No.12 ギャングのボスは仲間愛がすごい?

13時02分・高天原神哉家二階トイレにて高天原神哉の回想


 何なんだよ! 今日の彼杵は何でこんな積極的なんだ!?

 無駄にエロい!!

 はっ! まさか......。ギャングと命がけの鬼ごっこをしているこの状況......。

 確か動物は命の危機を感じると性欲が増すとかいう都市伝説があったような......。

 それが今、彼杵に起こっているというのか!?



同時刻・高天原神哉家二階トイレにて東彼杵そのぎの回想


 うぅぅぅぅぅぅ......。

 恥ずかしいよぉぉぉぉ!

 ここしかないと思ってサヤ姉に教わった男とヤるまでの流れをしてみたけど......。

 いつもみたいに抱きつくとは全然違ってもう、なんか、ホントに! 言葉に表せないけど......、

 とにかくハズカシイ!!!!



13時07分・高天原神哉家屋上にて瀕死の佐世保和人と瀕死にした張本人、諫早沙耶の会話


「なぁ、サヤ~。許してくれよ~」

「うっさいわね! あんたはレディーを置いて猛ダッシュで逃げたのよ!? 許されるわけ無いでしょ!」

「え、レディー? 一体どこに?」

「まだ無駄口叩ける余裕があるみたいねぇ。もう一発殴っときましょうか?」

「すまんすまんすまん! つい癖で言っちゃうんだよ、ごめんって! ギャーーーーーー!!!」



同時刻・高天原神哉家ガーデンにて平戸凶壱とギャングのボスとのお茶会を見守る五島椿


「This tea is very tasty.」『このお茶はとても美味しいですね』


 うーむ。我には英語はさっぱり分からん。


「このお茶、美味しいって言ってるよ」

「凶壱、英語分かるのか!?」

「もちろん。よゆーのゆー次郎だよ」


 何言ってんだこいつ。しかし凶壱が英語分かるのであれば話は早い。

 名残惜しいがイクミをギャングに返そう。


「I`m sorry that my colleague did something dangerous to you.」『私の仲間が手荒なマネをしてすまなかったね』


 ギャングのボスは、カップを静かに置いて言った。


「It's ok.Because I almost fell down.」『いいんですよ。僕がほとんど倒しましたから」

「Wow.It is great.By the way, do you know why I came here today?」『ほぉ。それはすごい。ところで今日私がなぜここに来たかわかりますか?』

「Of course.You want me to return your gang group's new hit man?」『えぇもちろん。あなたのギャンググループの新人ヒットマンを返して欲しいんですよね?』


 どうしよう。凶壱が英語ペラペラなのにも驚きだが、何より言葉が何一つ分からないのが驚きだ。

 ......学校行って英語、勉強したほうがいいかな。



13時03分・高天原神哉家二階トイレにて高天原神哉の回想


 うおぉぉぉお!

 俺の理性よ保てーーー!

 ここで彼杵と一線越えてしまってはいけない!

 こんなこと考えて必死に耐えている最中も彼杵はずっと胸を押し当て、上目遣いで誘ってくる。

 心なしか頬も紅潮してる。か、カワイイぃぃ。そしてなりよりエロぃぃ。

 アレ? でも待てよ......。俺は結構というかだいぶ彼杵に惹かれてる。

 てか普通に好き。彼杵も俺のこと好き。

 なら、だったら別に一線越えても、いいんじゃないか!?



同時刻・高天原神哉家二階トイレにて東彼杵の回想


 どうしよーーーー!

 ここまで誘惑しといてなんだけど少し怖くなっちゃった。神哉くんが本気になってくれたらきっとすっごいエッチができる。神哉くんとひとつになれる!

 でもまだ付き合ってもいないのに先に体の関係になるなんて。

 それこそ前に凶壱先輩に言われた子供を作れば、優しい神哉くんは私と結婚してくれるって考えと一緒になっちゃう。ここはやっぱり自制しよう。それが良い。

 あ、マズイ! 気持ちを落ち着かせた途端、

 お、おしっこしたくなってきちゃった......。

 でもここトイレだから大丈夫か、ってダメじゃん! 神哉くんいるよぉ!!!



13時09分・高天原神哉家ガーデンにて平戸凶壱とギャングのボスの話を聞く五島椿


「The story is quick if it knows.Please return quickly. I do not want to do any more rough copying.」『分かっているのなら話は早い。早く返してください。これ以上手荒な真似はしたくない』

「Please look at your feet.」『足元を見てください』


 凶壱は笑顔を崩さずテーブルの下を指差した。ギャングのボスは警戒しながらも足元を覗く。そして当然犬として調教されたイクミを見て驚くギャングのボス。


「why!? Helen......Why are you becoming a dog !?」『何故だ!? ヘレン......お前何故犬のようになっている!?』


 おぉ、ヘレンだけは聞き取れたぞ。イクミの本名はヘレンというのか。


「What have you done to my colleagues!」『貴様! 私の仲間に何をした!」


 先ほどまで温厚な雰囲気だったギャングのボスは怒りをあらわにした。ギャングとはそんなに仲間愛がすごいグループだったのか......。


「Do not get angry.This person tried to kill my friend somehow.」『そう怒らないで。この人は僕の友達をなんとなく殺そうとしたんですよ』


 それを聞いてギャングのボスは怒った顔を一度落ち着かせるためにお茶をごくりと飲んだ。だが凶壱の挑発は止まらない。

 続けて、


「Sorry, but this is obviously a reward.」『悪いけどこれは当然の報いだ』

「I will not forgive you for you to die.」『許さんぞ! 貴様には死んでもらう』


 完全にブチギレたギャングのボスは、椅子が倒れる勢いで立ち上がり、胸元から拳銃を取り出した。銃口を凶壱の眉間に向ける。その拍子にお茶が下にこぼれてしまう。

 イクミにもかかってしまった。

 普通だったらヤバイとか思うところだが、銃弾を簡単によける凶壱を見てきて感覚が麻痺しているようだ。落ち着いて見ていられる。

 言葉は分からないが雰囲気で挑発してる感じだったから、きっとギャングのボスを倒す自信があるのだろう。

 すると依然笑顔のままである凶壱が、久々に日本語で我に言った。


「ツバキちゃん。きっとまた僕が銃弾よけてこいつを倒してくれる、とか思ってるんだろうけど、さすがの僕でもこの至近距離はよけられそうも無いよ」

「は? ちょ、ちょっと待て。我はお前がめっちゃ自信満々でニコニコ笑顔だったから揉めとるときも何も言わなかったんだぞ! なんの策もなしで挑発してたというのか!?」

「ご存知の通り、僕は無責任無思考で生きてるんでねwww」


 こいつ、頭イッてるわ......。


「It is a sin that crazed a friend!! Dead!」『仲間を狂わした罪だ! 死ね!』


 銃のセーフティを解除し引き金を引くギャングのボス。絶体絶命の状況でも凶壱はニンマリ笑って、


「僕の今日の運勢、凶みたいでーすwwww」



13時05分・高天原神哉家二階トイレにて高天原神哉と東彼杵の回想、会話


 やべぇ、超小便がしたい......。いくらトイレにいるとは言え彼杵が超近距離にいる前ではできない。

 一体どうすれば......。


 あぁぁぁ! もう我慢の限界。おしっこ漏れちゃうよぉ。神哉くんがいる前では恥ずかしくてできない。

 一体どうしたら......。


 我慢の限界、尿意がピークだった二人は恥を捨てることにした。


「彼杵! すまん、小便がしたい!」

「神哉くん! ごめんなさい、おしっこがしたいです!」

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