44神猫 ミーちゃん、親睦会に参加する。
迷宮から出てハンターギルドに戻ると、ギルド内は大騒ぎになった。
迷宮からAFが出ったってね。ミュラーさんは俺の耐性の指輪については黙っててくれた。流石、できる男は違うね。
「どうするつもりかしら?」
「まだ、決めてない。後で相談して決める。それから明日は休みにする。ジルが怪我をしてな、様子を見る」
「そうですか。それはリーダーの判断にお任せします」
俺はその間に今日の分の地図を描いてしまう。
「ネロ君の調べた地図は完璧でした。今日探索に出たパーティーも感心してましたよ。二階層の様子はどうですか?」
「広さは一階層の四倍程度で、モンスターはロックリザードだけのようです」
「え? ロックリザード?」
「ネロ君の言った通り、二階層はロックリザードだけだ。あの迷宮は駆け出しハンターでは無理だ。一階層は飾りだな」
「二階層からロックリザードだなんて……」
「だが、二階層でまだ罠などは見ていない。中堅クラス以上のハンターにとっては、稼げる迷宮だ。白亜の迷宮より実入りは格段に良いだろう」
白亜の迷宮はクアルトとクイントの間にある迷宮だ。いつか行ってみたいね。
「明日、二階層の探索に別のパーティーを送ってもよろしくて?」
「構わんよ。安全地帯も見つけてある。しかし、三階層に降りるのはお勧めしないがね」
エバさんに描いた地図を渡す。
「三階層に降りる道はまだ見つけてません。なので、どんなモンスターが居るかも不明です」
「わかりました。注意しておきます」
それからは、疲れてたけど通常業務に入る。ヘンリーさんに泣きつかれたからね……。
ミーちゃんには、お気に入りの赤い宝石の付いたネックレスを着けさせてあげレースのスカーフも巻いてあげる。赤い宝石の付いたネックレスは白猫のミーちゃんに良く映えてお似合いですよ。お嬢様。
「み~」
お尻をフリフリさせあたかもモデルさんのように歩いている姿は、貫禄が見えてくる。
なんとかお仕事も終わり今日の宿はどうするのかと思っていると、ギルドの酒場で飲んでたミュラーさん達がやって来た。
「さて、帰るか」
「?」
「俺達のホームの帰り道に、ネロ君が泊まる宿があるんだよ」
「それに、親睦会も兼ねて今日の打ち上げだ」
「パーっと行こう。パーっと!」
「ハァ?」
……拉致されました。ミーちゃんもね。連れてこられたのは『安らぎの木洩れ日亭』と言う宿。ハンターさん達だと中堅クラス以上の方達が泊まる宿で二食付きだそうだ。
受付の方から鍵を受け取り、部屋に荷物を置いてくる。荷物と言っても全てミーちゃんバッグに入っているから、今持ってるバッグや装備品くらいなものだけどね。
部屋の大きさは、クアルトの『憩いの宿木亭』の部屋の二倍くらいで水も出る洗面台付き。
装備品をタンスに掛けてキャリーバッグも置く。いつものバッグだけを持って、鍵を閉めて蒼竜の咆哮のみなさんが待つ食堂兼酒場に向かった。
何故か、宴会が始まっている……親睦会って言ってなかったっけ?
「小僧! 遅いぞ、早くこっちに来て飲め!」
「いや、俺、酒なんて飲んだ事ないんで」
「なんじゃと!? その辺のガキだって飲んどるぞ!」
「嘘、教えないでください! そんな事してるのドワーフくらいなものです」
「「「確かに……」」」
「まあまあ、ほら座って、座って。さあ、飲むぞー!」
宴会真っ最中に、素面が強行突入するようです……。ミーちゃん頑張ろうね。
「み~」
改めて、自己紹介をされた。そう言えば聞いてなかったね。ミュラーさんは割愛するよ。
ドワーフのおっちゃんはジルゼード、通称ジルさん。ゼルガドさんと同じでこの世界のドワーフ族は背が低くない。全体から見れば若干低くいけど、それでも俺と同じ高さだね。体積は三倍くらいあるんじゃないのかな? ムキムキマッチョの言わば樽だね。
猫獣人のお兄さんはルーチル。通称ルーさん、獣人の中でもセルと言われる、リアル猫顔と人を足して二で割った感じの容姿をしている。言ったら失礼になるから言わないけど、可愛らしい顔立ちをしている。年は二十七歳なんだって。ジルさんは三十三歳って見えないよ! もちろん、もっと年上だと思ていたのは内緒……。逆にルーさんは猫顔のせいで年齢不詳。可愛らしいので十代と言われても納得するかも?
犬獣人のシャイナさんは弓使い。シャイナさんは人の顔に近いルンと言われるタイプの顔立ち、犬耳お姉さんもちろん尻尾ありね。身長は百九十センくらいかな。ちなみに、リアル獣顔はユンと言われている。この辺では余り見掛けないらしい。
エルフのお姉さんユーリティア、通称ユーリさん。身長は俺と同じくらいだけど、ボン、キュッ、ボン! です。エルフは耳が尖ってるって認識してたけど、この世界のエルフはほんの少し尖ってるかな? 程度。エルフと普人族の見分け方は、エルフは美男美女しか居なく醜男醜女は居ない事らしい。ユーリさん、さっきから俺の横に座って俺とミーちゃんのお世話をしてくれています。凄い美人だけど優しい癒し系のお姉さんって感じの方だね。
普人族のミランダ、通称ミラさん。回復スキル持ちの方だ。回復スキルも珍しいスキルで、ハンターさん達の間で回復スキル持ちは引っ張りだこなんだそうだ。能力としては初級クラスの回復ができるらしく、熟練度が上がると中級、上級と使えるようになる。万能薬と同じ回復もできるようになる人も居るそうなんだけど、そこまでいける人は稀なんだそうだ。どれだけミーちゃんのミネラルウォーターが凄いか、改めて実感させられる。
ちなみに女性陣は誰もお歳を教えてくれませんでした。
みんなの紹介が終わったので俺とミーちゃんの紹介もしたよ。
俺の自己紹介の時十八歳って言ったらまた固まられ、その後乾いた笑いが酒場に響いていた……。
ジュースのヤケ飲みしてやるんだからなぁー! ミーちゃんこの気持ちわかってくれるよね!
「みぃ……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます