250神猫 ミーちゃん、過払い金は返却します。
グレンハルトさんの方は苛烈を極めた戦闘になったそうだ。グレンハルトさん達が相手にしたのは王都から追われたいくつかのマフィアが一つに纏まった集団だった。もうここが駄目なら後が無い状態だったせいで死に物狂いで抵抗し大勢が死んだそうだ。ハンターさんにも死傷者が多数出てしまい申し訳ない事になった……。
「仕方ない事さね。死んだ奴らの為にもこの街をより良い街にしてくれれば良いさね」
ヘルダギルド長はそう言ってはいるけど、辛い表情をしている。
夜が明ける前に、レティさんと義賊ギルドが調べた細々とした悪徳金融や悪徳商会なども潰して回る。中には街の地区長まで居たのには唖然としてしまった。この街にはどこまで悪が蔓延っているんだろうか……。
「みぃ……」
全てが終わり、怪我人の治療を終えた後、亡くなったハンターさんには悪いけど打ち上げをおこなった。こんな時だからこそ祝い事は盛大に祝って死者への弔いにもした方が良いと思う。
マフィアから押収した酒と食糧の一部を提供しておく。亡くなったハンターさんの方はヘルダギルド長が責任を持って対応してくれるそうだ。養っている家族がいる場合には俺の方からも見舞金を渡し、今後の生活についても相談に乗ると言ってある。
ハンターさん達のどんちゃん騒ぎが続く中、夜が明けると街は騒然とした雰囲気に包まれた。酔っぱらったハンターさん達が起きてきた街の住民に今回の件を触れ回ったらしいです。
俺とグレンハルトさん達は少しの間仮眠を取った後、捕えた者の後始末をおこなう。領主となった以上、人に任せて目を背ける事は許されない。
闇ギルドの幹部は全て死罪。その日のうち俺が立会いのもと刑が執行された。残りの下っ端連中はニクセの鉱山での強制労働と言う名の島流し。島流しとは聞こえが良いけど、生きて人生をまっとうするのは稀らしい。今回捕まえた女性と十四歳以上の少年少女も鉱山送りになる。鉱山で働く人達の村で五年間下働きさせられる事になり、その後は放免となる。罪人達は鉱山を仕切って居るドワーフ族に預ける事になるそうだ。
それより小さいお子ちゃま達は、マフィアのボスの館を改装して孤児院を作りそこに入ってもらう事になる。早急に改装を行い、人の手配をしないといけない。レティさんとの約束でもあるからね。
後の細々な事はグレンハルトさんに任せる。品行方正なグレンハルトさんなら任せても安心だろう。盗賊ギルドの方も傭兵として大方出て行った後にアジトを襲撃するようにも言ってある。ヘルダギルド長と義賊ギルドにも要請はしてあるので問題はないと思う。
レティさんを連れてうちに戻り、翌日うちの白狼一頭を連れてニクセに向かった。
ニクセの役所に行くと、リンガードさんからヴィルヘルムの商業ギルドから人が来てますと言われたので会いに行く。リンガードさんが用意した宿に泊まっていたみなさんに挨拶してから、ブロッケン山経由でフォルテに向かうよう指示したら驚かれた。
「我々に死んで来いと言われるのですか?」
「仰りたい事はわかります。ですが、この狼を一緒に行かせますので心配には及びません」
全員が怪訝な顔をしているので説明する。この狼はブロッケン山の主の配下で、この狼と一緒に居ればほとんどのモンスターが襲って来ないこと、襲って来てもこの狼が気付き注意してくれる事などを伝える。
「それを信用しろと?」
「信用してもらう以外ないですね」
「み~」
ハンターさんの代表が渋々ながら承諾してくれた。妖精族のみなさんも街道の整備をしてるはずだから、そうそうモンスターが襲って来る事はないと思う。ハンターさん達もそれなりの腕の持ち主のようだから問題なさそう。フォルテに着いたらグレンハルトさんを訪ねるように言っておく。神猫商会で働く二人はそのままハンターさんの一パーティー護衛のもと馬車でベルーナに来てもらう事になり、もう一台の馬車とハンターさんの一パーティーはフォルテで依頼終了となる。
「よろしく頼むよ」
「み~」
「ウォン!」
ベルーナの屋敷に戻って今回集めた物をルーカスさんとカティアさんとで検品する。部屋に入り切らないので外の馬屋の横の倉庫でおこなう事になった。ミーちゃんに少しずつ出していってもらう。
「凄いの一言ですね……」
「お金だけでも、今回王国から頂いた金額に匹敵します……」
確かにお金だけで倉庫の一画を占めている。でも、このお金のほとんどがフォルテの街やその周辺の村々から不当に手に入れた金だろう。返せる分は返そうと思っている。今回押収した書類関係はグレンハルトさんに渡してきた。役所の人達と確認をおこなっている事だろう。寝る暇も無くね……数日後に応援が行くからそれまで頑張れ!
確認ができたものからお金を返却していく予定。身売りされた者もいるので、そう言った人達は最優先で助けるように指示はしてきた。闇金融などに金を借りていた者に関しては、帳消しにしようかと思ったけどグレンハルトさんに全て帳消しにする必要はないと言われてしまった。金を借りた者の中には自分の不始末で借りた者も多くいるはずなので、そう言った者の債権は優良な金融業者に売る事にする。
逆に、多く支払った者には返却する事にもしている。過払い金ってやつだね。
やっぱり、良い意味でも悪い意味でも借りたものは返さないといけないと思う。
「み~」
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