魔法使いの夜

魔法使いの夜に鐘がなる。


死の黒魔術師。


吸血鬼がうごめく世界の中で選ばれた処刑人。


左腕の中に刻まれた紋章を発動させ吸血鬼を殺す。


テーブルの上で、僕は彼女のアイと話をしていた。


ねぇ、今日は街へ買い物に行かない?


いいよ。僕はそっけなく言った。


街でいろいろな服やら野菜やら穀物を貨幣で買う。


袋の中には金貨3枚銀貨6枚銅貨7枚が入っていた。


今日は銅8枚分を使った。


仕事は、石工をしている。


いろいろな獲物を狩るための武器を作り出す。


剣だとか銃を作り出す。


僕は溶かした鉄を右腕に刻まれた禁断の呪文で銀に変える。


一族の中に呪われた人間は二人。


もともと貴族と魔法使いの血をひいていた。


僕は生まれながらに右目に闇を宿していた。


17歳の時、僕は石工職人になった。


19歳の時、僕は右腕に錬金術が左腕に黒魔術が宿るのを感じ、その日不安で一人部屋の中で泣いていたが、朝気付くと血で滲んだ紋章が刻まれていた。


僕はそっとそれを服や時には布や包帯で隠していた。


満月が宿るとき、街では死者が出た。


皆それを病気のせいだと決めつけていたが、僕はそれが吸血鬼のせいだと知ってしまった。



頭の中に鳴り響く鐘の音が魔法使いの夜の仕事だ。


僕は顔面から黒いマントをかぶり、そっとアイと住んでいる家を出る。


瞬間に右目が作動する。


メカニカル・アイ


悪魔がいる方向へ目が動く。


僕はゆっくりと歩きだす。


吸血鬼は黒い羽をまとい、あたりをさまよい獲物を探す。


人間の血を吸い、殺す。


やつらは嗅覚で人間を探し出す。


魔術師以外はなすすべがない。


吸血鬼はそっと家の窓ガラスを通り抜けようとしていた。


メカニカル・アイがなければ吸血鬼を見抜くことはできない。


吸血鬼がこちらを見る前に僕は、右腕の錬金術を作動させ、一枚の銀貨で銀色のショットガンを生み出す。


奴らの目を射抜くように左腕の紋章を作動させ、黒魔術の宿った弾丸を打ち込む。


瞬間吸血鬼の頭ははじけ飛び、体は燃え尽きる。


僕は右腕の錬金術を作動させてショットガンを銀貨に戻した。




私は彼の婚約者になって彼から銀の指輪をもらった。


私はずっと秘密にしていた。


彼を殺す力があるほどの白魔術師だと。


私の左目には人を惹きつける力があるが、だれも知らない。


そして私は彼に見せていないが、額に白魔術の紋章を持つ。


彼に知られないように、私は彼のことを見守っていた。


そして彼と結婚してもずっと秘密のまま彼のことを見守っているつもりだった。


左目に死の病を私は抱えている。


文字通り死ぬ病だ。


私は自在に人を殺すことが出来た。


そして額の白魔術は吸血鬼を粉々にして燃やすことができた。


私は何度も強盗や殺人鬼を殺してきた。


左目に力が宿ると瞬時に人が死の病にかかる。


そして数日で熱病で死ぬ。


私は彼の後をそっとつけていた。


そして彼が静かに夜に吸血鬼殺しをしているのを見ていた。


ふいに空に吸血鬼が舞っているのを私は額の紋章で察知した。


彼が気付く前に、額に力が宿る。


額から激痛と血が流れる。


吸血鬼は粉々に燃え散った。



僕はアイと婚約して彼女と初めて交わった。


白い隆起した乳房や下腹部などを初めてみた。


そしてことが終わった時、僕視界が瞬間的に真っ白になったのを感じた。


ホワイトアウト


時間が止まる。


目の前が全てただの映像に見えた。


いや厳密には異常にゆっくりと現実は動いていた。


そして僕はそれを頭の中である呪文を唱えることによって作動させることに後々成功させた。



いつものように僕は通りを夜に歩いていた。


後ろにアイがいることに僕は少し前に気付いた。


ホワイトアウト


僕は時間を止めてアイの存在を確認した。


そして瞬間的に元に戻す。


目の前には吸血鬼がいた。


アイの視線に気づく。


ホワイトアウトを作動させる。


ゆっくりと現実が歪み真っ白になったあと、完全に静止した。


右手には銅貨があった。


右腕の錬金術を発動させて、それをナイフに変えた。


左腕の黒魔術でナイフに死の呪いをかける。


吸血鬼は今にも若い女の首にかみつこうとしていた。


僕はそっと左手でナイフを吸血鬼で投げる。


左手をゆっくりと前に差し出す。


力を込めた瞬間にナイフが加速度を増す。


吸血鬼の脳に突き刺さった瞬間にホワイトアウトを解除する。


アイはこちらに気付く。


吸血鬼はもうすでに燃え尽きていた。


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