No.9 分からなかったが分かったことがある?
「この街に潜むギャングの居場所です!」
「ギャングの居場所ぉ? そんなの調べてどうするんだ?」
師匠が首をかしげる。
「こうなったらもうギャングの本拠地に忍び込んでイクミを置いて帰るんです。そうすれば頭打ったかなんかで頭おかしくなった事にできるはずです!」
「神哉くんそれはさすがにどうかと思うよ? 忍び込むなんて見つかったらボコボコだよ」
平戸さんはやれやれといった感じで肩をすくめる。しかしもうこれ以外考えられない。そうさ! 俺たちが生き残るためには、もうこの作戦でいくしかない!
「まぁとりあえず任せい、久々のハッキングだあからなぁ」
そう言うとすぐにカタカタ調べだした。そしてすぐにいつも通り、
「くッ、ハァァーんっ! ひっさびさぁぁぁ♡」
皆さまお待ちかね! 五島椿の喘ぎシーンですよ〜!
これ以上なんか言うのはやめておこう。バレたら師匠に殺される。
「あぁんもう! これよコレェ⤴︎ イックゥーーーー!」
「相変わらずいい感じに喘ぐねーツバキちゃん、可愛いなぁ〜」
「和人くん目がちょっとマジだよww」
カズ、お前今ホントに性犯罪者の顔してたぞ。
いつかマジで性犯罪を犯さないか心配だ。
「はぁ、はぁ、はぁ......。航空会社のデータベースによればちょうど一週間前にアメリカから団体客が来てる。そしてこの街にやってきたようだ」
「なるほど、それで何処どこにいるかわかりました?」
「あぁ、それなら分からなかった」
さっすが師匠だ! やっぱり師匠にかかればこの世に調べられないことはな......い?
「えぇ!? 分からなかった? 何故何故何故!?」
「お、落ち着け落ち着けい! それは分からなかったが分かったことがある」
俺が師匠の肩をユサユサ揺らすと慌てて師匠が弁解する。分からなかったけど分かったこと?
「我が調べて分からなかったということは、調べていた前提が間違っているということだ!」
「......と、言うと?」
師匠が全く何を言ってるのか分からない。俺がさっぱり分からないからどういうことなのか詳しく教えてください師匠! という感情を顔で表現する。
それに気づいてくれた師匠はドヤ顔で言った。
「調べていた前提、つまりギャングの居場所を調べるという行為そのものが間違っているという事だ」
「いやぁ〜さっぱり分からんなぁ」
カズも意味が理解できないようだ。俺も一緒だよ。超イミフー。
「分からないのかい二人とも? つまりギャングの居場所なんてないって事だよ。ないものは調べることができないって事さ」
おぉ! なるほど。奴らは本拠地とする居場所を持っていないから調べても出てこないってことか! 最初からそう言ってくれればいいのに......。
「え、てことはギャングはこの街にいないのか?」
「いや、そうじゃない。この街のどこかにはいる。ただ住処を持っていないだけだ」
むぅー。そうなると俺の考えたギャングの本拠地に忍び込んでイクミほったらかし作戦が実行できない。
その時だった。勢いよく玄関のドアが開き、彼杵とサヤ姉が入って来た。
そして取り乱して、
「神哉くんヤバい! 怖い外国人のおじさんたちが攻めて来てる!」
「は?」
「は、じゃないわよ! 銃だのナイフだの持ってるわよ、殺されるわよ!」
ちょっと待てマジで? つまりイクミを取り返しにギャングが攻めて来てるってことか!?
いきなり!?
「まずいことになったなぁ。逃げるか?」
「無理そーだねぇ。ほら、もう外にたくさん集まってるよwww」
最悪だ。俺たち殺された......。
犯罪者たちはギャングにそうとう追い詰められているようだ。
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