532神猫 ミーちゃん、ペロちゃんの可愛さ二倍です!

 それにしても、ヤンくん弓の腕もさることながら、戦闘センスがなかなかのものだ。


 さすがに重装備のオークリーダーにダメージは与えられていないけど、オークリーダーの動きを阻害したり、けん制する攻撃が上手い。宗方姉の弓攻撃はそれができないでいる。


 そんな、宗方姉弟はオートソードを振り回し攻撃。さながら、映画の中のキャラのような跳ね回る動きだ。よくあんな動きができるなと思う反面、見栄えはするけど無駄な動きが多いんじゃねぇ? とも思ってしまう。



「どうなんですか? あの動き?」


「み~?」


「一見無駄な動きに見えるが、お互いにカバーし合っている動きだから悪くはねぇな。まあ、一人だけなら無駄な動きでしかねぇけどな」



 へぇー、そうなんだ。やるじゃないか、宗方姉弟。この分なら剣のスキルが出るのも、そう遠くはないんじゃないかな。


 それよりもだ、あのオートソードの斬れ味は凄すぎる。


 オークリーダーの剣の攻撃を宗方弟が受けると、オークリーダーの剣の半ばまでオートソードが食い込んでいる。宗方姉が突き刺したオートソードが鎧をいともたやすく貫く。


 ああ、もうボロボロだ。あの武器と鎧は鋳潰して素材にしかならないな。まあ、でかくて装備できる人が少ないからいいけど、冗談でウイラー道具店で試しに飾ってみたら貴族に売れたと言ってたからそれなりには需要はあるかも?


 うちでも玄関先に飾ってみようか?



「みぃ……」



 あら、残念。



「「これは、いいものだ!」」



 オークリーダーを倒し終った宗方姉弟が剣を掲げながら宣う。気に入ったようでなにより。その剣に負けない働きをしてくれ。最終的には魔王討伐だ!



「「ウ、ウェ~イ?」」



 さて、次は武装オーク集団、ここはみんなでやる。やる前にペロの腕に分身のAFを載せて布でぐるぐる巻き。



「なんにゃこれ?」


「聞いて驚け! セラの分身がペロもできるようになるぞ!」


「にゃ!?」


「本当にゃ?」


「まあ、やってみい」


「み~」



 ペロが一瞬ブレたかと思うと、ペロが二人になっている。可愛さ二倍だ。



「み~!」


「「にゃんこ先生が二人に!?」


「「にゃにゃ!?」」



 ペロがお互いに向き合いペタペタと顔や体を触りあって感触を確かめている。パントマイムか!?



「「面白いにゃ!」」


「「にゃ!」」



 セラも負けじと分身して対抗。ミーちゃんを両脇からペロペロ。



「み~」



 さあ、新生ペロの力見せてみろ! 



「「行くにゃ!」」


「「にゃ!」」



 この分身の凄いところは、本体とまったく同じというところ。なのでペロの分身も虎徹を持っている。分身というよりコピーだな。このAFでは一体しか分身を作れないけど、セラの本当の分身スキルだと熟練度が上がれば複数体の分身を作ることができるようになる。


 ペロとセラが二対ずつ倒したところで、最後の一体は俺が倒す。


 神猫剣ニャンダーソードをおもむろに前に突き出す。俺の攻撃範囲からだいぶ離れた場所にいるオークの腹から剣が突き出す。



「「にゃにゃ!?」」


「「にゃ!?」」


「「あれは勇者の剣!?」」


「残念でした。あれは君たちの剣とは別物で~す」


「み~」



 オークを回収してくる。



「剣はともかく、どうやたんだ? ネロ」


「転移スキルの応用です」



 ルーさんにAFを見せて答える。といっても、本当のことじゃない。俺が使ったのは時空間スキルのほう。転移スキルのAFを何度も使ったおかげで、転移の感覚を掴め短距離なら簡単に転移できるようになった。


 まあ、別に持っている並列思考のAF有りきなんだけどね。周りを見て位置を確認する思考とそこに飛ぶイメージの思考で成り立っている。それの応用で空間だけを繋げた状態で剣を突き刺しただけ。


 何度も練習して身につけた攻撃方法だ。並列思考は烈王さんから習得できるように学んでいる。必ず手に入れたい、そして手に入れるスキルなのでこの攻撃方法を考えた。


 ただこの攻撃方法にはリスクがある。もし、空間に手を突っ込んだ状態で空間を閉じると体と腕がサヨナラする危険な技なのだ。並列思考があるからこそできるな技なので、並列思考なしでは使うのは躊躇してしまう。



「なあネロ。お前はいくつAFを持ってるんだ?」


「この間、ハンターギルドの本部に行ったらいくつか手に入れまして……いっぱい?」


「……」


「ですが、今回手に入れたAFは簡易型で、回数制限があるんです。残念ながら」


「使い捨てなのか?」


「いえ補充型です。使えなくなるとすぐには使えるようにはなりませんが、補充すれば何度でも使えます」



 ミーちゃん次第だね。



「AFも凄いですけど、あの剣はなんですか? 僕らのと似てましたけど?」


「鞘と柄がなんか可愛い~」


「これはそっちの勇者の剣とは別もの、俺専用の剣なんだ。銘は神猫剣ニャンダーソードだ!」


「み~!」



 ビシッと天に掲げる。



「僕は勇者の剣でいいです」


「ちょっとダサ~」


「そ、そんなことないですよ? ネロさん、格好いいかな?」


「みぃ……」



 ミーちゃんが凹んでしまった……。ヤンくん、慰めになってないよ。疑問形じゃん。



「「にゃ、にゃんだーそーど!? つ、強そうにゃにゃまえにゃ!」」


「「にゃ!」」


「み~!」



 ミーちゃん、復活! それより、君たちそろそろ分身を解除しなさい。ウザいよ。



「み~?」



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