452神猫 ミーちゃん、レーネ様のお店の名前を決める。
「お座りになられては?」
「気にするな」
「「「……」」」
俺の後ろに立ったままのグラムさん。王妃様、エレナさん、ニーアさん、やりにくそう。もう一人の護衛は我関せずと、モフモフ仲間のレーネ様とモフモフ談義に話に花を咲かせているのにね。
「ドラゴン殿が護衛なら、ネロくんが自由奔放な理由が納得だわ」
「バロンがたまに興奮している理由もわかって安心したわ」
王妃様のことは以前に紹介したけど、エレナさんは初めてなのでグラムさんにお互いを紹介する。
「なるほど、ヒルデンブルグの大公の娘と姪か」
「父と会ったことは?」
「ないな。長以外は人とあまり関わり合いをもたないからな」
ずっと、流れ迷宮の下層に拘束されていたから、会うにも会えなかっただろう。
「ついでに言いますと、こないだ王都から飛び立ったお馬鹿ドラゴンはグラムさんです。あれだけ注意したのに」
「み~!」
「す、すまない……」
「ドラゴン殿を、お馬鹿呼ばわりできるネロくんって、素敵……」
褒めてるようで、白い目で見ているエレナさん。ディスってますよね! 間違いなく!
やっといつもの雰囲気になってきた。お茶を飲みながら、プリン屋について話しを進める。
モフモフ軍団に囲まれたレーネ様が今回のメイン。王妃様はムニュムニュ姉妹にメロメロ。エレナさんは新顔のクオンとセイランを抱っこしている。
「ということで、義賊ギルドは乗り気です。明日、詰めの協議をしたいと思ていますが、どうでしょうか?」
「いいわよ。明日、フレアをネロくんの屋敷に行かせます。フレアには全権を与えているから安心して」
「出資比率は均等割りでいいですか?」
「み~?」
「構いません。できれば、レーネの誕生日までに起ち上げてほしいわね」
なかなか、タイトなスケジュールになりそうだ。
「店の名前にレーネ様のお名前を入れていいのですよね?」
「み~?」
「構いません。というより入れて頂戴」
「『パティスリ プランセス レーネ』なんてどうですかね? レーネ姫のお菓子屋さんという意味です」
「み~!」
フランス語で攻めてみました。洋菓子っていうとフランスが思いつくからだ。
「響きがいいわね。いいのじゃないかしら?」
「いいなぁ。レーネちゃん。自分のお店を持つんだぁ」
「ペロしゃんといっしょでしゅ!」
「ペロちゃんと一緒?」
エレナさんは詳しい話は聞いていないようなので、元々腹ペコ魔人ペロとセラの食い意地が発端となったことを教える。
「利益より、食べ放題……ペロちゃんとセラちゃんらしい」
元手はちゃんと回収するけど事業を継続してやる気はないので、義賊ギルドとレーネ様に後々は任せる。神猫商会はアドバイザー兼品質管理を受け持つ。
呼び鈴が鳴りルーカスさんが対応に出る。
「ネロ様。王宮からフレア様という方がお越しです」
「お通ししてください」
「み~」
目つきの鋭い初老の女性がルーカスさんに案内され入ってくる。
「何を悪いことすれば、こんな豪邸に住めるんだろうね」
「みぃ……」
入ってきて早々に憎まれ口を叩いてくる。ルーカスさんが引きつった顔をしている。
「人のため、世のため、町の人に喜ばれることをしていますからね、フローラ様からのご褒美ですよ。義賊ギルドにいいようにやられていた、どこぞの影の先代の長と違ってね」
「み~!」
「い、言ってくれるじゃないか……」
そもそも、この屋敷と土地は王様からご褒美で下賜されたもの。どちらかといえば正当報酬に近い。まあ、破格の報酬には違いないけど。
それとも、知っていてあえて言ってるのか? お茶でも出そうかと思ったけどやめようか?
「そろそろ、迎えに来るぞ。準備はいいのか? 少年」
「お。お前はファントム! なぜここにいる!」
「なぜと言われても……先代の命?」
なんだ、レティさんとフレアさんは知り合いだったんじゃないか。
ファントムねぇ。レティさんにも二つ名があったんだね。幽霊じゃなくて幻のほうかな? 俺の翻訳はこういうときに曖昧なんだよね。
「やはり、貴様は義賊ギルドと裏で繋がっていたか! 王妃もニーアも甘い!」
正直、この人は何を言っているのだろう? これからその義賊ギルドに行って話し合いをするのですけど?
「一つお尋ねしますが、今日ここに来た理由って聞いています?」
「レーネ様が出資する店の経営について、全権を任せられてきている。馬鹿にするな!」
これは、あえて聞かせていないのか? 真実を聞かされ驚かす魂胆? 言い忘れたってことはないよね? 王妃様、いたずらがすぎるのでは?
「そのお店の出資ですがレーネ様、神猫商会、そして義賊ギルドでの均等出資ですよ?」
「み~」
「なっ……」
フレアさん顎が外れたか? 声も出ない、寝耳に水って感じだ。王妃様もニーアさんも本当に人が悪いなぁ。
「み~」
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