疑問

保護者

 車の中で信号待ちをしていて、青信号になったので車がゆっくりと発進しました。

 助手席に乗っていた私は左側から飛び出して来る若い女性に気付き、運転席の人に停まれと指示しました。危うく、事故を招くところでした。


 2人して若い女性に注意をしようとしたのですが、女性は止まる事なく横断歩道を歩き続けます。…右手で、発進しようとする車を牽制しながら…。


 2~3車線ある道路の、全ての車が停まったと同時に若い女性の奥から、背中が曲がって前を見られないお婆さんが、ゆっくりと横断歩道を渡り始めました。

 私達はそれを、中央分離帯に到着するまでを見守りました。


 女性が飛び出して来た時、お婆さんの姿は見えませんでした。


 恐らく女性からすれば、黄色信号が見えた事でしょう。最初は、『保護者ならお婆さんを立ち止まらせなければならないだろう。』と思いましたが、仮にお婆さんが痴呆症で信号を守らない人だったとしたら…と思うと、若い女性の心理も分かる気がします。

 だけど、体を張ってお婆さんを止める事が出来たとも思えます。




 …果たして若い女性は、どんな心理だったのでしょうか?


 お婆さんが、言う事を聞いてくれない?…それで諦めて良いものでしょうか?

 事情を分かってもらえれば、車は停まってくれる?…そんな危険な散歩を毎日?だったら日本は、平和な国?それとも危険に対して、余りにも無頓着な国?若い女性はそれを知っていて、『今の内だ!まだ間に合う!』と思って横断歩道を渡ったのでしょうか?しかし彼女の右手は、前を見る事が出来ないお婆さんを守っていました。


 あの時の女性の行動に対して、未だに理解や判断が出来ません。

 彼女は平和ボケした、自己中心型の人物だったのでしょうか?それとも、家族思いな女性だったのでしょうか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る