398神猫 ミーちゃん、嫁と姑の関係は良好です。
女優並みの演技力を持つことに驚きを覚えるも、忘れがちだが義賊ギルドの凄腕なのだからポーカーフェイスなんてお手のものなのかも。
モフモフ好きで、お子ちゃま好きで、だらけ好きでやる気なし症候群のレティさんだけど……凄腕なんだよね?
「み~?」
そんな凄腕のレティさん、なんかソワソワしている。
「それより、私のモフモフちゃんはいつ来るんだ!」
「だから明日、牙王さんの所に行って確認してくる予定ですよ」
「私も行くぞ! 少年!」
まあ、何度か牙王さんと会ってるからいいか。どうする、ミーちゃん?
「み~」
はい、ミーちゃんのOKが出ました。
「わかりました。じゃあ、手ぶらで向かうのもあれなので、ヴィルヘルムの朝市でお土産買ってから行きますのでよろしく」
「うぅ、朝早くは嫌だ……」
うっせい! 行かないならこの話なしだからな! きりきりと起きやがれよ!
「みぃ……」
俺とレティさんは魚を焼くの大忙し。だけどレティさんは白狼と黒豹のお子ちゃまたちに囲まれてにやけ顔。わらわらと寄ってくるモフモフちゃんに嬉しさが隠せないでいるために、いつもはきりりとした顔がだらしない笑顔になっている。
お子ちゃまたちはレティさんに興味があるわけではなく、焼けてる魚の匂いに誘われて寄って来てるだけなんだけどね。敢えて言わないよ。
ミーちゃんはいつもどおり、牙王さんとロデムさんの間で困った顔をしている。本当はモフモフちゃんたちと戯れたいのだけど我慢しているようだ。
「みぃ……」
魚焼きも一段落つき牙王さんたちと話をする。
「ちゃんと話をするのは初めてだな。牙王だ。ネロ殿の奥方殿」
「ロデムと申します。孫がいつもお世話になっています」
「丁寧なご挨拶痛み入ります。ネロの妻、レティです。お見知りおきください」
「み~」
妻って言ちゃったよこの人……。まだ、婚約段階なんですけど? ユーリさんに怒られますよ?
でも、なぜかミーちゃんは満更でもない様子。俺のことなんですけど?
雑談しながら少しばかり打ち解けてきたところで本題に入る。
「それで、
「うむ。迷ったが決めた。本当はミー様に預けた息子の嫁と側近にするかと思ったが、ミー様とルミエール王家との縁を続けるためにどっちも嫁にすることにした」
「まだ、どちらも幼いですから許嫁というところでしょう。ところで、うちの孫娘は少しは淑女らしくなりましたかな?」
「み、み~♪」
ミーちゃん、嘘言っちゃ駄目でしょう……。セラは淑女ではなく腹ペコ魔人です! 色気より食い気、淑女じゃなくて食女だよ! 祖父のロデムさんの前では言わないけど……。
そんな話をしてると二匹の白狼のお子ちゃまが連れて来られ、ミーちゃんの前にお座りされる。
「別嬪だろう! ルーにはもったいないくらいだ」
「み~」
「「かう」」
ルーくんと同じくらいの背格好だけど、やっぱり女の子らしい仕草をする可愛い子たちだ。
レティさんの手が触りたいけど牙王さんの手前我慢しているようで、プルプルと……いや、わさわさと震えている。怖いわぁー。
ミーちゃんとの面を通し終わったんで、ミーちゃんは二匹をペロペロ。二匹もミーちゃんにじゃれついていることから、ある意味姑との関係も良好なようだ。
「親との話はついてる。もちろん、喜んでいるぞ。今日、連れて行ってもらっても構わんよ」
「み~」
「ありがとうございます。妻も先方も喜びます。それから……」
遅ればせながら、俺がルミエール王家から爵位をもらい、ルミエールのフォルテ地方とヒルデンブルグのニクセ地方を治めることになったことを伝える。その中にこのブロッケン山も入っていて、牙王さんが治める特別区とすることを伝える。
「よくわからないが、何が変わったんだ?」
「今までどおりで構いません。ですが、以前の取り決めで決めた街道の安全をお願いします。以前決めたとおり、対価はルミエール王国とヒルデンブルグ大公国から私に支払われ、牙王さんたちに必要な物資をお渡しすることで構いませんね?」
「ああ、問題ない。酒と……ネロ殿が持って来てくれる魚がいいな。自分の金で飲み食いするなら気兼ねしなくてもいいからな!」
き、気兼ねしてたんかい!?
「前にもお願いしましたが、ちび共が安心して冬を越せるように毛布などをお願いします。できれば……ミー様のご神水を少し頂ければ助かるのですが……」
「み~!」
いや、だからねミーちゃん。ミーちゃんのミネラルウォーターを出すのは俺なんですけど? 確かに今は一日にミネラルウォーターを八本と猫缶四つは普通に出せるようになったけど、クッキーやジャーキーだって食べるでしょう? 意外と召喚ってきついんだよ?
「み~♡」
頑張れ♡ って……いや、頑張りますけどね。神猫のミーちゃんが鬼に見えるよ……。
「み~?」
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