216神猫 ミーちゃん、準備に大忙しです。
ギルドの中はてんやわんやの大騒ぎ。
大公様から許可を貰ってきたと言った瞬間、ギルドの職員さんの顔が真っ青になった時はこっちが驚いたよ。
誰も本当に許可がおりるなんて思っていなかったので、誰も準備なんかしていない。それはたったの数時間の事だけど、大公様の許可がおりたイコール絶対にやらなければならない最優先事項に書き替えられてしまたのである。さあ、働くのだ諸君! 時間は余りないぞ!
「み~」
職員さんが一斉にギルドを飛び出して行く。今回の企画に協賛してくれるお店や屋台に声を掛けに行ったようだ。ギルドの中でも街の中や近隣の街に居る、大道芸人や吟遊詩人の確認やテーブルなどの資材関係の確認で忙しくなってきた。
「それでは、エールに関しては神猫商会さんに集めて販売して頂き、売上金は折半と言う事でよろしいのですね?」
「売上金ではなく、人件費や諸経費を引いた純利益でです。現状、エールを瞬時に冷やせる技能を持った者はうちの商会の者だけでしょう。ジョッキの洗浄などでを手伝ってくれる人は必要になりますので、そう言った人の人件費などは別になります」
「成程、その通りですな。こちらでもそう言った技能持ちを探してみますが難しいでしょうな……。神猫商会様にお願いするしかなさそうですな」
そこら辺の契約書は商業ギルドに丸投げにしたよ。得意分野だろうしね。後は、大きな紙を用意してもらい、中央広場の平面図を描いて各ブースの設定、店舗数の割り出しなどを担当者さん達と決めていく。
気付けば十一の鐘がなっていた。大まかな事は決めたので、後は商業ギルドに頑張ってもらおう。担当者さんには二日後にまた来る事を伝えてヴィルヘルム支店に戻ると、クリスさんとアルさんが土下座して謝ってきた。昨日の事は途中から記憶が無いそうです。それは、強い衝撃を受けたからではないでしょうか……。
「みぃ……」
二人にはお酒は飲むなとは言わないけど、ほどほどにねとだけ言っておく。
うちに戻ると、丁度ユーリさんも戻って来たところなので一緒に遅い夕食をとる。ミーちゃんはカイと一緒に焼き魚と猫缶を美味しそうにハムハム食べてます。ジンさん達は……宴会中。明日の為に部屋に戻ろうとしていたペロとルーさんに、鶏肉を大量に取ってきて欲しいとお願いしておく。
「鶏肉?」
「何するにゃ?」
「にゃ?」
「大量にから揚げを作る必要があってね。お願いできる?」
「から揚げにゃ! 任せるにゃ!」
「となると、ヤンとカオリンがメインだな」
「み~?」
カ、カオリンって宗方姉の事?
「から揚げの為にゃ。カオリン頑張るにゃ!」
「はい。にゃんこ先生!」
「ヤンもにゃよ?」
「頑張ります!」
翌日はベルーナの商業ギルドに向かい、ヴィルヘルムの商業ギルドに出した企画書と同じ物を神猫商会の担当者さんに渡して見てもらう。
「面白い企画ですね。ですが、許可がおりるでしょうか?」
やはり同じ事を心配しているようだね。担当者さんにヴィルヘルムでは大公様に許可を頂いて四日後に開催する事を教えた。
「ヴィルヘルムでは許可がおりたんですね……ですが、ベルーナの中央広場はヴィルヘルムの中央広場より格段に広いので許可がおりるのは難しいのでは?」
「多少、
「そうですか、では申し訳ありませんが許可に関しては神猫商会様にお願いします。開催予定日は十日後でよろしいですか?」
「はい、忙しくなると思いますがよろしくお願いします」
「み~」
「いえいえ、神猫商会様には魚介類の販売でお世話になっていますし、それに今回の企画は街の人々も喜ぶものですから」
次は、ハンターギルドに行ってパミルさんの説得だね。
「お、王宮ですか……」
「レーネ様にお願いされてしまったので」
「それなら、テラだけ連れて行けば良くない?」
「それだと、王妃様に何か言われそうで……」
「……」
「ユーリさんも行きますよ」
「ぐぬぬぅ……」
「明日、九の鐘に迎えに来ますね。ギルドの馬車お借りしたいのですけど?」
「ハァ……用意しとくわ」
「ギルド長の許可もお願いしますね」
「……了解よ」
うちに帰り、ペロ達が戻るまでにから揚げの準備をしておく。
「大漁にゃ!」
「「かっら揚げ! かっら揚げ!」」
「にゃ!」
サンダーバードのお肉四羽分と、コケッコーのお肉十羽分を狩って来てくれたようだ。早速、ララさんとヤナさんと手分けして、から揚げとポテトフライ、ヴィルヘルムの市場で買ってきた魚介類もフライにしていく。ピクルスは無いけどきゅうりと似たような野菜の酢漬けを使ってなんちゃってタルタルソースも作る。ソースが欲しいけど作り方を知らない。残念。
四日後のお祭りで神猫商会で売る品の為に作っているはずなのに、ミーちゃんバッグにしまわれる前にペロ達が持って行ってしまう……何故。そして、リビングの方からは宴会の音が聞こえてくる……解せぬ。
結局、作った物の半分は宴会のつまみと夕食に消えてしまった……これでは、全然足りないね。当分はペロ達には鶏肉を狩って来てもらう事になりそうだね。
「み~」
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