533神猫 ミーちゃん、夜遊び~?

「ネロさん。僕もAF使いたいです!」


「私も使いた~い!」


「僕も使ってみたいかな……」


「君たち、十年早い! まずは地力を上げろ! グラムさんとやりあえるようになったら考えてやる」


「み~」


「「無理……」」


「ぼ、僕も無理そうです……」



 残りのオークは宗方姉弟を中心に狩っていく。帰りに狐獣人の村により、村人に手伝ってもらいながらオークの解体。


 俺とミーちゃんは宗方姉弟の恨めしそうな目線をよそに、狐獣人の赤ちゃんを抱っこ。赤ちゃんが可愛くて、ずっと抱っこしていても飽きない。ヤンくんも赤ちゃんのほっぺをつんつんして、目じりを下げている。



「み~」



 解体を手伝ってくれたお礼にオーク肉を分けてあげ、ついでにお風呂も作っていく。狐獣人さんの中にも、風呂作りが出来るようになってきた人が出始めたので時間短縮できた。この人たちは風呂作りをほかの村に教えに行ってるそうだ。お風呂、バンザイ!


 家に戻ると、ゼストギルド長たちが戻っていると聞いたので、ハンターギルドに行ってみる。



「なんじゃネロくん、艶々じゃのう」


「我々が寝る間も惜しんで働いているというのに、夜遊びか?」


「み~?」



 してねぇよ! きょ、興味はあるよ?



「それで、どうなったんですか?」


「洗脳されておらんかった者たちは極刑としたかったのじゃが、罪人としてゴブリンキング討伐に送る者と多少罪の軽い者は鉱山町に送ることになった。まあ、極刑とあまり変わらんがな」



「ネロくんが帰った後にな、十二使が来てあ奴らの刑の軽減を要請してきた。ギルド長を殺そうとしたのだから本来は極刑は免れない。が、どうせ死ぬなら役に立って死んでもらう」


「生き残れば無罪放免じゃ。まあ、傭兵よりも使い潰されるじゃろうがな。形だけ本部の顔を立てた具合じゃ」



 傭兵くずれより人権がない使い捨ての兵になるそうだ。ただ、極刑と違うのは魔王討伐がなった暁には恩赦が与えられるらしい。まあ、生き残れればだけどね。



 洗脳されていた人たちも討伐戦送りになる。罪人とは違いハンターとしてだけど。ちゃんと依頼料は出る。ハンター資格証を人質に取られた強制というだけ。


 今回の本部の失態は各ギルドに通達される。これで本部の影響力が大幅に落ちる。そのうえで、緊急ギルド長会議を開くそうだ。本部に外部の者を入れ、更に本部の影響力を削るらしい。、



「あの魔王の幹部はどうしたんじゃ?」


「王宮に差し出したのか?」



 お二人には知る権利があるので、あれからのことを話して聞かせた。



「ドラゴン相手では如何ともし難い」


「魔王の幹部を配下にするとは……。ネロくんは本当に人族をやめる気か?」


「み~?」



 やめねぇよ! 舌先三寸魔王にもならねぇよ!


 セリオンギルド長は当分クイントには帰らない、いや帰れないのでハンターギルドの近くの宿に移るそうだ。


 気にせずうちに泊まればいいのにと言ったけど、夜中に帰ることもあるので迷惑がかかると遠慮されてしまった。


 本店が閉まると転移門が使えないし、うちは中央広場から遠いからね。仕方がないといえば仕方がない。

                        

 でもまあ、これでブロッケン山のことは片が付いた。これで安心して商隊が出せる。そろそろ妖精族のみなさんが着くころだ。荷馬車の注文も終わって、納車を待つばかり。納車されたらバムも揃えないとな。


 一度、練習がてらにフォルテまで商隊を出そうと思う。本格的にベルーナとヴィルヘルム間の交易はブロッケン山の雪解けを待ってからだ。さすがに雪に降られるとブロッケン山の街道は通れないだろう。


 さて、家に帰ってとんかつとソース作りをしよう。帰る前に露店街に寄ってソースの材料を買って行こう。



「み~」



 買って来たうろ覚えの材料を並べる。まずは野菜をすりおろす。玉ねぎ、にんじん、ニンニク、生姜、セロリ、リンゴ。残念ながらトマトは季節柄売っていなかったので、以前作ったトマトケチャップで代用。


 問題はスパイス。今手元にあるスパイスは、獣人村の特産の胡椒、クミン、コリアンダー、カルダモン、ジャマイカペッパー、バニラビーンズ、ローリエの七種類。それと、ヴィルヘルムの腸詰屋で使っていたナツメグ、セージ。


 ターメリックは今育てているのでない。セロリ、パセリ、ローズマリー、唐辛子は普通に露店街で売っている。


 これをどう組み合わせるかだ。


 カルダモン、スパイスの女王と呼ばれているけどウスターソースには入っていないと思う。バニラビーンズは論外。


 コリアンダーってパクチーのことだよね? ありか?


 ジャマイカペッパーはオールスパイスと呼ばれる香りのいいスパイス。入れて損はないとみた。


 砂糖をカラメル状にしてお湯を入れ、ワインビネガー、醤油、塩を加え、スパイス以外の材料をすべて投入。


 二の鐘分ほど煮込みスパイスを投入。スパイスの量は勘だ。弱火で沸騰させないようにじっくりと火を通していく。


 この時点でウスターソースぽっくなっているので味見をして塩コショウで味を調える。粗熱を取って濾して一応出来上がり。


 味はまあまあ。悪くはない。でも、味の深みがない。本来はここから瓶に移して寝かせることにより深みがでてくるはず。あるいは、スパイスの分量や使うスパイスが違うかだ。なので、三分の二は瓶に移して寝かせることにした。


 残りは、今日のとんかつに使おう。醤油とはまた違った風味なので楽しめるだろう。


 それにしても、調理を手伝ってくれたエフさんがドン引き。



「どんだけ香辛料を使うんだい。王侯貴族だってこんな贅沢に香辛料は使わないよ……」


「み~?」



 俺はその貴族なんですけどね。それにターメリックが育てばカレーを作るつもりだ。今回以上の香辛料を使うことになる。エフさん、腰を抜かすんじゃないだろうか?



「み~」



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