259神猫 ミーちゃん、美猫親子にお昼ご飯をご馳走する。
下の階からはまだ黄色い歓声が上がっている。エバさんの雷が落ちないと良いんだけどね。
「切り札があっても、使う場所がなければ意味は無いか……」
「ゴブリンキングと西の魔王との戦いに呼応するように、ヒルデンブルグの周りの魔物達が動き出したそうです」
「それは、どちらかの魔王によるものか?」
「わかりません。ですが、大公様達は魔王達の動きに触発されて動き出したと見てるようです」
「ヒルデンブルグの力は当てにできんか……」
「厳しくなりますね……」
「ロタリンギアの動きも怪しいですから、騎竜隊も簡単に動けなくなりました」
「やはり、全土に非常事態宣言を出さねばならんのだろうな。本部もゼストギルド長も眠れん日が続くな」
非常事態宣言とは、今までは中堅ハンターさんにしか招集が掛けられていなかったゴブリンキング戦に初級と熟練ハンターさん達にも招集が掛かると言う事。これにより各ハンターギルドの依頼が滞り大変な事になるけど、背に腹は代えられない。後は他の国のハンターギルドが追従するかが鍵になってくるって事だろう。
「決戦場所は必ず作る。それまで勇者殿達を鍛えておくようにジンに言っておいてくれ」
「了解です。他人事ではないので、俺も付き合う予定です」
「ふむ。鍛えておくことは良い事だ。精進しろ」
エバさんが入れてくれたお茶を飲みながら、大気スキルについて話を振ると何人かはだいぶ上達したらしく銃の購入をした者もいるらしいです。それはそれは。
「自分も訓練して土スキルを身につけましたよ」
「なにっ! どうやって身につけた!」
「ドラゴンに教わりました」
「ド、ドラゴンか……」
「ドラゴンが師匠って、ネロ君凄いわね」
二人の反応は真逆。セリオンギルド長は苦々しい表情、エバさんは素直に感嘆の表情です。雷スキルも覚えたんだけど、あれは見栄えが悪いので人前では見せたくなくなったよ……。
「それで、今日来たのは顔を見せに来ただけではなかろう?」
「流石、セリオンギルド長。実はお願いがあって来ました」
私設兵団について話をして兵の斡旋をお願いする。
「ブロッケン地方はゴブリンキング、ロタリンギアにも事によっては対応しなければなりません。早急に私兵団を作る必要があると思ってます」
「しかし、ハンターはまとめ辛いぞ」
「私兵団の長はグレンハルトさんです。みんな従うと思いますよ」
「なにぃ……グレンだと。引退したのはそのせいか!」
「逆ですからね! 引退するからやってもらうんです!」
「ネロ君は、またハンターギルド本部に恨まれますわ」
「だろうな」
グレンハルトさん、実力もあるし性格も気性も申し分ないので、ハンターギルド本部はゆくゆくはギルド長に抜擢するつもりだったそうです。そんなの俺は知らないね。グレンハルトさんが雇って欲しいって言ってきたんだから、最初に雇ったもの勝ち。
「良いだろう。何人か送ってやろう。フォルテで良いのか?」
「はい。今、グレンハルトさんが代官をやってますので」
「さっそく、コキ使ってるようだな」
ソンナコトナイヨー。当分、クイントに居る予定なのでと話すと、セリオンギルド長が『グラン・フィル』に今度みんなを連れて来るよう約束をさせられた。もちろん、喜んで承諾する。
下に降りて行くと見知った顔ぶれが居る。
「ネロにゃ!」
「にゃ!」
「おいおい、どうやって来たんだよ!」
「それは、ミーちゃんの深~い愛情の賜物なんですよ」
「み~」
「ミーちゃん凄いね」
「ミーちゃん、私にも愛情プリーズ!」
若干二名、本気にしてる人達がいるけどスルー。
「準備はできてますか?」
「まあ、大方はできてるぜ。ネロはどうなんだ?」
「俺も大方準備はできてます。やる事は用事が一件残ってるのと、迷宮内で食べるご飯の調達ですね。この後、サイクスさんに頑張ってもらいます」
「おぉー。サイクスにゃんの作る料理は旨いにゃ。ペロの知ってる料理人の中では六、七番目位の腕の持ち主にゃ!」
「六、七番目位って誉め言葉か?」
「ペロは舌が肥えてますからね。覚えられてるだけ凄いですよ」
「クイントに着いてから飯食う時はいつもここだからな」
「懐かしい味だね」
「お袋の味だよ~」
と言う事で昼にはちょっと早いけど、早めの昼食にする。ミーちゃんが美猫親子も昼食にご招待して来た。母猫フェルさんと子猫のパルちゃんはみんなから可愛がられているようで、毛艶がとても良い。元野良猫とは思えないね。お姉さん達の貢物もあるようで、フェルさんは黄色いスカーフを巻いている。パルちゃんも元気一杯で、ミーちゃんに構って攻撃を何度も仕掛けてます。
ミーちゃんと美猫親子には猫缶を、その他は各々ランチを注文して、俺はAランチを頼んだ。ペロとセラはAランチとBランチ両方を頼む、腹ペコ魔人ここにあり。
「み~」
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