くっころのboss戦は原則的に夜です(キマイラさん出オチだけじゃないよ!)※誤操作で数分間下書きに戻ってました お騒がせしました
この奇怪な獣は、己の色を変化させ、風景に溶け込むという特異な能力を備えた竜の眷属である。その能力を身に宿した竜語魔法の使い手は、敵に気付かれずに隠密行動することを可能とする。この魔法を用いることで、若者を含む数名は、敵首領へと気づかれずに接近したのである。女勇者の背にも一名が覆いかぶさり、隠し通した。この攻撃に参加したのは精鋭中の精鋭である。できれば日が落ちる前に攻撃したかったが、それはかなわなかった。移動速度に制限があったからであり、敵の護衛が少なくなるのを待っていたからでもある。
太陽が空にあるうちに攻勢に出た
今、千載一遇の機会が訪れようとしていた。
◇
星空の下に広がる砂漠。
輿より降りた護衛の戦士―――
冥界で安らかな眠りに就いていた彼女は、無理矢理に現世へと引き戻された。のみならず偽りの生命を与えられ、こうして闇の種族への奉仕を強制されている。されどそれについては何の感慨もない。すべての感情を封じられていたからである。ただ、主人たる暗黒魔導師の命令に従うのみ。
仮初の肉体として与えられたのは生前愛用していた青銅の甲冑。長い歳月で朽ちかけていたそれを補修したものである。物理的に見れば現代の鉄製のものと比較すれば大きく劣るが、死霊騎士としての霊力によってその性能にはいささかも遜色がなかった。
そんな彼女は、暗黒魔導師を守るべく、敵前へと身を晒した。大きく息を吸い込んだ
直後、衝撃波が広がった。岩をも溶かす
効果範囲内にいた護衛の
戦乙女をも呑み込まんとした火炎はしかし、その直前、戦乙女を避けた。竜の炎で焼け死んだ乙女は焼けぬ。既に燃え尽きているが故に。
それは背後の主人と、そして輿や
奇襲をしのぐと、彼女は帯びた剣をすらりと抜き放った。青銅製の両手剣。しかしそれには魔力が込められていた。
最後の戦いが始まった。
◇
―――馬鹿な!!
となれば、あれが敵の用意していた秘宝を持ち去る手段なのであろう。竜の炎で焼けぬのも納得である。すなわち、あれを葬り去れば敵は秘宝を奪う手段を失うのだ。
あれはあの黒ずくめを守る構えのようだ。つまり黒ずくめを攻撃すれば奴を釘付けにできる。
敵の首領を狙いうちにするのは失敗したが、まだまだ最初の攻撃をしくじっただけである。黒ずくめとあれを優先的に屠るとしよう。
仲間たちと目くばせ。狙うはあの二人。他はどうでもよい。
若者たちは、敵の首領へと突進した。
◇
―――なんと。よくぞ本陣へ気付かれずに接近したものだ!
暗黒魔導師は驚嘆しつつも
恐らく、日が落ちる前の攻勢。あれは囮だったのであろう。
何にせよ、これを護衛にしておいて助かったというところか。竜の炎に焼かれし戦乙女を。想定通りの性能を発揮したおかげで己も焼かれずに済んだ。
そして敵
◇
全身を甲冑で守った敵手の得物は両手剣。何やら強力な魔力を感じるが、それはこちらの戦斧も同じ。間合いの差でこちらが有利である。いざ勝負!
激突する二つの刃。技量はほぼ互角とみた。なんと腕力でこちらが負けている。さすがは敵首領を守る最後の障害。さらに問題がひとつ。何やら甲冑を身に着けた骸骨どもが、剣を抜きながらわらわらと駆け寄ってくるではないか。まずは数を頼みにこちらを片づけようという魂胆であろう。奴らの武装には魔力を感じる。しかもその動きはかなりの機敏さと精巧さが備わっていた。厄介である。
鍔迫り合いを強引に押し切り、相手を振り切ると素早く横へ退避。あの死霊騎士より前に出た敵ならば竜の炎で焼けるはずである。仲間たちへ声をかける。さあ、炎を!!
◇
それは、同時に二つの加護を請願できる、という事でもある。彼女たちはそうした。
二匹の
すなわち
一時的に光を奪うこの加護は、霊の視覚すらも奪う。すなわち現在奇襲をかけて来た敵勢四体全員が、視界を失うのだ。
闇の神々に対する請願は無事聞き届けられた。彼女らの邪悪な霊魂を闇の神々は好むのである。故に助力として与えられた邪悪なる霊力は、小癪な
悪しき加護に絡みつかれ、明らかに動きが鈍る敵勢。
さあ。目の見えぬ敵など恐れるに足りぬ。食い殺してくれよう!
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