第六罪

No.8 ギャングにだけはケンカ売ったらダメ?

 ギャングとは。日本語でもっぱら「暴力的な犯罪集団」を意味する言葉である。その構成員はギャングスターと呼ばれ、その構成員は大きく分けてウォリアー(戦闘員)とハスラー(麻薬の売人、売春などの元締め)の2つがある。日本のヤクザとはまた少し違うらしい。




 二月も終わり頃。俺は現在、友達のネット詐欺師、高天原神哉の家へと向かう。


「おじゃましまーす。結婚詐欺師で〜す」


 玄関のドアを開けていつも通り明るく入る。

 すると、


「何故だ! 何故我からパソコンをうばう!」


 ロリっ娘ハッカーのツバキちゃんの声が聞こえる。


「ダメです! 師匠のネット依存は心因性なんですから、我慢してください!」


 神哉の少し怒った声が聞こえてきた。


「おじゃま〜、何してんのー?」


 いつもみんなが集まるリビングのドアを開ける。


「おぉ、和人ぉ! 我にパソコンをくれぇ〜〜」


 ツバキちゃんが床で仰向けに倒れて俺を見る。


「あげるんじゃないぞカズ。なるべくネットから離れさせるようにしてるんだ」


 なるほど。心因性って確か不安があったり願望があるときに引き起こる病気のことだったか。少しでもネットがない環境に慣れさせようとしているみたいだ。

 大丈夫かな。ツバキちゃん床で転がりまわってるけど。


「たのむぅ〜、わ、我にぃ、ネットぉぉぉぉぉぉ」


 見てて心苦しいがまだ若いツバキちゃんなら、少しの苦痛にも耐えてもらおう。



「ってそんなことよりも!」


 視点は変わってどーも、高天原でーす。


「平戸さんはどーしたんだよカズ」

「凶壱さんならイクミちゃんとゴミ漁ってたよ」


 あーねあーね、平戸さんホームレスだからね。ゴミを漁って武器とか作っちゃいそうだもん。って! それよりもイクミを連れてくることが大事だろ!

 その時、


「おっじゃまーーー、凶壱で〜す」


 リビングにいきなり入ってきた平戸さんと...平戸さんに調教され犬と化している赤毛の美女、壱岐イクミ。


「平戸さん何してたんすか! なるべく早くうちに連れて来いって言ったじゃないですか」

「ゴメンゴメン。つい使えそうなゴミを拾ってきちゃったんだよ」

「んなことしてる場合じゃないんすよ!」


 俺が何故ここまで焦っているのか、それは簡単なことだ。平戸さんが連れてきた美女、イクミは実はギャングのヒットマンなのだ。もしギャングの一員を俺たちが誘拐したと勘違いされれば確実に俺たちは殺される。抗争だ、抗争。


「とにかく、早くイクミの調教をなかったことにしてくださいよ」

「あのさぁ〜神哉くん。僕調教できても調教前に戻すことはできないんだよ」


 平戸さんはさも当たり前のように首をすくめる。


「でもその状態で野に放ったら捕まりますよ、絶対!」

「だからって調教する前に戻せと言われてもねぇ」

「調教する前の状態に調教するってのはできないんすか?」


 カズが缶ビールを飲みながら言った。


「できないね。僕この子の調教する前のこと全然知らないもん」


 即答する平戸さん。


「じゃぁ一体どうすればぁいいんだぁ!」


 俺が頭を抱えていると師匠が肩に手を置いて、


「神哉〜〜、ギャングに殺される前に少しでもいいからパソコン触らしてけろ〜」

「師匠、諦めないで! きっとギャングもしっかり説明すれば納得してくれる......」

「わけないよなー」


 カズが俺の言葉を盗んで言った。てめぇ呑気にしてるけどお前も道連れだからな!


「こうなったらもうイクミを捨てましょう」

「は!? 神哉くんなに言ってんの! ダメだよー、この子の中身はもう子犬と同じなんだよ?」


 しかしこのままじゃ......。きっとギャングもイクミのことを探してるに違いない。アレ、待てよ!?


「師匠! パソコン使っていいです! その代わりに調べて欲しいことがあります」

「その条件飲んだ! 今すぐパソコン使わせい! で、なにを調べるんだ?」


 パソコンを使わないでだいぶ時間が経った師匠は限界だったようだ。条件を言う前に飛びつくようにパソコンに向かった。そして調べる内容を問う。俺はたっぷり溜めてビシッと遥か空を指さして言った。


「この街に潜むギャングの居場所です!」


 次は犯罪者たちがギャングの本拠地に忍び込むようです。

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