第七罪

No.11 サイコパスにはギャングも敵わない?

12時43分・高天原神哉家三階の浴室にて佐世保和人の回想


 やべぇやべぇやべぇやべぇ。

 あいつらマジ過ぎる。本気で殺される。

 ギャングってやべぇ。

 うっかりサヤ置いて逃げちゃったけど大丈夫かな。



同時刻・高天原神哉家一階の物置に隠れる諫早沙耶の回想


 あのクズ野郎............。

 あたしを置いて一目散に逃げるなんて。

 生きて会ったらギャングより先に殺してやる。



12時58分・高天原神哉家二階のトイレにて高天原神哉と東彼杵の会話


「ギャングあんな本気だなんて聞いてませんよ!」

「俺だって聞いてねえよ! ギャングのヒットマン一人のことであんなに銃弾飛ばしてくるとは......。話し合えば解決できるという考えは甘かったようだな」

「イクミちゃん、カワイイからギャング内で人気あったんじゃないですか?」

「なるほどな。しかし彼杵よ」

「どうしました?」

「少し離れてくれるか......、その狭いのは分かるが胸が当たってるんだ......」



12時59分・高天原神哉家一階のエントランスにて平戸凶壱の暴走を見守る五島椿と壱岐イクミ


「ぅッひゃぁーー! 僕は全面的に悪くないからね!」


 我、凶壱、イクミのチームはギャングから逃げるというよりも、凶壱がひたすらギャングを倒している。


「不法侵入に銃刀法違反! 君たちが全て悪い! だから僕にボコボコにされても文句は言えないだろう!?」

「凶壱、その辺にしておけ。いくらギャングとはいえそこまでやるとこっちにも非があるぞ」

「ワンワン!」


 我が少し釘をさすと凶壱は殴る手を止め、


「人はなんて儚く脆いんだ」


 ニヤリと笑ってギャングから手を離す。カッコイイつもりか? 対してイケメンなこと言えてないぞ。


「Give me back my friends......」


 ギャングが口をそろえて何か言っているが、我に英語はさっぱり分からない。



13時3分・高天原神哉家二階の大廊下にて佐世保和人と諫早沙耶の再会


「おっ、サヤ!」

「あっ、カズ!」


 大廊下の端と端にいる二人。長い廊下を走って二人は感動の再会を......、


「ぐほっ!! な、何故殴る!?」

「白々しいわね! あんたあたしを置いて逃げたでしょうが! ギャングじゃなくてあたしが殺してやるわよ!」

「タンマタンマ!! どっから持ってきたんだその鉄パイプ!?」

天誅てんちゅうーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

「ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」


 感動の再会もといカズ死の再会となった。



13時00分・高天原神哉家二階のトイレにて高天原神哉と東彼杵の会話


「何言ってるんですか。私、神哉くんにならどんなことされても良いと思ってるんですよ?」

「うおおい! 胸を押し付けるな!」


 柔らかな彼杵の胸の感触が肌にダイレクトに伝わり、動揺を隠せない神哉。

そこへ追い討ちを掛けるように、


「私のこと、めちゃくちゃにしていいんだよ?」


 神哉の耳元で妖艶に囁やく。


「なっ、め、めちゃくちゃだと......」

「ふふっ、神哉くんココ、カタくなってるよ♡」



13時05分・高天原神哉家ガーデンにて平戸凶壱と五島椿と壱岐イクミの一服


「いやー疲れたねー。やっぱし逃げるなんかよりボコったほうが早い」

「残念だが、銃弾よけられるのはお前だけだからな」


 今、我と凶壱は洋風庭園の白い丸テーブルにお茶を注ぎ一服中だ。イクミはテーブルの下で体育座りしてじっとしている。

 しかし凶壱といるとギャングと命がけの鬼ごっこしてる気分には一切ならない。

というか、なれない。


「ふは~、このお茶美味しいねぇ。いつもリビングに集まるから知らなかったけどこんなにおしゃれな庭があるとは......、いるだけでお金持ちになった気分だよ」

「そうだな。綺麗に整えられている花壇、木々。おお、あそこにはハンモックまであるぞ!」


 豪邸過ぎるなこの家。神哉には非常にもったいない。

 我が美しい花たちを愛でに行こうかと立ち上がった時、


「Hello. It is very nice weather today.」


 流暢な英語が聞こえた。そこにいたのは白いスーツに身を包んだ四十代ぐらいの白人のおじさん。


「おやおや、これはギャングのボス様の登場かな?」


 凶壱はごくりと一気にお茶を飲み干し、ニヤリと笑った。



13時01分・高天原神哉家二階トイレにて高天原神哉と東彼杵の会話


「バカっ、股間を触るなっ!」


 いつもとは全く違う彼杵のアプローチに動揺する神哉。男性特有の生理現象を起こしてしまう。


「うふふ、神哉くん。今日はなんだか...カワイイね」

「お前今どうゆう状況か分かってんのか!?」

「分かってるよ。もしかしたら殺されちゃうかもしれない危ない状況でしょ?」

「分かってるならなんでこんなことを!?」


 神哉の問いに彼杵はまっすぐに目を見て言った。


「死ぬ前にせめて神哉くんとイチャイチャしたいんです! えっちしたいです。むちゃくちゃヤりたいです」

「彼杵、落ち着けえええええ」

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