399神猫 ミーちゃん、魔人の帰還です!

「がう?」


「きゅ~?」


「「かう?」」


 家に戻り、ルーくんと許嫁とのご対面。なのだけど……どっちもよくわかってない様子。ラルくんまで混ざって、みんなと一緒に首を傾げている。



「み~?」



 ミーちゃんは混ざらなくていいですから! みんなに可愛く傾げても、ますますカオスですからね!


 まだ幼いルーくんにはちと早かったかな? でも、もう一緒になってじゃれ合っているからお見合い的には成功だね。


 光加減で銀色にも見える元気のいい子と、少し青みがかった白い少しおとなしめの子。ルーくんの許嫁だから王妃様とレーネ様には悪いけど、俺のほうで名前を付けようと思う。


 元気な女の子のほうは、そうだな~美しい銀色が末永く続くように久遠くおんでクオン。おとなしい女の子ほうは王妃様のところに行く予定なので花の女王たる蘭、蘭の花言葉にある美しい淑女から連想される清純を合わせて清蘭せいらんでセイランなんてどうでしょう?



「み、み~!?」



 あのー、なんでそこまで驚くのかな? 



「み、み、みぃ……」



 いや、だからなんで今度は慌てふためてるんでしょうか?


 俺だってたまにはきちんと考えるんだよ。特に今回は仲人みたいなもんだし。ルーくんたちには人族との架け橋になってもらい、そのうえで幸せにもなってもらいたいからね。



「み~!」



 そうだね~。クオンとセイランいい名前だね~! とミーちゃんからいい名前とお墨付きを頂いたので決定。



「レティさん。うちで育てるのはこの子、クオンです。ルミエール王家で育ててもらうのはこの子でセイラン」


「クオン……いい名だな。少年」


「み~」



 レティさんがクオンを抱き上げ頬を摺り寄せる。クオンもレティさんの頬をペロペロと舐める。こっちの関係も問題ないようだ。


 セイランは寄って来てうるうるとした目で俺を見上げる。くっ、なんてあざとい表情だ。が、素直に負けを認める。抱っこしてやると嬉しそうにペロペロと顔中を舐められた。そんなセイランはお日様の匂いがした。


 だ~か~ら~、なんでレティさんはそんなに恨めしい顔で俺を見る! レティさんもクオンを抱っこしてるでしょう!



「少年のようにスキンシップされたい……」


「みぃ……」



 ま、まあ、クオンはセイランほど熱烈にペロペロはしてない。というか、もうしてない。それに比べ俺の顔は大変なことになっている。これが羨ましいのか? じゃあ、代わってあげましょう。


 レティさんからクオンを預り、セイランを渡す。今度はクオンのペロペロ攻撃にあう。もう、どうにでもなれって感じだ。レティさんを見ればセイランからペロペロはされているけど、セイランのお情けで舐められている感じ。レティさんはジト目で俺を見ている。


 知らんがな!



「み、み~?」



 セイランは少しの間うちで生活させる。ルーくんとの仲のこともあるし、ある程度王宮で暮らすのだから躾が必要だと思う。まあ、白狼は賢いからすぐに覚えるだろう。王宮での細かいルールは向こうで覚えればいい。


 まずは、みんなと仲良くなることだね。



「み~!」


「「かう!」」



 うちの人たちとうちの警備担当の白狼たちとも顔合わせをした。みんなクオンとセイランにデレデレ。特にセイランは誰かが傍にいないと寂しいようで、いつも誰かに抱っこしてと足元に寄ってうるうるした目で見上げている。あの攻撃に勝てる強者はうちにいなく、全員いちころにされていた。


 逆にクオンは元気一杯で、家の中でも外でも走り回っているお転婆娘だ。毎朝早くからクオンに起こされ、レティさんは寝不足気味。最近、朝はヤンくんとカヤちゃんに預けて、二度寝しているくらいだ。日中はルーくんとラルくんと一緒に牧場を走り回ったり、ベン爺さんたちにかまって攻撃をしている。


 そんな、クオンとセイランの躾をしながら本店開店の準備を進める。一通りの道具も揃い、着々と準備が整っていく。


 そんなこんなで十日が過ぎた頃、



「ただいまにゃ~!」


「にゃ!」


「たっだいまー!」


「ただいまです!」


「誰か俺を誉めてくれ……もう、やだ……」



 そう、腹ペコ魔人……もとい、ペロたちの帰還である。みんな元気そうで何より。一人だけやけに煤けた人がいるが大丈夫だろうか? ねえ、ルーさん?



「み~」


「がう」


「きゅ~」


「「かう?」」



 ミーちゃんたちもそろってお帰りの挨拶。クオンとセイランは誰~? って感じ。



「やけに遅かったけど何かあった?」


「「あー」」


「よくぞ聞いてくれた! ネロ! 聞くも涙、話すも涙の俺の苦労話を聞いてくれ!」


「にゃんだ、ルー兄ぃは大袈裟だにゃ~」


「にゃ~」



 あー、なんか聞かなくてもわかる気がする。腹ペコ魔人の二人が原因だろうと予想はつく。特にペロ関連だと思う。うん、間違いない。


 積もる話は多いだろうけど、まずは旅の垢を落としておいでよ。夕飯の支度もしておくから。



「から揚げとピラフにゃ!」


「にゃ!」



 はいはい、じゃあ、久しぶりに用意しますかね。馬の世話はベン爺さんたちがしてくれると言うので任せる。お風呂のほうはララさんとヤナさんに任せた。もうじき、クリスさんとヤンくん親子も戻って来る時間だ。


 夕飯は久しぶりに賑やかになりそうだ。



「み~!」




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