502神猫 ミーちゃん、かぷさいしん? あまいの~?
朝、王宮に行くのは午後なので、宗方姉弟とゼルガドさんの進捗状況を確認。
「その前によう。うちのカミさんになんか仕事ねぇか? ネロ」
「み~?」
そういえば、忙しくて忘れてた……。ゼルガドさんの息子さんたちは、孤児院の青空教室に通わせ勉強させているけど、青空教室がない日は、ハンターギルド証を手に入れたらしく、ペロたちと依頼を受けているそうだ。
ゼルガドさんの奥さんかぁ。当初の予定では店を持たせるって話だったけど、息子さんたちが成長しないと無理。何年かかることやら……。
そうなると仕事は……なくはない。豆腐作りとかまぼこ作りだ。道具は作ればいいし、材料は問題ない。場所は本店の調理場を日中使えばいい。神猫屋が使うのは夜の仕込みの時くらいだ。
「そうですね。ミンサーを二つ作ってください。豆腐とかまぼこ作りを任せようと思います」
「み~!」
「おっ、あの白いのか! ありゃ、旨いからな。売れるぜ!」
売るのはちゃんとものになってからだ。それまでは、うちの食事で使う食材として常時供給してもらう。作るのが面倒だし、腹ペコ魔人たちにすぐ消費されてしまうからね。
それで、ゼルガドさんのほうはどうです?
「いろいろ分量を変え品を変え実験した結果、一番効果のある配合も見つけてある。一番の問題は乾燥すると使い物にならねぇってことだったが、筒に入れる前に油紙で何重にも包んで入れれば保存ができるとわかった。長期保存するには完全に密封する容器が必要だ」
それは重畳。当分はミーちゃんバッグに保管するので密封容器は必要ない。本格的にダイナマイト作りをしてもらおう。
「そっちは?」
「み~?」
「ゼルガドさんに銅で作ってもらった二メルほどの蒸留器で、エタノールを作ってるのだよ。ネロくん」
「結構な量が出来ています。実験的に樽詰めして寝かせてあるのもありますよ。春が来る前には涼しい場所に移したほうがいいですね」
二メルの銅製の蒸留器だとぉ~。一体いつの間にどこに作ったんだ?
「「納屋だよ~?」」
「み~?」
納屋に行くといつの間にか納屋に煙突がでている。中に入れば、あったね。うちの馬車、荷馬車、ユーリさんの小型馬車の端の壁側にでーんと設置してあった。
納屋はまだまだスペースがあるくらい広いし、換気もすれば問題はないか。
「間違ってもボヤは出すなよ!」
「み~」
「「らじゃー」」
余剰のエタノールをもらっておく。こないだもらった分と一緒に今日パトリック所長に渡してこよう。
進捗状況は問題ない。では次の課題を与えよう。
まずは、ゼルガドさんからだ。
「ニトロセルロースの状況は?」
「そっちも問題ねぇ。息子たちにやらせて作らせている。雷管も目途が付きそうだ」
さ、さすが、イカレ頭……半端ねぇ。
「取りあえず、完成を急いでください薬莢が出来たらグレネードランチャーを作ります」
「ぐれねーどらんちゃーだぁ?」
「「おぉー。完全に自重を捨てたよ」」
「み~?」
うるさい。
「ですが、信管はどうするんですか?」
「実は作ってたりしてぇ?」
「み~?」
作ってねぇよ!
なので、説明。信管なんてものはない。グレネードランチャーなんて格好よく言ったけど、たんなる空砲で飛ばす投擲器だ。
ダイナマイトの外側に金属片の入ったカバーを付け、ダイナマイトに火を点けてから飛ばしてやる。ダイナマイトの導火線の長さで時間は調整できる。あとはどのくらいの火薬でどれだけ飛ぶかだ。
「ネロ……おめぇ、恐ろしい男だな。こいつは、殺戮兵器じゃねぇかよ……」
「そうですね。非人道的な兵器です。ですが、一度始まった兵器開発競争。もう止まりません。取りあえずは、悪の枢軸国を黙らせれば流れを少しは抑制できます。そのためにも戦争を早急に終わらせる必要があるんです」
「「……」」
「必要悪か……」
そんな言葉で納得はしたくはないんだけどね。
「みぃ……」
「さて、ゼルガドさんにはそれを進めてもらうとして宗方姉弟には別のものを作ってもらう」
「ま、まさかマスタードガス!?」
「メ、メギドの火……核かぁ!?」
「み、みっ!?」
んなもん作れるかぁ! そんなの作れる頭脳があったら苦労はせんわ!
「マスタードガス……に近いが、非殺傷兵器。その名も、テッテレェー! カプサイシン!」
「「カプサイシンかぁ~」」
「み~?」
この世界意外と薬学は進んでいる。後遺症なしの痺れ薬、即効性の睡眠薬など優れた薬品があるのに、カプサイシンがないのだ。唐辛子は山のように売っているのにだ!
「なるほど、エタノールで抽出しろと言うのだな。ネロくん」
「エタノールならいっぱいありますからね」
「甘い! カプサイシンは辛いけど、甘いのだよ! 君たちは!」
「「えっ?」」
「み~?」
どこ~? と言われましても……ミーちゃん、甘いものはどこにもありませんよ?
「みぃ……」
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