347神猫 ミーちゃん、涙のご対面を期待してます。
グラムさんの歓迎会の為の料理を、うちの台所を預かるエフさんと作っている。
エフさん、俺が居ない間この家の食事を一手に担っているので、調味料の使い方も料理自体の腕も上がっている。正直、俺が作らなくてもエフさんで十分なんだけど、作りたいものもあるので手伝っている。
今日はペロとセラ達、腹ペコ魔人が居ないので大量には作らない。量より質でいく。
久しぶりに天ぷらを揚げ、
お腹に余裕のある人には天丼とカツ丼も用意してある。少しカツ丼を味見したけど絶品だった。ペロは悔しがるだろうな。
そして、作りたかったもの、それはデザート。デザートには獣人の村で手に入れたバニラビーンズを使ったアイス。時期的に夏を過ぎたのでバニラビーンズ入りのプリンにするか迷ったけど、アイスが食べたかったんだよ!
せっかく手に入れたバニラビーンズを使わずしてどうする!
バニラビーンズ入りのアイスだけでなく、カスタードもアイスを作ると同時に作った。焼いたパンに少しのっけて食べる。
アイスにしたのは訳がある。アイスを作るのに水スキルは最適だからだ。ボールに水を入れアイスの容器を入れて水を凍らす。後はほどよく攪拌して分離させないようにするだけで出来上がり。
ミーちゃん用にバニラビーンズではなく餡子入りの本格アズキアイスも作ってみた。以前、作ったのは牛乳で割ったものを凍らせて作ったものだから濃厚さはなくさっぱりしたアズキアイスだった。今回は濃厚なアズキアイスになったので、ミーちゃんがどう反応するかが楽しみだ。
アイスを作った訳にはもう一つ理由がある。アイスに必要な生クリーム。実は売っていたのだ。知らなかったよ……。でも、高い。向こうの世界でも生クリームは高かった。生の牛乳から分離させて作るので大量に作るのが大変と聞いた事がある。
こちらの世界も同様で作るのが大変だけど、お金持ちや高級料理店で需要があるので作られている。生クリームを取った後の残りはただ捨てられるそうだ。それって、低脂肪牛乳? 確か脱脂粉乳も牛乳から油脂分を除去したものから作られるんじゃなかったかな? 試してみる価値はありそうだ。
そろそろ、みんなが帰ってくる時間だ。大広間に行くとルーくんとラルくんが戻って来ていて、ララさんヤナさんにブラッシングしてもらっている。ミーちゃんもその中に加わっているね。
と、思ったら、ブラッシングの終わったルーくんをレティさんがもふってた。いつの間に……。
「義賊ギルドから早急に会いたいと言って来てるぞ。少年」
「なにかあったんですか?」
「さあな」
明日で良ければ行きますよ。正直、忙しいので明日以外だと厳しいかな。
「わかった。明日の午後に迎えをこさせるように言っておく」
なんなんだろうね? まあ、明日になればわかるか。
なんて話をしていたらヤン君一家とクリスさんが帰ってきた。
「「ネロさん、お帰りなさい!」」
ヤン君とカヤちゃんは元気一杯だね。
イルゼさんとクリスさんに状況を聞くととても好調のようだ。最近は男性客も増えているそうで、ウハウハです。クリスさん目当ての男性客だろうけど、売りげ貢献ありがとう!
「ネロさん。どうやら、同族の方が居られるようですがどなたですか?」
二階を見上げてクリスさんが言ってきた。気配か何かでわかるのだろうか?
「会ってからのお楽しみです」
「み~」
「それは、楽しみですね」
最後のベン爺さんも来たので、ヤナさんにグラムさんを呼んで来てもらう。その間に大広間のテーブルに料理を並べていく。自由に食べてもらう為に立食式にした。
「今度、神猫商会というより個人的な護衛として働いてもらう事になった、グラムさんです」
二階から下りてきたグラムさんをみんなに紹介する。グラムさんは、クリスさんとラルくんを怪訝な表情で見るも、みんなにお辞儀をする礼節は持っていたようだ。
立食会が始まるとすぐにクリスさんが寄ってきた。
「ネロさん。こちらの方をご紹介してくれますか? 島で育った私が知らない同族のようですので、他の大陸から来られたのでしょうか?」
「えー、違います。グラムさんはヴィルヘルム沖の島出身ですよ」
「み~」
「それでは、私が知らない訳がありません」
「クリスさんが生まれる前に島を出たので、クリスさんが知らないのは当然です」
「島を出た……?」
クリスさんの表情が険しくなっていく。何故?
「ま、まさか……」
「クリスさんとラルくんの叔父さんにあたる方ですよ」
「み~!」
言っちゃった。クリスさんが言う前に言っちゃったよ。
さあ、涙のご対面だ。
「み~!」
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