97神猫 ミーちゃん、ペロの鎧を注文する。

 ミーちゃんには餡子、ペロとセラとルーくんにはスイカに塩をちょっとだけかけてあげて出す。パミルさんには果汁水のフローズンです。



「これもスキルなの?」


「水スキルです」


「そう……」



 みんな満足顔だね。クイントに帰ったら果物とか買い出ししないと足りないな。


 テントはパミルさんに使ってもらい、俺達は外にシートを敷いて毛布に包まって寝ます。ミーちゃんも一緒に寝てくれるそうです。チュッチュッしてあげましょう。



「み~」



 夜中に二度ゴブリンの襲撃がありました。起きて見に行きましたけど、出番はまったくありませんでした。騎士団に多くのハンターさん達がいますからね。でも、寝不足になりそう。これがゴブリンの狙いだったりして……まさかね。


 早朝、多くの荷馬車がクイントに向け出発して行く。帰りは迷宮の周りで切った木材を積んでいるみたいだ。空荷で帰ったらもったいない、良く考えてらっしゃる。


 昨日、襲撃に来たゴブリンの死体は俺が回収しておいた。騎士団もハンターさん達もいらないって言ってたので、朝早くからミーちゃんと回収して回り荷馬車を襲ったゴブリンも合わせると二百三十匹になりました。大漁です。


 ここに来てるハンターさんクラスだと、ゴブリンのコア如きには目もくれないんでしょうね。欲しいなら迷宮に潜れば、もっと価値のあるコアも素材も手に入るからだろうね。


 俺達も出発しますか。昼過ぎくらいにはクイントに着くと思う。


 街道では多くの荷馬車とすれ違う。これから国の歩兵部隊や傭兵部隊も白亜の迷宮に集まって来る。物資は幾らあっても足りないくらいだろうけど、迷宮があるから肉などはいくらでも手に入るので籠城戦もできる。砦の規模が小さいのがネックかな。


 お昼を取らずにスミレに走ってもらったので、予定通り昼過ぎにクイントに着いた。ハンターギルドに直接向かい、パミルさんを降ろす。ついでにサイクスさんの所でお昼にしよう。スミレの鞍は外しておいたけどご飯はもうちょっと待っててね。


 ギルドの中に入ると、エバさんが飛んで来た。



「パミル、よく来たわね。てっきり、北回りで王都に行くと思っていたわ」


「ネロ君に乗せて来てもらいました」


「そう、ネロ君。ありがとう」


「どうせ帰り道ですから。荷物ここで良いですか?」


「ネロ君。本当にありがとう。少しの間クイントに滞在してから王都に向かうわ」


「俺もここでの依頼が終わったら王都に戻りますので」


「じゃあ、王都でも会えるわね」


「そうかもしれませんね」



 パミルさんはエバさんとギルド長の所に行くようです。


 さあ、俺達はお昼にしょうか。サイクスさんランチ六人前で~!



 昼食を食べてから宿探し。スミレも泊まれる宿を探す。バザーの近くにバザーの人達が泊まる宿があると聞いてやって来ると、宿より馬舎の方が大きな宿だった。中に入って聞くと素泊まりだけの二人部屋からしか無いと言われたけど、丁度良いのでお願いする。



 スミレの世話をしてから、ゼルガドさんの工房に行こうか。



「なんだ、不具合か?」


「いえ、弾の補充のお願いとご相談に」


「あれだけ作った弾で足りないのか?」


「一度の戦闘で四十発近く使いまして」


「そんなにか……」


「まだ腕が悪いもので、一撃で仕留められない事もある訳で……」


「わかったいくつ作る?」


「取り敢えず、明後日の夕方取りに来るので作れるくらい。ホローポイント弾を多めでお願いします」


「わかった。相談ってのは?」



 ライフルのスコープの件だ。スコープがあれば狙撃ができるようになる。それだけ危険が減ると言う事にもなる。



「ライフルに望遠鏡だぁ? 面白れぇじゃねぇか!」



 ゼルガドさんにレンジ調整の説明をして百メルと百五十メルに調整できるようお願いする。



「試作品は作るが、実際の調整は坊主が居ねぇと無理だな」



 十日くらい街に居ない事を告げ、前金で百万レト渡しておく。



「わかった。任せておけ」



 ついでに防具職人さんを紹介してもらった。三軒先の工房だった。



「ペロの鎧にゃ?」


「み~」


「おぉ、姫は優しいにゃ」



 ペロくん、俺には何もないのかな?



「ネロ、早く行くにゃ!」



 はいはい、うちのニャイト様はお気楽ですにゃ……な。



「すみませ~ん。ゼルガドさんの紹介できました~」


「イカレ頭の紹介か……で、なんだ?」



 ゼルガドさんのイカレ頭って二つ名なのか!



「防具を作ってもらいたくて来ました」


「ペロのものにゃ!」


「み~」


「にゃんこの鎧かよ……あのイカレ頭め!」


「にゃんこじゃないにゃ。ペロにゃ!」


「みぃ……」


「で、どんな鎧を作るんだ」


「素早さ重視の戦い方なので動きを阻害しない物が良いですね」


「素材はどうする?」


「少しばかり素材があるんで、見てもらえますか?」



 カウンターにブロッケン山で手に入れた素材をミーちゃんに出してもらう。



「おいおい、どんだけ出すつも……フォレスト、いや、グランベアかよ……」



 まだまだ、あるのですけどどうしましょうか?



「ソルジャーアントの殻にグランベアの皮を下地に使うか……」



 聞いてないですね。



「いくら出せる?」


「素材で払って駄目ですか?」


「構わないが良いのか? もう一人分は十分に作れるぞ」


「自分のはあるんで」



 コートの中をみせる。



「ほう。飛龍か、なるほどな。他の素材の買い取りもするか?」


「良いんですか?」


「兄ちゃん。商人ギルドに入ってねぇんだろ?」


「はい、まだ入ってません」


「なら、俺が個人で依頼を出したって事にしてやるよ」



 いろいろ、税金逃れの抜け道があるみたいです。



 こっちは願ったり叶ったりなので、買い取ってもらう。ゴブリンは断られました。ハンターギルドで売ってくれだそうです。


 ペロのサイズを測ってもらい、十日後くらいにまた来る事を伝え後にする。


 しょうがない、ハンターギルドに戻ってゴブリン売りますか。



「み~」





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