99神猫 ミーちゃん、ウエイトレスさんの提案にノリノリになる。

 プリンができるまでに、バザーで買った果物を摺ったり絞ったりして容器に入れてミーちゃんバッグに収納してもらう。


 プリンもできたので、サイクスさんとウエイトレスさん、ついでに美猫親子にも試食させてみた。



「うめぇー」


「お口でとろけるぅ~」


「にゃお~ん」


「みゅ~」



 みんなにご好評のようです。



「これと餡子でお店開けますよ!」


「み~!」



 ミーちゃんがしっぽをフリフリして目を輝かせている。もし、そんなお店ができたら、ミーちゃんが常連客になる事間違いなし。お店の開く前からお店の前でお座りして待ってるミーちゃんの姿が浮かんでしまった……。



「でもよぅ。卵どうすんだ? もう、一個もねぇぜ。牛乳だってそうだ。これ以上増やすったって、取引先がウンとは言わねぇぞ」


「じゃあ、鳥も牛も飼いましょうよ。向こうで猫ちゃん飼ってるんですから、こっちもプリンの為に鳥と牛を飼うんです!」


「誰が世話すんだ?」


「マスター……」


「おめぇがやれよ!」



 食材の卵と牛乳は保存が効かないのでリスクが高く、どこもリスクを冒してまで増産しないそうです。オムライスやプリンが定期的に売れるようになれば、増やしてくれるんじゃないでしょうか? その為にもじゃんじゃん売ってください。



「確かに売れるとは思う。思うがここじゃあ無理じゃねぇかぁ?」


「持ち帰りできるようにするとか?」


「今でも忙しいのにこれ以上は俺がもたねぇよ」


「マスター! 誰か雇いましょう!」


「エバさんに相談してみっか……」



 サイクスさん頑張ってね。旨い物をこの世界に広げる為です。


 酒場でミーちゃんと美猫親子をモフっていたら、ギルド長にギルド長室に連れて行かれ中に入るとエバさんとパミルさんも部屋に居た。



「明日の件だ。蒼竜の咆哮と暗闇の牙は確定では無いが来る事になっている。それでだ、今回の件は国の根幹に関わる事なので税や手数料は取らない、逆にギルドから危険手当が出ることになる。ネロ君には彼らに払う報酬は成功報酬ではなく、前払いでお願いする事にもなる。良いかな?」



 それだけ危険な依頼と判断されたようだ。ミーちゃんにお金を出してもらう。



「問題ありません。確認お願いします」


「み~」



 エバさんとパミルさんが、お金の入った袋を別のテーブルに移して数え始める。



「明日の九の鐘に会議室集合としてある。我々も同席して構わないかね?」


「うーん、他言無用にしてくれるのであれば、ギルド長だけなら認めます」


「ここに居る者でも駄目かね?」


「利権が絡まないと言うのが、先方の条件でして……」


「ギルドも利権の範疇と言う訳か……」


「俺が言うのもなんですが、ギルド長はハンターギルドは利権が絡まないとでも言うおつもりですか?」


「……」


「確認終わりました。一千二百万レト確かにあります」


「わかった」



 ギルド長は渋い顔をしているけど、こればかりは仕方ない。ミーちゃんをモフりながら話題を変える。



「明日のもう一つの件はどうなりました?」


「十人程集まる予定だ、他に儂と数名ギルドから参加する」


「思ったより少ないですね」


「今回は優秀な者だけ集めた。この者達に理解できなければ他は無理だろう。この者達が覚えられれば、そこから広げる事ができる」


「ギルド長の方はどうするんですか?」


「土スキルは大気スキルより数が少ないからな。今、優秀な者を探してるところだよ」


「間に合えば良いですね」


「そうだな……」


「みぃ……」




 次の日の九の鐘にハンターギルドの会議室に来た。


 ミーちゃん達は下で美猫親子達と一緒にお姉さん達に可愛がられている。ペロとセラは餌付けの間違いかも……。


 会議室の中には蒼竜の咆哮のみなさんと、五人の獣人だけのパーティーの暗闇の牙と思われる方達が居た。


 ギルド長が入って来たのでミーティングを始める事にする。



「知ってる人も、知らない人も居ると思いますが、ネロと言います。今回はここに集まって頂き感謝しています。最初にお断りをさせて頂きますが、私は既にハンターギルドの職を辞している事ご了承ください」



 みなさんの顔が困惑気味ですね。



「今回のご依頼はハンターギルドではなく、ルミエール王国からのご依頼とご承知おきください。ですので、今回の調査で得た情報を他に漏らす事は許されません」


「それは、ハンターギルドにもと言う事かな?」


「その通りです。ミュラーさん」


「ギルド長は承知済みなのか?」



 暗闇の牙の男性のセル(半獣顔)の犬獣人さんだ。



「仕方あるまい。ネロ君は宰相付きの巡察使。儂如きでは口出しできん」


「勘違いしないでくださいね。みなさんが情報を漏らしてはいけないのであって、こちらから情報はギルド側に提供します。私が実際に見て客観的に考えたうえでの報告をすると言う事です」


「失礼だが、君に何がわかると言うのかね?」



 暗闇の牙のルン(人に近い顔)の豹耳の男性が質問してきた。



「逆に何も知らないからこそ選ばれました。もともとこの国の者ではないので、国にもハンターギルドにも縛られない者です。以前の大戦の事もよく知りませんし、モンスターに憎しみすら持っていないのでみなさんと違い客観的に物事を見る事ができます。ご理解頂けたでしょうか?」


「それは了解した。それで君を守りながら調査しろと?」


「そうです。その為にギルド長が推薦したあなた方に依頼を出しましたが、問題でも?」


「どう見てもあんたじゃ、この調査には不向きだよ!」



 今度は暗闇の牙のルン(人に近い顔)の虎耳のお姉さんが言ってくる。



「失礼ですが、不向きとは?」


「どう見ったって、あんた貧弱だろう。ガキの世話して守りながら、山の中を歩きまわるなんてゴメンだね」


「確かに体力に自信はありませんが、守られるばかりになるつもりはありませんが?」



「へー、言うじゃないか。そんな体で戦えるとでも?」


「ハァ……これだから脳筋は……良いでしょうお相手しましょう。審判はギルド長、お願いします」


「良いねぇ。吠え面かかしてやるよ!」


「やるのは構わんが、どうなっても知らんぞ……」


「午後の講習の実地だと思ってください」


「よかろう。見てやろう」



 ははは……なんて言ったけど、冷や汗かきかきなんですけどね。






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