ペトロブレスは吐かない(ゲームシステムが違う)
何故ならば、彼らの嘴は触れるものを片っ端から石化してしまう。仮に草むらにいれば、前進するだけで細長い石が林立し、行く手を阻むことになるのだ。それはあまりに不便に過ぎる。
だから、
これは言い換えれば、生物の豊富な場所を歩いた
◇
陽光が降り注ぐ山裾。
村から出てすぐのあたりを進んでいるのは狩人ら村の男たちと、そして少年。手に手に弓やあるいは槍、石斧などを持ち、
彼らは
手がかりを見つけたのは狩人だった。石化していた草が点々と残っていたのを発見したのだ。これは
だから後は追跡し、奴を始末する。それだけのはずであった。
「毒にならない薬はないのさ。何事も適量ってもんがある」とは薬師の言。
そんなわけで、村の狩猟担当者たちが進んだ先。岩が多い山の中腹である。
「もう、石化した草が見当たりませんね」
「ああ。ここからは手分けしよう。大丈夫だとは思うが油断はするな」
少年の言葉に頷いた狩人は、皆に散開の指示を出した。
◇
「しかし、
「なんでも雄鳥が産んだ卵をヒキガエルが温めると生まれるとか」
「はぁ。さすが魔獣だな…」
狩人の疑問に答える少年。姫騎士の受け売りである。
まぁ、石化の魔力さえ封じてしまえば所詮ニワトリである。しとめること自体は簡単だろう。
そう思っていた矢先。
「逃げたぞ!」
叫びが聞こえてきたのは岩場の上の方。別の班が捜索に当たっていたはずである。
二人もそちらへ駆け出した。
◇
岩場の合間から延びている蛇の尾。
慎重に。本当に慎重に狙いを定め、そして。
矢が、放たれた。
それは正確に、魔獣の尻へ突き刺さる。
が。
「───浅い」
致命傷とならなかった一撃。それに驚いた
どころかそいつは、こちらへと向かって来るではないか!
迎え撃つべく石斧を構える猟師。
彼の一撃は、空を切った。
驚くべき敏捷性を発揮した怪物は、嘴の反撃を加える。しかし猟師は
だから彼は、振り返り、脇を抜けた
いや。しようとして、自分が動けなくなっていることに気が付いた。
彼の身に付けていた皮の衣類。それが、石化していたから。
◇
岩場を駆けあがる狩人たち。ちょうどその眼前を、問題の魔獣は横切ろうとしていた。尻からは矢が一本生えたままだというのに異様に素早い。
飛びかかった狩人をジャンプしてかわし、少年が投げつけた槍をひらりと交わした
―――飛んだ!?
よく考えれば短い距離ならば鶏も飛べる。その血を引く
咄嗟にそいつへとジャンプした少年。彼の手は、魔獣の胴体へと届く。
―――やった!
そのまま地面に着地―――しない。
彼の肉体は、宙に飛び出していたから。
◇
「―――おい!?」
岩場から飛び出した少年。それを目の当たりにし、岩棚から身を乗り出した狩人は、見た。
手で魔獣をがっしりと掴みながらゆっくりと下降していく少年の姿を。
彼は、
こうして村を震撼させた
◇
なお、退治された
その肉は中々に引き締まっていて美味かったという。
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