466神猫 ミーちゃん、あま~いの~!
「み~!」
あま~いの~!
まずは、最高級プリンをみんなで試食。あまり食べないミーちゃんでさえ絶賛。
「「「「……」」」」
王宮の料理人さんと見習いパティシエ三人はあまりの美味さに声が出ない様子。
あのフレアさんでさえ一口食べては惚けるを繰り返す。
「ねぇ、ネロくん。これはいくらぐらいになるのかしら?」
「そうですね。大銀貨二枚、二万レトくらいに設定しないと元が取れませんね」
「「「「「「二万レト!?」」」」」」
「み~?」
全員がハモった。ミーちゃんは、なんで~? って顔だ。
「このプリンには貴重な香辛料が使われています。この香辛料は非常に貴重なものなので、どうしてもこの金額になりますね。ロイヤルファミリーにもまだお出ししていない品です」
バニラビーンズを見せてあげる。シュークリームでも使っているので、シュークリームもそのくらいの値段になる。
みんな驚いている。
時間は有限、次を試しましょう。口直しにお茶を飲んでから、今度は材料費が安価なものから高いものへと順々に食べていく。
一番安いプリンでも売値は四百レト。バニラビーンズを入れない高級プリンで三千レトくらいになるだろう。バニラビーンズがいかに貴重品かわかってもらえたと思う。向こうの世界でも実際にバニラビーンズは驚くほど高い。
話し合った結果、庶民向けは牛乳なしの底がビスケットの水飴とハチミツの二種類。それに牛乳ありの底がビスケットの水飴とハチミツの二種類を販売することになった。
貴族向けは牛乳ありの底がカラメルソースの水飴とハチミツと砂糖の三種類になった。そして、特注の超高級プリンは予約注文とした。
問題はシュークリーム。カスタードクリームにバニラビーンズを入れたものと、入れないものを作ったが味の差? がはっきり出た。
香り一つでここまで違うものなのだと、料理の奥深さを実感させられたね。
なのでシュークリームは庶民向けも貴族向けも同じ。もし、レーネ様の誕生会で出たものと同じものを味わいたいという人が現れた場合は、これも予約注文とすることにした。
「なるほど。これは売れるね。これにレーネ様の名も加われば、まず間違いなく売れる」
「み~」
「これは貴族が放って置くはずがありませんわ。早急に貴族向けの店舗を改装しなくては……」
ミストレティシアさんの目がレトになっているね……守銭奴の目だな。草葉の陰で彩音さんが泣いてるよ。
「みぃ……」
レト目のミストレティシアさんはいいとして、フレアさんから『パティスリ プランセス レーネ』の看板と外装について相談される。
「明日、ネロ男爵の店に看板を設置するが構わないかい? それと店構えが殺風景だから、外観や内装を少し色付けしたいがいいかい?」
「問題ありません。俺は用事があって行けませんが、店にいる者に声を掛けていただければ対応しますので」
確かに殺風景かもしれない。お菓子屋さんなのだから屋台神猫屋のようにファンシーやメルヘンチックな外装でもいいと思う。このお店は完全に女性向けだからね。
逆にシックな色合いでもいいかも。でも、レーネ様のお店だからなぁ。
「み~」
そのこともフレアさんに伝えておいた。
超高級プリン以外の残ったプリンとシュークリームはもらった。明日、合流するペロとセラのお土産にしよう。一応、品質管理の責任者だからね。
ちなみに、出資金は五千万レト。さすがにペロとセラの貯金を合わせても足りないので、足りない分はミーちゃんがポケットマネーから出すことになった。
総額一億五千万レトの資本。なかなかの資金だと思う。
売り子さんのほうは別の場所で、王宮の侍女さんから言葉使いや接待方法を学んでいて、あと二日で叩き込むそうだ。頑張れ!
「み~」
翌日の朝、イルゼさんたちに空いてる店舗側に王宮から看板取付や外装や内装工事をしに来ると伝えておく。
いい時間になったので、ゼルガドさんとグラムさんそして宗方姉弟を連れて鉱山町ブーセに飛んだ。
「やっと来たにゃ」
「にゃ」
「み~」
「そんなに待ちました?」
「いや、さっき来たところだ。ペロとセラが朝飯食ったってのに、屋台で買い食いするからよ。ギリギリだった」
そうですか……これはグリグリ案件だな。
「み~」
「い、痛いにゃ! ぐりぐり反対にゃ……」
「にゃ……」
「セラ、逃げるなよ? 逃げたら倍だからな!」
「にゃぁぁ……」
グリグリの刑に処した二人は倒れて動かない。ただの屍のようだ。
「レーネ様のお店の試作プリンをみんなで食べてみません?」
「食べるにゃ!」
「にゃ!」
「「さすがにゃんこ先生とセラっちだね……」」
ペロとセラはプリンと聞いて復活! 平常運転です。
「み~」
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