286神猫 ミーちゃん、神猫商会の出番ですよ。
翌朝、あんなに疲れていたのに、スッキリ起きる事ができた。寝る前にしてもらったミーちゃんマッサージのお陰です。ありがとねぇ~。
「み~」
みんなと朝食をとり、村の中央の長の家に向かうと多くの獣人の方々が集まっている。狐獣人以外の方も多く居るので、既に他の部族の方達が来ているようだ。話し合いは長の家の前でおこなわれるようで、テーブルに椅子が用意されている。
俺達が来たので長や代表の方達が席についた。今回発起人となった狐獣人の長が代表で話をするそうだ。最初に今来ている部族の紹介から始まって、これまでの経緯が語られる。
猿獣人が今のような暴挙に出る前はみんな助け合って暮していたけど、段々と人口が多くなりこのままいくと食糧不足になると言う状況になったらしい。この五階層にはモンスターは出ないそうで、危険は少ない事から長い年月をかけて徐々に人口が増えていったらしいね。増えたのは良いけどここは迷宮の中、人は増えても土地は増えない。そりゃあ、そうなるわ。
じゃあ、他の階層で狩りをすればと思うけど、四階層に行くにはオークリーダーを倒さないと駄目だし、六階層は虫系のモンスターなので食べれない、難極まったそんな時に猿獣人が昔の街の跡でモンスターを使役する方法を見つけてしまった。見つけた猿獣人はそれを独占して他の獣人を支配下におこうとしたと言う事だ。
救いなのは、猿獣人が他の部族を支配下におこうとしてるけど、虐殺とかは考えていないと言う事。でも、それを起こさないとは言えない状況まで来ているのかも知れない。そこまでの暴挙に出る前に決着をつけなければならないね。
「み~」
そもそもが人口が多くなり過ぎたのが原因なら、移住の話はもってこいのはず。だけど、猿獣人は話を聞く耳を持たない今、一度まっ更にする必要がある。大きな力を手に入れてしまった猿獣人はそうしないと話を聞いてはくれないだろ。
「先ずは相手の情報が必要です。我々が連れてきた仲間はその手の事が得意な人達なので、そちらからも人を出してもらいこちらと組んで情報収集をしてもらいましょう」
「わかりました。すぐにその手が得意な者を集めましょう」
「次に、相手と戦う為の防衛線の構築です」
「防衛線ですか?」
「今は、村単位で防衛してますが、戦いは数です。バラバラで居るより一ヶ所に集まっていた方が有利です。村々と街の跡地の間に砦を築ける場所はないですか?」
「無くはないですが、相手がそれを許すとは思えませんが……」
「土スキル持ちはどの位いますか?」
「どうでしょう。土スキルは珍しいスキルですから」
「確認を取ってください。そして早急に集めてください。その間になるべく多くの木材も用意して下さい。大工仕事ができる人も集めて欲しいですね」
「はぁ、わかりました手配します」
フフフ……猿獣人よ、見て驚くが良い。これから起きるファンタスティック! 日本の昔の猿が使った手を再現して差し上げようではないか!
「み~!」
その後は獣人さん達に武器防具を渡すので、各部族から運んでくれる人をさっき頼んだ人達と共に来てもらう。取り敢えず、今来ている人達に新しい武器防具を渡すと、みなさん驚きの声をあげてそして喜んでいる。俺達にとってはたいした物じゃないんだけどね。
他の部族の方達が急いで戻って行く中、俺達もやれる事をやろう。村の外に出てミーちゃんバッグから大量の切り倒した木を出す。ブロッケン山の街道整備で回収していたものだ。これを狐獣人さん達で木材に加工してもらう。
その間に案内人をつけてもらい、砦になる場所の下見をしてくる。狐獣人の案内人とレティさんとルーさん、俺とミーちゃんだけで行ってくる。目立つと不味いからね。
遠くに朽ちた防壁が見える、あれが街の跡だろう。確かにここは見通しが良い、街の跡から誰かが出てきたらすぐにわかる。反面、こちらも丸見えだね。その事を除けば立地条件は悪くない。すぐ後ろに川が流れているので、砦を造れば監視の者に気付かれず、ここを通り抜けて村に行くのは難しいだろう。
「良い場所です」
「そうか? 背後が川だぞ。もしもの時に逃げられなくなるぞ」
ルーさんの言う事も一理ある。
「ここを抜かれれば、その時点で負けです。俺の故郷の言葉に背水の陣って言葉があります。敢えて逃げ場を作らないで、死ぬ気で戦うって事です」
「み~」
「背水の陣ねぇ。うまいこと言うな」
マップスキルにも載った事だし、戻って図面でも作ろう。
村に戻ると多くの獣人さんでごった返している。みなさん、決して上等とは言えない荷車を引いて来ています。ミーちゃんバッグから渡す予定の武器防具を全部出し分配は長達にお任せする。そうしていると狐獣人の雑貨屋のおばさんが声を掛けてきた。
「頼まれてた物が届いているよ」
ロングテイルエイプの毛皮と交換した香辛料の件だね。人だかりとは別の場所に無造作に大量の袋が山積みされている。
「結構な量ですね。良いんですか?」
「実はだね。お願いがあるんだよ」
「なんです?」
「あんたら外の人だろう?」
「えぇ」
「この香辛料を他の食糧に換えちゃくれないかね?」
成程、そう言う事ですか、となると個人売買とはいかなくなるので神猫商会の出番ですね!
「み~!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます