345神猫 ミーちゃん、その本命とは?
話し合いが終わったので、各獣人さん達に
まあ、それは良いとして、美味しいから早めに食べてね。
「み~」
先遣隊の出発まで五日あるので、俺達もやる事をやってしまおう。
取り敢えず、買い出しからだね。ブロッケン山の飛竜隊の駐屯地に届ける食糧や生活用品。パトさん達妖精族さんの所にも行くのでいろいろと買って行く必要がある。妖精族さんの所に行くとなれば牙王さんの所にも寄らないと失礼だろう。
牙王さんの所に行くなら、一度ヴィルヘルムに寄って魚を買いに行くべきか? となると、烈王さんの所にも寄るべきだろう。
烈王さんで思い出したけど、ラルくんとクリスさんにグラムさんを会わせないと駄目だよね?
でも、家に帰ると神猫商会の仕事がいろいろあるような気がする。ルーカスさんとカティアさんに任せっきりだ。カティアさんは身重だから無理はさせられないのだけど、代わりになる人が居ないんだよね。
「みぃ……」
やっぱり、一度家に帰ろう……。
「み~」
ミーちゃんもそれが良いよ~って言ってるからね。
「お帰りなさいませ。ネロ様」
なんか冷たい目でルーカスさんに挨拶された。
「レティ様がお戻りになられたので、ネロ様もお戻りになられると思っていましたが……」
「みぃ……」
ははは……。ごめんなさい。ごめんなさいついでにグラムさんを紹介する。クリスさんの叔父さんで遠くに旅に出ていたけど、戻って来て俺の護衛をしてくれる事になったと説明した。
「それはようございました。護衛の件は私共の方でも憂慮しておりました」
「グラムさんは強いので安心してください。いざとなったら飛んで逃げますので」
「それは頼もしいですね」
ルーカスさん、ニコニコとこちらの話を冗談だと思って聞いている。空を飛んで逃げるどころか、下手すりゃ生きとし生けるものが、樹氷と姿を変えた氷原へと変わるだろうね。
「みぃ……」
日中はみなさんお出掛けなので誰も居ない。レティさんも出掛けているそうだ。ラルくんとルーくんも牧場で遊んでいるようで居ない。
今からルーカスさんとカティアさんとの話し合いがあるので、グラムさんには自由にしてくださいと言っておいた。お茶でも飲んでゆっくりしてください。ララさん、ヤナさんよろしく~。
神猫商会の執務室に行き、お茶を飲みながら話を始める。
ミーちゃんはカティアさんのお腹にスリスリしたり、前脚を添えて真剣な顔をしている。まだ、カティアさんのお腹は目立つ程大きくはない。でも、ミーちゃんは心配のようだ。カティアさんはそんなミーちゃんをなでなでしてニコニコしている。
「それでは、ネロさんが居ない間の状況説明をさせて頂きます」
神猫商会の本店は目下改装中だけど、一部は先行して改装してもらった為、いつでも神猫屋を始められるそうだ。俺のゴー待ちになってるらしい。なら、オープンさせようか。
「み~」
隣に建てていた、商隊の護衛をしてくれる妖精族さん達用の家が完成したそうだ。家具なども一通り用意したそうなので、こちらもいつでも住んでもらっても問題無いらしい。じゃあ、妖精族さん達を呼んで来ようか。ルーさんが戻って来たら商隊を一度出してみよう。
「み~」
そういえば、以前頼んでいた水飴工場の件でなにか進展があったみたいだ。
「孤児院のアイラ様からヨハネス様にお話が伝わり、是非に教会の方で手伝わせて頂きたいとお話がありました」
確かに、水飴は孤児などに優先で配ったしてたので、利益度外視にはなっていた。
「教会の方で働き手を斡旋してくれるそうです。水飴は蜂蜜や砂糖に代わる甘味で、作るのも比較的簡単です。なので、すぐに製法が広まるでしょう。独占するには神猫商会では荷が重い品だと思っていました。ですが、教会が後ろについてくれるのであれば、十分に商機があると思われます」
「うーん。水飴で儲ける気はないんだよねぇ」
「み~」
「「!?」」
ルーカスさんとカティアさんが、なにを馬鹿なって感じで驚愕の表情をしている。
確かに、蜂蜜と砂糖に代わる第三の甘味料だけど、水飴は後々神猫商会の隠れ蓑になると思う。
独占して高値で売り暴利を得る事も可能だけど、他の商会からのやっかみや貴族などが横槍を入れてくる可能性が高い。正直、相手にするのは面倒くさい。
そもそも、この水飴は安価で簡単に作れ栄養価が高いので、孤児や貧民層のお子ちゃま救済を目的に宗方姉弟が作ったものだ。それを高値で売ったら本末転倒だよ。
それに、さっき言った隠れ蓑。この水飴を安価に大量にギリギリの値で売る事により、他の商会が作って売ったとしても儲からない状況を作り、周りからの横槍を躱す。利益の代わりに民衆からの神猫商会への株を上げつつ、実は金持ちに本命を高く売って儲ける。
これぞ、損して得取れ、一挙両得作戦だ! して、その本命とは?
「み~!」
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