316神猫 ミーちゃん、最凶モンスターに遭遇する。

 ここは安全地帯ではないので、手短に説明しよう。



「それでは説明始めま~す」


「み~」


「実は、かくかくしかじか……」


「ほう……一度、天界って所見てくるか?」


「みぃ……」



 い、いやだなぁ、ジンさん。お約束ですよね? レティさんもその美しい顔で、凍えるような冷たい目線やめてくれます? なんかゾクゾクしてくる。俺はMじゃないよ……ね?


 冗談はさておき、現状わかっている事を皆に説明する。ドライフルーツを食べてるペロ君、ちゃんと聞いてる? 宗方姉も羨ましいそうにペロを見てないで話を聞け!



「じゃあ、俺達以外に人が居るってことかよ?」


「人かどうかは知りませんがね」


「ダンジョンマスターは人外って相場が決まってます。姉さんの得意分野だよ」


「フムフム。では、説明しよう。ダンジョンマスターには二種類居る。一つは魔王。もう一つはダンジョンそのものである」



 はいはい、説明ありがとうね。ご褒美にドライフルーツをあげよう。



「「わーい」」



 ペロ、羨ましいそうに見ない。食べきれない程持ってるでしょうに……。



「……」


「魔王……」


「ダンジョンそのもの……」



 ルーさん顔色が悪くなってますよ。ジンさんとレティさんは宗方姉の言った事を考えているようだ。確かに、宗方姉のようなラノベ好きならそう考えると思う。


 だけど、今回の件は違うと俺は思っている。管理者の話の中にいろいろとその答えが隠されていたと思う。



「取り敢えず、最下層に行きましょう。たどり着いたらご褒美に、宝物をくれるって言ってたじゃないですか」


「宝物にゃ!」


「にゃ!」


「「宝物! 宝物!」」


「み~!」


「行くしかねぇんだろうな……」



 ペロ達とは裏腹にジンさんとルーさんは諦め顔。レティさんは無表情だ。


 と言う事で、最下層目指して出発。探索する事五時間程で安全地帯を見つけた。今日はここまでで休息をとることにする。


 埋ったマップはこの階層の五分の一程。安全地帯を見つけられたのはラッキーだ。明日は下の階層に降りる階段ないし道は見つけられるだろうか? ほんと、広くて嫌になってくる。


 翌日も朝から探索を始め、運よく昼頃に下の階層に降りる道を見つけた。七階層の敵はスライムで、色とりどりのスライムが現れる。


 残念ながらこの世界のスライムは最弱どころか、最凶のモンスターだ。まず、物理攻撃が効かない。次に、何でも捕食して溶かして食べる。色によって属性を持っていて厄介極まりない。一番厄介なのが倒した所で何の見返りもない事。倒すとドロドロ溶けて何も残らない。唯一の救いが基本的にこちらから手を出さなければ襲って来ないことくらい……のはずだった。



「トシ! 後ろからも来たぞ!」


「よそ見しないでちゃんと倒しなさい!」


「み~!」


「ひー、誰か代わって……」



 絶賛、宗方弟が迷宮産松明を使い炎スキルで迫りくるスライムを撃破中。以前、狐獣人さんの村に置いていったものだけど、ペロが気にいってるらしく今回も持って歩いていたものだ。



「しょうがないにゃ。トシとネロしかスライム倒せないにゃ」


「にゃ」



 スライムの一番の弱点は火、或いはスライムの属性の反対属性。炎スキルを持つトシは火属性を持つスライム以外には無双状態。火属性を持つスライムは俺が水スキルで倒してる。一応、大気スキルと土スキルでも倒せるスライムは居るけど面倒なのでトシに任せている。


 ちなみに、誰も見てない時に雷スキルを使ってみたら炎スキル並に効いたね。何も見てませ~ん。


 性格が温厚と聞いていたスライムだけど、奴ら俺達を見つけるとズルズル這い寄り捕食してこようとしてくる。話が違うのだけど。


 ルーさんとレティさんが索敵してきて気付いたのが、どうやら同族同士で共食いしてるらしい。ここは迷宮の中なので捕食する物がないので共食いしてるのだろうか? そもそも、迷宮のモンスターに食事って必要なの? 迷宮って不思議空間だよ。


 そう、不思議空間なのである。スライムはさっきも言ったけど、倒しても何も残さないはずなのに、トシが倒したスライムは稀に小瓶を残して消える事がある。


 初級ポーションに初級解毒剤、初級気力回復薬、熱冷ましに下剤までいろいろ見つかっている。中には中級ポーションも一つでた。中級クラスの薬品になると十万レト以上する物もある。要するに金貨一枚以上の価値があると言う事だ。スライムを倒す術がある人には、この場所は宝の山に見える事だろう。


 ちなみに、中級ポーションを残したスライムは俺が倒した。何気に幸運スキルが良い仕事をしてるのかもね。


 スライムを倒しながら探索した結果、この階層は上の階層の三分の一位だとマップから見えてくる。狭いのは楽で良い反面、安全地帯を見つけない限り休む事ができない階層でもある。寝ている間にどこからともなく忍び這い寄られ捕食されるなんてぞっとする。


 それに、休むとしてもトシと俺しか倒せないので、寝ずの番になるのが見えている。早急に安全地帯をみつけねば。


 ミーちゃん、どっちにあると思う?



「み~?」





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