した自分を気遣ってのことだとはわかっているが、
包帯を巻いてごまかした傷口を見ながらそう思う。
もちろん、矢面に立てば女賢者が死者であるということに、いずれ彼らは気づくだろう。だがそんなことを言っている場合でもない。
相談を終えた一行は、動き出した。
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