447神様 ミーちゃん、召喚魔法を使いたい!?
準備の済んだ二人を連れて本店に行く。
「お久しぶりね。クリス」
「クラウディアが来たの……」
「あら、私が来てはいけなかったかしら?」
なぜか、クラウディアさんから冷気が発せられる。寒いんですけど……。ミーちゃんとカヤちゃんが抱き合って震えているのは、冷気のせいだけではないだろう……。
棚の上に座布団を敷き両手を挙げている招き猫を置いて、二礼二拍手一礼が終わったところで、
「ネロくん、ちょっと」
クリスさんに呼ばれて別の部屋に移動。何を言いたいのかはわかっている。
「クラウディアはまずいのでは? おじ様的に」
「グラムさん的にわかりませんが、クラウディアさんは納得して来ています。我々がどうこう言うより、本人たちの問題ですから」
「この町が氷漬けになっても知りませんよ?」
「お、お互い大人なんですから、じょ、常識的な行動をしてくれると思いますよ?」
「……」
「みぃ……」
ク、クリスさん!? なんで無言なんですか? そして、なぜ目を逸らす!?
イルゼさんたちとにお互いに自己紹介。二人はヴィルヘルム支店で働いていたので、即戦力なので大丈夫と紹介。クラウディアさんはなんといっても初期メンバーだ。
「美男子、美女だね~」
「あら、あなたも凄く可愛いわよ」
「み~」
カヤちゃんとクラウディアさんは仲良くなったようだ。仕込みも終わったので家に戻る。転移門でね。
「楽ね……」
「長の力を感じるな」
「烈王さんに作ってもらったので」
「「ネロって凄いな(わ)……」」
「み~」
クラウディアさんとコンラートさんは関心しているような口ぶりだが、実際にはドン引きされている。
「お父様と対等に話せるのは、ネロくんとミーちゃんくらいです。あのお母様でさえ一歩引いていますから」
「み~!」
ミーちゃん、ドヤ顔。
でも、烈王さんて気さくな方だよね? みんな、なんでそこまで怖がるのだろう?
「普通の者ならお父様の覇気にあてられて動けなくなりますよ? ミーちゃんは別として、ネロくんが耐えられるのが不思議です。超鈍感?」
「み~?」
クリスさん……それ、何気にディスってますよね?
まあ、それはさておき、ルーカスさんたちに二人を紹介する。クラウディアさんはうちにコンラートさんは防犯のために夜は本店で寝ることを伝える。
「クラウディアのねぇちゃんにゃ」
「にゃ」
「今日からここにお世話になるから、よろしくですわ」
顔なじみのペロが話し掛ける一方……グラムさん、蒼白。
「ク、クラウディア……」
クラウディアさん、グラムさんを完全無視。ほかのうちのメンバーに挨拶して回っている。そんなグラムさんの肩を叩く悟りを開いたような表情のコンラートさん……。
「みぃ……」
クラウディアさんはみんなへの挨拶を終えて、今度はモフモフ軍団にモフモフ挨拶。特にこの間モフモフしたムニュムニュ姉妹に夢中。
取りあえず、モフモフを一旦やめさせ部屋に案内してもらい、歓迎会を兼ねた夕食にする。
夕食後はうちのお風呂に入ってもらう。気に入ってもらえればうれしい。
そんな中、テーブルの上に機材を設置していくゼルガドさんと宗方姉弟。
蒸留器だね。
銅で出来た容器にエールを入れて、コンロで熱する。しばらくすると容器の先に付いた冷却装置からポタポタと液体が落ちてくる。
ゼルガドさんがそれを指につけ舐める。
「なるほど、 本当に酒精が強いな……これが、ドワーフの秘伝だったとはな……」
「うへっ!?」
ルーさんもゼルガドさんをまねして、ポタポタ落ちる液体を舐めると奇声をあげた。
そりゃそうだ。最初のほうに落ちてくる液体はアルコール濃度が高い液体だ。それも純粋なアルコールの味に近いから美味しくないと思う。
ある程度蒸留したところで熱するのをやめて、宗方姉弟が溜まったアルコールを舐めてみる。
「十度までいってないですね。カオリン博士」
「もう一度、蒸留が必要とみた。トシ助手」
二人は舌でアルコール度数を認識するのか。凄い技能だ
もともとのエールのアルコール度数が低いのと、おそらく熱する温度が高すぎたのだろう。エタノールの沸点は七十八度だったはず。
ついでに鑑定してみるとアルコール度八パーセントと出た。鑑定便利。それを二人に教える。
「「おぉー、ネロさん博学! 鑑定スキルほしい!」」
これでも理系大学目指してましたから。さて、実験が成功したのでこれを基に大型の装置を設計し作り、それを妖精族の村に設置して試験を行い本格稼働してもらう。
数年は寝かせる時間が必要だけど、早ければ二年後くらいには少量でも売り出したい。
「ゼルガドさんは設計を、宗方姉弟はこの装置を使って更なる検証をしてもらう」
「任せとけ。だが金が掛かるぞこいつは」
「承知の上です。ドワーフの秘伝なのかもしれませんが、これはこれはで多くの応用ができます。人の命を守ることにも、人の命を奪うことにもですが。それでも、これは科学の発展に大いに貢献できるものです」
「み~」
「酒だぞ? そこまでか?」
「そこまでです! 宗方姉弟、その装置で取りあえず七十度以上、できれば八十度くらいのエタノールを精製するんだ。理由はわかるよな?」
「消毒用ですね」
「人の命を守る液体。エリクサーだよ~」
「使ってこそ道具! エリクサー症候群はいけないぞ?」
「み~!」
「「……」」
俺、上手いこと言った! なんだ宗方姉弟、その目は? あとミーちゃん、座布団いらないから……山田君も呼ぼうとしない! 召喚魔法でも使う気か!? 猫用品召喚スキルでも出てこないからね!
だから、山田君って誰よ!
「みぃ……」
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