レトロチックファンタジー

城戸 奏

第1話きらきら

少女はきらきらしたものが好きでした。

月や星や螺鈿に宝石、ビー玉、海に落ちているビーチグラス。朝日の煌めきや、水面の光。

どれもが少女にとって神秘的で、少女の心をときめかせるのでした。


ある日のこと、少女のお気に入りの大木がある丘に行くと、木に鳥籠がぶら下がっていました。

誰かの忘れ物でしょうか?

しかし、少女は中にキラキラと光るモノが入っていることに気づくとそんなことはどうでもよくなってしまうくらい嬉しくなりました。


キラキラ光るモノは籠の中で唄います。

籠の中で楽しげに踊るように動きます。


少女は光るモノをもっとよく見たくて、もっとよく知りたくて、鳥籠を開けました。


しかし、光るモノは鳥籠から出てきません。

それどころか、扉の対極から動こうとしません。


少女は焦れったくなって、扉から手を入れ光るモノを出しました。


すると、光るモノは途端に霧のように消えていってしまいました。


少女は茫然としました。

鳥籠をそっと抱きしめてみました。

少女の頬を涙が伝います。

鳥籠は仄かに温かかったのでした。




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