388神猫 ミーちゃん、お供はご神馬です!
ミーちゃんが餡子を堪能したところで本題に入る。
ベルーナに神猫商会の本店を買ったことはヴィルヘルム支店のみんなには話している。
「本店の人が足りない? クリスだけでは不足か?」
「ここより倍以上の広さがあるので、クリスさんとイルゼさんだけでは無理ですね」
「み~」
「何人連れて行くんだ?」
「ロッテとダミアン以外で二人連れていきます。アレックスさんとクラウディアさんのどちらかとあと一人お願いします」
クラウディアさんはヴィルヘルム支店の帳簿付けをしているから無理だろうな。となるとアレックスさんとリーザさんになるのかな?
「私が行きますわ!」
「み~!?」
ロッテとダミアン以外の全員が目を見張る。もちろん俺もミーちゃんも。向こうにはグラムさんがいるから帳簿云々などより、そっちで来ないと思ってた。
「帳簿は誰が付けるんだ?」
「ロッテとリーザに叩き込むわ」
「み~」
じゃあ、問題ないね~って問題だらけですよ。ミーちゃん!
まず、引きつった笑顔を見せているロッテかな。完璧超人のドラゴンから叩き込まれるロッテ。南無。リーザさんは同じ完璧超人だから問題ないだろう。
あとは……。
「グラムのことはいいのか?」
おぉー、アレックスさん完璧超人だけでなく勇者でもあったのか! 俺は怖くて聞けませんよ。
「あら、
「み、みぃ……」
しっれと言ったね。しれっと。じゃあ、俺の餡子返せよ!
「な、ならいいんだ……」
アレックスさんも、何と言って良いかわからず言葉を濁したようだ。
クラウディアさんが問題ないとなればもう一人はコンラートさんになるね。
「私であれば問題ありません」
「み~」
コンラートさんは二十代前半のブラウンのロン毛を後ろでまとめている、おとなしめの優しいイケメン。おとなしめの優しいイケメンといえど、イケメンはイケメン。ムカつく。
アレックスさんやアルベルトさんのワイルド系イケメンとは違い、優男系。言葉や服装を変えればチャラ男になるだろう。ヴィルヘルムの気風よりベルーナのほうが合ってると思う。ベルーナのお嬢様系女子に人気が出そう。頑張ってもらおうじゃないか。イケメン。
「みぃ……」
いつから移るか聞かれたので、本店の準備ができ次第迎えに来ると伝える。
ロッテとダミアンは移る二人にベルーナまでは遠いので大変ですよ、なんて言ってるけど一瞬なんだ。苦労してベルーナから来た二人には悪いけど。それに転移装置を使わなくても二人なら数時間で着くと思う。ドラゴンだからね。
ヴィルヘルム支店の用事もこれで済んだ。あとは問題のあるのは俺の件だな。
「まずはエールだ!」
「み~!」
会った最初の言葉がこれですよ……。ミーちゃんもノリが良いので、とりミー! って……。取りあえずミネラルウォーターってことですね?
烈王さんに冷えたエール。ミーちゃんに愛用のお皿にミネラルウォーター。俺もグラスに冷えたミネラルウォーターを。
「うめぇ~」
「乾杯~」
「み~」
何に乾杯かは取りあえずね。ミーちゃんもご賛同ありがとうございます。なのにこのひ……ドラゴンは……。
「で、クリスに子でもできたか?」
「みぃ……」
その話、飽きました。はい。
「烈王さん、鑑定持ってますよね。俺を鑑定すると、どう見えます?」
「ん? ちょ~弱ぇ」
「……」
んなことはわかってんだよ! ドラゴンから見たら誰だってちょ~弱ぇよ! 聞きたいのはそんなことじゃないんです!
「すべてが見えるぞ? それがどうした?」
前にパミルさんに鑑定されたときもすべて見られていた。猫用品は読めなかったけどね。
「鑑定できなくさせるスキルなんてあるんでしょうか?」
「み~?」
ジンさんと因縁のあるロタリンギアのダスクって人の鑑定ができなかったことがある。俺は隠蔽スキルだと思っている。だけど、初級スキルを覚えられるオーブの選択肢の中にはなかった。何かのスキルの上位か発生系なのだろうか?
ミーちゃんも持ってるけど、どう考えても神様ご謹製のスキルだよねぇ。神の隠蔽だし。
「あるぞ」
と、簡単に言ってきた。
「どーすんだ? そんなもの」
いやいや、烈王さんからもらった加護を人に見られると不味いでしょう?
「見えねぇから安心しろ。俺がそんなヘマするかよ」
「み~?」
えっ? そうなの? 説明お願いします。
「ネロとあの神馬の姉ちゃんにやったのは俺の加護だぞ。この世界で俺の加護より上なのは神の加護くらいだ。そんなのが人に見えたら騒ぎが起こるだろうが。俺の所に加護をくれって馬鹿が来るのが目に見えてる。だから、俺の加護より上の加護持ち以外には見えないようにしてある」
そうなんだ。でも、神の加護を持ってる人には見えちゃうんだね。でも、神から加護をもらうくらいだから、まともな人だろう。安心できた。
「で、神馬の姉ちゃんって誰ですか?」
「み~?」
「誰って、眷属殿の供のバトルホースの姉ちゃんだよ。何をしたのか知らないが、あれはすでにバトルホースの域を大きく超えてる。だから、眷属殿の供だから神馬ってとこだろう」
「み~!」
あらあら、ミーちゃんとっても嬉しそう。
そうか、やっぱりスミレはバトルホースの域を超えてたか……。確かにスミレは疾風スキルと剛脚の異能持ちの優秀なバトルホースだ。でも、優秀なバトルホースはスミレ以外にもいる。騎士団長なんかが乗っているバトルホースは能力もさるものながら、血統も抜きんでているだろう。
でも、そんなバトルホースでさえ、スミレの足元にも及ばない。やっぱり、ミーちゃんのミネラルウォーターだろうか……? うちのメンバー、みんな飲んでるよね? ついでにルカたちも……。ど、どうなるんでしょう?
「み~?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます