370神猫 ミーちゃん、神猫集会と命名する。

 俺が日本に居たときに全世界で爆発的に売れたゲームがあった。


『infinity world』というフルダイブ型VRゲームだ。


 制作元はsyber elemental Co.,Ltdで住所から電話番号、果ては社長からクリエイターまですべてが非公開とした謎の会社で、こっちの世界に来る少し前に宮城県の仙台市にある株式会社フロンティアオメガという会社と、セキュリティー部門において提携したと新聞の大見出しになるほど話題になっていた。


 なぜこんな話をするかって?


 実はこのゲームにとても有名なNPCキャラが居て、そのキャラが町に現れ町中の猫や、旅のケットシーを集めて食事が振る舞われるという猫集会なるものがある。それに運良く参加できたプレイヤーは、幸せが訪れるとさえいわれるイベントらしい。


 まさに、今の俺の目の前の光景がそれじゃないのか? 猫の絨毯にケットシー、猫姫の猫集会その物じゃん!


 ミーちゃんだから、神猫の猫集会で神猫集会になるのかな?



「み~!」



 神猫集会ではカティアさん以外、総出で魚を焼いてもらっている。


 レティさんだけがあまりに汚れている猫を桶風呂に入れて洗っている。よくおとなしく洗われているなと思ったら、ルーくんの魅了眼でおとなしくさせれているようだ。


 それにしても凄い数だね。町中の野良猫を集めたんじゃないだろうか?



「ほんの一握りだぜ。それに北区の奴らは来てねぇしな。あいつらプライド高ぇから、南区の奴らの施しは受けねぇっていつも言ってるからよ」


「み~?」



 区長さんも焼き魚を頬張りながら、ミーちゃんにそうなんですよとばかりにニャーニャー頷いている。


 そういえば、カイとレアのお母さんはミーちゃんのミネラルウォーターを飲んで少し良くなったそうだ。猫缶もちゃんと食べたそうなので大丈夫だろう。



「み~」



 焼き魚を食べながらどこからともなくワインを出して飲み始めるケットシー。ワインを飲んでるし、ダンディーボイスだから大人のケットシーなのかな?


 見た感じはペロとあまり変わらない愛くるしい姿をしているので年齢不詳だ。ケットシーってみんなこんな感じなのだろうか?



「俺はネロ。こっちはミーちゃん。ケットシーさん、あなたのお名前は?」


「俺か? 俺は自由を愛し、それ以上におんにゃを愛する天才剣士のケットシー、ポロだ」



 もしかして、こいつヤバい奴か? ミーちゃん、そのケットシーに近寄っちゃ駄目!



「み~?」


「安心しろ。俺はおんにゃ好きだが、ガキには興味ねぇ」


「み、み~♪」



 そ、そうなんだ~。ミーちゃんお子ちゃまだから意味わからな~い♪。って頬を引きつらせた表情でミーちゃん誤魔化し笑いをしています。


 いやー、ミーちゃんも大人になったねぇ。ペロに同じようなこと言われて落ち込んでいたミーちゃんが懐かしいよ。


 寝る場所や食事やお金に困っていませんかと聞くと、



「寝る場所は区長の所に厄介になっている。ハンターギルドで依頼を受けてるから食事や金には困ってねぇ」


「み~?」



 ハンターギルドで依頼を受けている? ってことはハンター証明書を持っているってこと?



「ああ、持ってるぜ。テルツォの友人が作ってくれたんだぜ。ほんとヴィッシュの奴は良い奴だ」


「ヴィッシュさん!」


「み~!」



 ヴィッシュさんといえば、テルツォのハンターギルドの統括主任の方だ。そういえばペロ以外にもケットシーに会ったと言ってたね。


 でも確か……家の周りのの野良猫さんとの間に子どもをいっぱい

 授かり、賑やかにして去って行った傍迷惑なケットシー……。


 じとー、っと、ミーちゃんちゃんとポロを見てしまう。



「にゃ、にゃんだよ!」


「だってねぇ。ヴィッシュさんから話を聞いてるからねぇ」


「み~」


「ぐっ……。あいつがなにを言ったか知らねえが、ハンターギルドの依頼もこなし、ゴブリン退治までしてやり、挙句の果てには奴の娘のお守りまでしてやったんだぞ! おんにゃどもに関しては……まあ、ちょっとやり過ぎた感はあるが、誘ってきたのはおんにゃどもだからな!」



 まあ、自覚はあるようだからこれ以上は責めないであげよう。



「み~」



 さて、ポロというケットシー、衣食住は十分に足りているようだけどこれもなにかの縁、これからうちの商会でヴィルヘルムとの間で商隊を組むことになり、その護衛を妖精族に頼むことを話して加わらないか聞いてみた。



「誘ってくれるのはありがてぇが、これでも人族の相棒が居てよ。そいつと冒険してる方が楽しいんだわ。悪りぃな」


「み~」



 そうか、人族の相棒が居るのか。俺とペロのような関係なのかな。その相棒が悪い人じゃないと良いけどね。まあ、ペロよりはしっかりしてるようだから大丈夫だろう。



「それにしても妖精族が人族の護衛ねぇ。ケットシー族は好奇心旺盛だから外の世界に出るのは多いが、他の妖精族は保守的な奴が多いから珍しい奴らだな」



 保守的? そうなのだろうか? パトさんも他の妖精族のみなさんも良い人ばかりだ。いつ行っても笑顔で向かえ入れてくれ、一緒に飲んで食べて騒いでくれる。


 それともパトさんたち以外の妖精族が保守的なんだろうか?


 だとしてもやっぱり外の世界に出るべきだ。妖精族の生活が良くなるし、隣に住んでる者同士協力しあえるようになるべきだ。



「俺はその意見に賛成なんだが……妖精族は人が良すぎるんだよなぁ。人族に騙されるやすいと思うんだ」


「みぃ……」



 そうなんだよ。でもだからこそ外の世界を見てほしい。良い人族も悪い人族も居ることを理解して、人族との付き合い方を学んで欲しい。



「世間慣れしているケットシーも協力してください。ケットシーだって、町に堂々と入れるようになるなった方が良いでしょう?」


「み~!」


「うーん。まあ、考えておくぜ」



 すぐになんてのは無理なのはわかっているから無理強いはしない。でも、少しでも賛同者が増えることは喜ばしいことだね。



「み~」






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