第五罪
No.7 殺し屋も調教されればワンちゃんに?
殺し屋とは。または暗殺者とも言うが、殺人を請け負うことで金銭的利益を得る者。依頼人から金をもらって殺人を請け負うことを職業としている者のことを指す。ちなみに死刑を執行する人間のことも殺し屋と言ったりする。これ豆な。それじゃあ本編を話していくとしよう。
リビングに入ってきた男は、黒のフードつきコートに身を包み、とりあえず真っ黒。って! よく見たら靴のままで入ってきてるじゃん!
アーユーアメリカ人?
「諫早沙耶はあたしよ。まず靴を脱ぎなさいよあんた」
「おおっとすまない。ジャパンの作法は靴を脱ぐんだったな」
サヤ姉の言葉に素直に靴を脱ぐ黒服男。
この場にいるみんなが(平戸さんを除く)静かに正座で黙っている。
全員が息を呑んで男が話すのを待つ。
が、男は靴を脱いでそのまま黙って突っ立っている。拳銃持ってるから下手に動けねぇ。足しびれたよー。
「ねぇなんか話せよ。何、人見知りなの?」
相変わらず空気の読めない男、平戸さんが男に話しかける。
「あぁすまない。今俺のカラスから伝言がきてね。耳をすましていたんだ」
何言ってんだこいつ。中二病か?
「俺のカラスは人が死ぬのを見届けると特別な鳴き方をして知らせてくれるんだ」
「おい神哉。こいつ何言ってんのか分かるか?」
カズがこそっと俺に耳打ちする。
「こらそこの青髪。聞こえているぞ」
カズは拳銃を向けられて震え上がってしまった。
「さっさと本題に入りなさいよ。そんな物騒なものあたしたちに突きつけて、なんのつもりよ」
サヤ姉が切れ気味に訊く。
「さっきも言った通りだ。諫早沙耶。お前をある人物から消すように依頼された。つまるところ殺しにきたんだ」
「どうゆうことよ。もっと具体的に説明して。誰に依頼されたのよ」
「クライアントは教えられない。それにお前知ったってすぐ死ぬんだから関係ないだろ」
そう言って銃をサヤ姉に向け、セーフティを解除。マズイ、このままじゃマジでサヤ姉殺される。
その時だった。
パンッ!
っと一発の銃声が俺の後ろから聞こえる。いきなりの銃撃に殺し屋は驚きはしたが、華麗に銃弾を躱かわした。全員がその銃を撃った張本人、平戸さんに注目する。
「アハッ! 驚いた? 驚いたでしょw。まさか一般人が拳銃持ってるとは思わないもんねぇ?」
平戸さんは挑発するように拳銃を殺し屋へ向けた。おそらくこの拳銃は強盗団をこの人がひとりで倒した時に奪い取ったまま持っていたのだろう。あんた犯罪は犯さないとか言ってるけど普通に銃刀法違反なんだけど。
「そんな半端な危機感でよくもまぁ殺し屋やってるもんだwww」
フードで顔が陰かげって殺し屋の表情が読み取れない。怒ってるか?
「…………」
「………w」
お互いに沈黙が続く。いや、平戸さんはこんな時でも笑ってらっしゃる。ホント馬鹿だろ。
パンパンッ!
先に動いたのは殺し屋の方だった。平戸さんに銃を二発。しかし、なんと驚き平戸さんまでもがさっき華麗に避けた殺し屋のように銃弾を躱す。
怖ぇ。なんでそんな身のこなしできんだよ。銃弾見えてんの?
さすがの殺し屋も驚きを隠せないようだ。銃口を平戸さんから床に落とす。
「貴様、何故避けられる」
口調は落ち着いているが、頭の上にはクエスチョンマークといった感じだ。
「目だよ、目。君みたいなプロだからこそしっかり狙って撃つ。君の目でどこを狙って撃とうとしてるのか丸わかりだったよ」
やっば。俺殺し屋の顔見てたけど、目動いてたか?
そのまま平戸さんは目にも留まらぬスピードで殺し屋に近づき銃を奪い取る。そのスピードにまたも驚く殺し屋は一瞬ボーッとしたがすぐに平戸さんから距離をとる。
「アハハッ! 君ホントに殺し屋かい? あまりにも気を抜きすぎじゃないww」
「うるさい」
ダンッ!
と勢いよく平戸さんに踏み込み姿勢を低くする。
すると右手の袖からナイフが飛び出し一気に下から平戸さんの顔に向かって刺そうとする。
その流れるような動きは人を殺すという非人道的行為のはずなのに目を奪われる。
それを受ける平戸さんはというと、体を海老反りにしてギリギリ刃先を避ける。
海老反りのまま手を後ろにつき足を上げて逆立ちの姿勢をとった。足をあげる時に殺し屋の手をおもいっきり蹴り飛ばしナイフを天井に飛ばす。ナイフは天井に深く突き刺さった。
ちょっとちょっと、戦うのはいいけど我が家を傷だらけにしないでくれよ。
「おいおい、せっかく僕が時間稼ぎしてあげてるんだからさっさと逃げたらどうだい?」
平戸さんが俺たちの方をチラリと見て言った。
「あ...すんません。おいみんな行くぞ」
俺はみんなを促して外に出す。その時、春昌さんがこそっと俺に耳打ちした。
「あの、凶壱さんは一体何者なんですか?」
何者と言われてもなぁ。俺だってよく知らん。
「俺もよく知らないんっすよ。でも今言えるのは、あの人しか殺し屋を足止めできないってことですね」
それだけ言って俺たちは家から逃げた。
「いいのかい? 追わなくて。ターゲット逃げちゃうよ」
「今はいい。どうせ今追っても貴様に足止めされるだけだからな」
「分かってるねぇ〜。人助けなんて僕の柄がらじゃないんだけどなぁ」
「だったらどけ。今すぐ追って殺す」
「いやそれよりも君さぁw」
「なっ! ちょっ、何をする! やめっ。ヤメろ!」
一方その頃。逃げ出した俺たちはというと、
「ヤバかったですね。あいつマジでしたよ」
「殺し屋って本当にいたんですね」
彼杵と春昌さんは殺し屋初見さんのようだ。
ちなみに俺は架空請求業者にいた頃一度見たことがある。
「私たちだけ逃げてきて凶壱さんは大丈夫なんでしょうか? 彼だけ置いてきてなんだか悪い気がします」
「大丈夫ですよ春昌さん。逃げるは恥だが役に立ちます」
俺のパロディネタもドラマを見てないという春昌さんには伝わらなかった。
「おいサヤ。お前何したんだよ。誰かに恨まれるようなことしたのか?」
カズがサヤ姉に詰め寄る。
「正直に言うと、心当たりがありすぎてどれか分からないわ」
まぁそうだろうな。カズも分かってて質問したに違いない。カズやサヤ姉の仕事は確実に騙す相手と顔を合わせるし会話しなければならない。ぼったくられて恨んでるようなやつはわんさかいるだろう。
その時、俺の洋服の袖がツンツン引っ張られた。誰かと思えば師匠だった。
「のぉー神哉ぁ。ぱ、パソコンをくれぇ。ねっ、ねっとおくれぇ......」
「あぁーっと! そうでした。ハイどうぞ、ちゃんと師匠のスマホ持ってきましたよ」
ネット依存症の師匠は常にパソコンかスマホをいじっていないと死ぬ。だから俺はいつも師匠のスマホを持ち歩くようにしている。
「それで、これからどうするんです?」
彼杵が心配してみんなの顔を見回す。
「サヤのこと恨んでるやつ探して謝るってか? それ覚悟で犯罪してんだろーが、俺たちはよ」
カズは主にサヤ姉に向かって言った。
全員俯いてしまう。それはみんな重々承知している。
しかしだ。さすがにこれまで仲良くしてきた人が殺されると分かっていて何もしないのはどうも気分が悪い。
「そのことなんだが......俺に少し心当たりがあるんだ」
俺はその場に座り込む。走って疲れてしまった。
「神哉、まさかあそこに行くのか?」
師匠が顔をしかめる。
「どこです? あそこって」
「もしかしたらサヤ姉を恨んでる人のことがわかるかもしれない場所だ」
師匠を除くみんながハテナ? と首をかしげる。仕方ない。ここは俺がみんなに説明してやろう。
その場所は、
「殺し屋仲介業者、『ジャッジメント』!」
「ココですか? その『ジャッジメント』ってのは」
「あぁそうだ。表向きは普通のカフェを装ってるが、実態は店に登録された殺し屋たちを依頼主と仲介するのが本業だ」
そこは以前師匠の店に来た時と同じ裏通りにある一軒の店。店の上の大きく看板に『ジャッジメント』と書かれている。
「よし、行きましょう」
サヤ姉が先陣きって店に入る。カランコロンと何がなっているのか分からないがおしゃれなカフェに入ったら絶対鳴る音がここでも鳴った。
「いらっしゃいマセ! 空いてるお席にどーぞ!」
入るとともに元気ハツラツなメガネのウェイトレスおねぇさんが出迎えてくれる。
店の中は真正面にカウンター、ところどころに古びた丸いテーブルが置いてあり、テーブルには付属品のように古びた座ると折れそうな椅子がいくつか並べられている。
俺たちはカウンターにそれぞれ座る。一応コーヒー豆とかのいい匂いがする。
「マッスター! お客さんでーす」
ウェイトレスメガネさんが店の奥に大声を出してマスターを呼ぶ。程なくして奥からコツコツと足音を立てて白髪でヒゲがサンタクロースみたいに長い老人が出て来た。
「いらっしゃい。なんにします?」
俺たちを見回してオーダーをとる。
「メニューは何があるんだい?」
カズがマスターに訊く。
「うちはコーヒーしかないよ」
ヒゲをいじりながら笑う。
「我はこーひー飲めんぞ! ジュースジュース!!」
師匠が足をバタバタさせてダダこねる。
「おや、誰かと思えばハッカー屋じゃないか。店が警察に取り押さえられてどこに消えたかと思えばこんなたくさんの友達といたんじゃな。よかったよかった」
「え、ツバキさんお知り合いなんですか?」
春昌さんが師匠とマスターを交互に見る。
「まぁな。裏通り組合で顔合わせとったぐらいだ」
なんだよ裏通り組合って。秘密組織か!
「素直じゃないなぁ〜ツバキちゃん! 私にいっつもベッタリだったじゃない」
ウェイトレスメガネさんが師匠を後ろからハグする。
「むっ、昔の話はやめい! 弟子が見ておるんだ。恥ずかしいではないか」
ちょっと恥ずかしい過去を暴露された師匠は俺を見る。
「あぁ、君がハッカー屋の弟子かい。確か〜、神哉とか言ったね」
マスターは俺のことを知ってるようだ。
「ども、高天原っす」
「ハッカー屋はワシの孫のような存在じゃったからな。店に引きこもって仕事に熱中し出してからはうちに顔も見せんくなってねぇ。寂しかったんだよ」
「ちょ、それ以上我の昔話はヤメろ! 本題には入れ! 本題に」
師匠ちょっとお怒りのご様子。まぁまぁとか言ってウェイトレスメガネさんが師匠をなだめている。俺が本題に入ろうかと思って口を開いた時、
「あたし、殺し屋に命狙われてるんです。殺し屋仲介業者のあなたに誰があたしを殺すよう依頼したのかお聞きしたいんです」
サヤ姉が立ち上がってマスターに言った。
「なんと!? あなたが殺されかけているということですか。うーむ......そう言われましてもねぇ、クライアントはあかせないんですよ」
マスターは申し訳なさそうに眉をへの字にした。
「そこを! そこを何とかお願いします! 決して俺たちは依頼主さんをどうこうしようなんて思っちゃいません」
俺が頭を下げてお願いするが、マスターは難しいといった顔だ。
その時、ジリリリリリリンと電話が鳴る音がした。マスターがすぐに受話器をとる。
「ハイ、もしもし、こちらジャッジメントです」
それからマスターは電話の相手と何か話し込んでいる。時折、はぁはぁとかなるほどとか相槌を打ちながら。この店に電話、ということは殺しの依頼だろう。
「ねぇどうするんです? このままじゃぼったくった相手に金返して依頼をとり消そう作戦がボツになっちゃうよ」
彼杵がこそっと俺たちに話しかける。
「どうすんだ神哉。サヤこのままじゃ殺されちまうぜ」
「分かってる、分かってる!」
この業界の人間は覚悟を決めて仕事をしている。警察に捕まってブタ箱行き、それもあるが一番に考えるのは今のサヤ姉のように殺されるかもしれないということを覚悟しなければならない。
もちろん人の恨みを買うのが大前提の業界。
この店みたいに少しネットをいじればすぐ殺し屋を雇える。
だから、だからって俺は何なんだよ!
サヤ姉が殺されるのは仕方がないとか考えちまってる! 最低だ。でも、ここもダメならもう打つ手はない。
「仕方がないわね。あたし殺されるわ」
「はぁ! 何言ってんだお前」
サヤ姉の突然の言葉にカズが取り乱す。
「その覚悟でこの仕事やってたんだもん。カズ、あんたもそうでしょ? 特にあたしらターゲットと顔を合わせる仕事は恨みを買いやすい」
言われて俯くカズ。
「イヤですよ! サヤ姉は絶対殺させません! 私の結婚式で友人代表スピーチしてもらうんです!」
「フフッ。ぜひともしたかったわ」
ニコッと笑い、立ち上がるサヤ姉。
「あの〜、あんまりというか全然会話したことないですけど流れ的に私もサヤさんに何か言ったほうがいいですかね?」
「お前は空気を読めバカ」
あまりにも不謹慎な春昌さんにゲンコツを食らわす師匠。
「じゃありがとね、今まで。面白かったわ」
店を出て行こうとするサヤ姉。
止めなくちゃいけない。心の中ではそう思う。でも前にカズが俺にも言った。
『捕まった奴に情けはない』と。
今だってそうだ。殺し屋に狙われても情けはないのが犯罪者。それを分かっている彼杵は横で泣いて我慢している。
「ちょっとお待ちください!」
電話を終えたマスターがよく通る声で声を張り上げた。
そこまで大きい声ではなかったが不思議とみんながマスターに注目する。
「あなたのお名前は先ほどの会話を聞く限り、サヤさんでお間違いないですね?」
「えぇ」
マスターはカウンターの奥の棚から一冊のファイルを出して何かを確認しだした。
「あなたのお名前は殺し依頼リストのどこにも載っていません。本当に殺されかけているんですか?」
「!?」
何を言ってるんだ?
確かに俺たちは諫早沙耶を探していると言う拳銃を持った男に襲われた。それは事実だ。なのに殺し依頼がきていないとはどうなってるんだ。
「うちの店には日本全国の殺し屋、暗殺者が登録しています。殺しの依頼は必ずこの店に電話がかかってくるはずです」
じゃぁ一体あの男は誰なんだ......。
全員が頭の中でその思いを巡らせていた。
「理由は簡単さ。その子が日本の殺し屋じゃないからさ」
カランコロンという入店音とともにそう話すのは、
「平戸さん!?............とそれは一体?」
平戸さんはリードを持っていた。そのリードの先には犬ではなく、フードの上から犬の付け耳をさせられている例の殺し屋だった。
「凶壱くん、どうゆうこと? なんでそいつと一緒なのよ」
サヤ姉は胸の前で腕を組み、自分を守る体勢に入っている。
「安心してよサヤちゃん。この子は僕の命令に逆らえないように調教したからww」
「ワンワンッ!」
でたぁ〜〜『平戸節』炸裂であります。ちなみに『平戸節』とは平戸さんによる平戸さんの気にくわない相手を死んだほうがマシだと思わせるほど一生後悔させることである!
しかし、調教したって何したらそんなに犬みたいになるんだよ。
「平戸さん、詳しく説明してくれ。その〜諸々と」
諸々、ワンワン鳴くようになった理由を......。
「この子はアメリカのギャングのヒットマンなんだよ」
「ギャングでヒットマン!? まるでニセ○イの鶫誠○郎ですね」
すまん彼杵。俺にはそのマンガとか映画ネタが一切分からないんだ。
ツッコめなくてすまん。
「でもどうしてギャングのヒットマンなんかがサヤさんを?」
春昌さんが珍しくもっともなことを言った。
「どうやらまだヒットマンなりたてらしくてね。この街で聞き耳立てていたら、ぼったくりのキャバ嬢がいるって噂を聞いたらしいんだ」
ちょっと待て待て。まさかそれって。
「初仕事にその恨まれてる人が多いサヤちゃんを狙ったみたいだよ?」
「カァッチチーーン!」
サヤ姉ブチギれのようだ。初めてカッチーンという効果音を口で言う人を見た。
「ふっざけんじゃないわよ! そんな簡単に人の命を奪おうとするんじゃないの!」
サヤ姉が殺し屋に説教する。
が......、
「クゥーンクゥン.°(ಗдಗ。)°.」
「おーよちよち。怖かったなぁw」
ダァメだこれ。殺し屋は完全に犬と化しているし、平戸さんは飼い主気分だ。
「その犬をどうにかしろぉ!(ToT)」
結局サヤ姉はいつもなんか可哀想な役回りなんだよなー。
「はっはっはっ! 一件落着ですね」
「メデタシメデタシです!」
マスターとウェイトレスメガネさんが、ニコニコ笑って勝手に話を終わらせている。
「最後は思った通り終わらないんだよなー、いつも」
カズも仕方ないなと肩をすくめている。ちなみに師匠はお昼寝の時間なので就寝中。
「よし決めた! 今日から君の名前は、
「ワンワンワーーン」
喜ぶ犬がしっぽを振るようにお尻を振る殺し屋改め、
「てゆーか凶壱先輩、その人男ですよね。なんでイクミ?」
「あ、この子女の子だよ」
「え、エェーー!?!?」
平戸さんがイクミのフードを取った。なんとそこにはまさに絶世の美女、赤毛のロングヘアを後ろで縛っている超美しい外国人顔。
ヤベぇ、ポニーテールが尻尾みたいだ。なんか犬っぽく見えてきた。一回これまでのイメージを捨てよう。
うん。それがいい。
「お約束じゃおわんないねぇ〜」
また面白い仲間が増えたと喜ぶカズ。師匠のところに行ったときはキャラの濃い犯罪者はもううんざりといった感じだったが、ここまできたら多いほうが面白い。
「どうして? なんでいつもあたしが嫌な役目なのよぉ......」
自分のキャラを恨んで泣くサヤ姉。
「めっちゃ可愛いじゃないですか! イクミちゃん」
「でしょでしょ。最初は一人称が俺だったから気づけなかったんだけどねww」
金髪美女のイクミの話で盛り上がる彼杵と平戸さん。
「zzzzz(-_-)zzz」
お昼寝中の師匠。
最近は全然落ち着けないなぁー。いろいろありすぎだよマジで。でも、それも退屈なネット詐欺ばっかしてるより楽しいからな。犯罪やってても楽しんでいいんだよ。うんうん。
「あの〜ちょっといいですかね」
突然今まで黙っていた春昌さんが声を出した。
「どうしたんすか、春昌さん」
「凶壱さんの言っていたその子の所属してるギャングとやらは、大丈夫なんでしょうか?」
「と言うと?」
「ですから、一応新人ヒットマンとはいえイクミさんはギャングの一員なんですよね? そんな子を調教して我々が一緒にいて......大丈夫でしょうか」
つまり春昌さんの言いたいことはこういうことだ。ギャングの一員を調教して俺らが一緒にいたらギャングに仲間を奪われたと勘違いされないかということだ。
............。ヤバくね? それ。
「平戸さん今すぐその子を解放するんだ!」
「えーなんで? いいじゃん可愛い外国人美女とお近づきになれて」
「凶壱先輩、調教はお近づきになったとは言いません......」
この流れは......どうやら。
次は犯罪者たちがギャングと抗争をするかもです。
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