そういえばキャラ名決めてなかったどうしよう。後で決めるか…(それ忘れるフラグやってば)
身の毛のよだつような苦鳴が、多重に響き渡った。
闇に包まれた塔の底。階段を降りた先、地下牢に突入させた
予想は出来たことだった。
さぞや名のある魔術師なのだろう。
彼ら闇の種族が信奉する闇の女神は血を好んだ。彼女に捧げる犠牲としてふさわしい。女神の住まう地下深くまで滴るよう、存分に血を流さねばならぬ。
やがては彼自身の断末魔を捧げるときも来よう。だがそれは今ではない。まだまだ捧げるべき供物は多い。この地上を闇で包み込むべく、その生命がある限り殺戮を続けるつもりだった。
彼は地上まで後退すると、敵を迎え撃つべく準備を始めた。
◇
地下になだれ込んだ
階段を一歩一歩進んで来るのは首のない女騎士。先日捕らえ、殺したばかりの人間が、まるで命あるかのように迫ってくる。いや、それだけならまだよい。異常ではあるが、死体が歩いているだけならば。
そいつは、控えめに言っても化け物だった。
槍が投じられる。
間合いに入ると同時に、女騎士は鉈を振り上げた。
耳を塞ぎたくなるような音。
まるでキャベツを叩き切るかのような無造作な一撃は、
屍を踏み越え、自らも死者である女騎士は進む。
再度の攻撃。
鉈が振るわれるたびに小鬼3匹が確実にひき肉となり、そしていかなる反撃も受け付けぬ。
四度目の攻撃で宙に舞う死体。それが、最後のひと押しとなった。
一匹が背を向けると、後は雪崩のように敵前逃亡を図る闇の者ども。
女騎士は後を追い、そして手近な者から切り殺していった。
◇
「……うまくいった……」
ローブの死霊術師は、安堵の余り床に座り込んだ。とはいえまだ終わったわけではない。上にはまだ
「ぁ……ぁ……」
彼の腕に抱かれた、女騎士―――そのなれの果ての実力にかかっていた。
男は、手の中の生首を自分の方へ向けると、その潤んだ瞳を覗き込んだ。
己の身に何が起きたのか理解できないのだろう。混乱した表情を浮かべた美しい顔立ちからはもはや腐臭は漂っていない。どころか、青白い事をのぞけば肌は張りを持ち、とても死者とは思えぬ様子だった。
だが、彼女は死んでいる。
胴体から―――肺から切り離されているがゆえに言葉を口にできぬ彼女へ、男は告げた。
「お前さんを死から遠ざけた。だが生き返ったわけじゃない。今お前さんが演じているのは生命のパロディみたいなもんだ。
あんたは生きてない。だから死ぬことはない。この世の理で殺すことはできない。だが、魔法は別だ。あんたにかけた不死の呪いより強い魔法なら、あんたを殺せる。ここまではいいか?」
「ぁ……ぅ……」
「泣きたいのは分かる。俺も泣きたい。地上には化け物がまだ残ってるからだ。
それよりも
だが、それでもあんたには勝ってもらわなきゃ困る。俺は死にたくないし、あんたも二度も死にたくないだろ?」
「……ぅ」
「いい子だ。
そう。その眼だ。奴らをぶっ殺せ。そしてあんた自身の復讐を果たすんだ。ついでに俺も助かる。いいことずくめだ。
だから、これは契約だ。
俺の敵を、俺に代わって討て」
「……ぁ」
女騎士の生首。言葉を発せぬそれは、しかし確かに表情を引き締めた。
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