第一章 [狂乱舞]

第3話 [BerserkOratoria]


空から複数の円形状の降下ポッドが降る、そこへ駆け付ける澪達だがそれよりも速く近づいた者達がいた。


「ドラゴン1からドラゴンオール、これより降下ポッド迎撃作戦を開始する」


人型であるが腰に戦闘機のエンジンと主翼を付けたような外見の機体、Mark14ADSの飛行隊は降下ポッドを射程内へと収める。


青い制空迷彩で彩られており隊長機は頭部が赤く塗られている。


「ドラゴン5のレールガンでデカいポッドを破壊する、他は露払いだ、行くぞ!」


手持ち式のミサイルランチャーやマシンガンで降下ポッドに攻撃を仕掛ける、降下ポッドの数は全部で6個、内2つをミサイルで破壊したが大型の物を除き全て解放、中から火星軍のTLAが姿を現し両手に剣を構えていた。


「あれは?ジークフリッドか!」


敵機は全体的に細身だが尻にスカート状の安定翼、さらに大型のバーニアによる抜群の飛行能力を有していた、3機とも同型のようだが一機だけ肩に大型の盾を持っている。


「うろたえるな!空中戦ではこちらが…」


しかし所詮は旧式、MTSの無い彼らの機体は手足の付いた戦闘機に過ぎなく近づかれ無残にも切り裂かれていく。

そんな中味方に助けられながらも果敢に突撃する機体があった。

大型のレールガンを持つドラゴン5だった。


「せめて、あのデカいポッドを!」


ローレンツ力で打ち出された大型の弾頭はポッドへと真っ直ぐ飛んでいく、が盾を持った敵機がそれを弾く。

自身の機体よりも細く脆そうな機体の両肩に取って付けられたような盾に遮られた一撃、そのショックで思わず唖然とする。


「ぐああああああ!!」


仲間の悲鳴で現実へ戻される、上を見ると隊長機がコックピットへ剣を突き刺されていた。


12機居た部隊はもはや自身のみになっていた。

左手に持っているマシンガンを放つが剣で切り払われる、どんどん距離を詰められる。


至近距離で真正面、相手は剣を突き刺そうとする姿勢になった、この距離なら、そう思いレールガンを放つ。


スカート部へ直撃しバランスを崩し剣はコックピットの真横に突き刺さる。

しかしそのまま続いて左右の手を切られる。

敵機は相手の無力化を確認すると引いていった、大型のポットの護衛をしていただけのようだ。


ドラゴン5は脱出レバーを引きイジェクションシートで脱出、機体を放棄した。


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基地周辺の廃墟群を走る赤と白で彩られたファフニールストライクと黄色で塗装されたプロトタイプエイル

その後ろを15機程の暗い緑の重装甲の機体ドヴェルグが続く


「第102飛行中隊が全滅したのを確認した」


通信が聞こえ空を見てみる、3機のTLAと複数の爆発の後が見える。

落下している機体の残骸が何か射出するのが見える。


「イジェクトしたのか?」


「あんな機体で生き残るなんて、相当の運の持ち主だな・・・」


大型のポッドが逆噴射でスピードを落としている、護衛にいた3機の姿はもうない。


「護衛が離れる…爆弾かもしれん、各機下がれ!」


「爆弾だったら、もっとドンと落とすものじゃないのか?」


「…君は黙っていろ」


ポッドのカバー爆散ボルトで剥がれる。


………





最初に見た時はホイールみたいに丸まってたんだ


しかしソレは空中で回転しながら本来の姿を見せつけて来た。


まるで百足のようだったが少し違った、どっちかと言うと…




………


「…っ!」


大型の機体は地面に着地するとまるで生きているかのような動きをしている、兵器の動かす時だけ動くような物とは違う、辺りを見回して体をくねらせてる。


その外見、特に特徴的な腕を見てシャコのように見えた。


「不味いぞ…」


アインが震えた声で言う。


「全機散開しながら一斉射撃!」


その言葉と共に味方機が飛び上がる、プラズマの閃光や銃弾、ロケット弾がその大型機へと飛ぶ、俺も例外ではなく愛用のシャルフダート8連ミサイルを放つ。


しかしその大型機は見た目に似合わない、宙返りで装甲の厚い部分を活用し俺達の攻撃の殆どを無効化していた、着地するや否や猛烈なスピードで味方のドヴェルグ数機に僅か数秒もかからない速度で近づく


その特徴的な腕を音速で突き出しドヴェルグを吹き飛ばす、8機のドヴェルグで囲んだにもかかわらず一瞬で背後を取り踏みつぶし、吹き飛ばしている。


「澪!逃げるぞ!」


「逃げる!?何を言っているんだ!」


「アイツはジャゴだ、火星人のイカレた殺人マシーンだ!人間じゃ勝てない!」


馬鹿な、そう言い正面を向くとすぐそこに奴が居た、右手のパンチを回避するがすぐ側面へと不気味な程滑らかな速さで次の一撃を放ってくる。


左手にバトルソードを持ち受け流しながら一撃を探ろうとしたが、間違いだった。

パンチで剣は折れその衝撃で左手のフレームが悲鳴を上げている。

左手の義手とのリンクをしていなかったら反応出来なかった。


目の前にいたジャゴは味方の残りのドヴェルグ隊のロケット弾に反応して跳躍する。


するとドヴェルグ隊の元へ着地しその巨躯をもってしてドヴェルグ隊を秒殺していた。


怒り狂ったように周りの建築物を破壊して回っている。

ただその異常さを唖然と眺めていた。


「おい!澪!」


アインの声で目が覚める。


「何をしている!速く逃げるぞ!あいつを倒す為の作戦を立てなきゃならん!」


そう言われ機体を立たせ基地へと戻る。


_____________________________


奴からだいぶ離れたのでふと聞いてみる。


「あの機体…ジャゴって、何なんですか。」


「…聞きたいか?」


興味がないといえば嘘になる、あの異常な反応速度と跳躍力、機敏性。


「気になるんです。」


「…」


数秒間アインは沈黙するが、話し始めてくれた。


「あの機体はつい最近ようやくまともにコックピットを比較的いい状態で確保できたんだ」


「それまではずっと驚異的な大量破壊無人兵器なんて言われてた、奴一機で大都市は数秒で落ちる」


「そこまではまだ良かった、問題はコックピットだ」


コックピットならただ火星人が乗っているのでは、そう言おうとしたが次の言葉でそんな浅はかな考えが吹き飛ぶ


「中にはな、戻って来なかった地球軍兵士がいたんだよ」


「…」


「しかも体中弄られて、薬物で専用に調整されてな」



「これでわかっただろう!あの火星人共は俺ら全員モルモットとしてしか見てないんだ!」


その言葉に、俺は何を言えばいいのかわからなかった。



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機体解説


TLA-25 ドヴェルグ

ファフニールのフレームを元に全体的に重装甲にした物。

脚部や背中に大型スラスターを持っており見た目以上に動ける。

・武装

 A77 120mmライフル

 B65 4連装ロケットランチャー

P66 フルオートプラズマガン


Mark14ADS

Mark15Rと同じメーカー制の機体、空中戦に特化させた改良型であり降下ポッド迎撃に使われているがその数は減少し続けており今では後継機をファフニールをベースに開発中という噂だけが広がっている。

・武装

 C-14B  コンパクトカービン

 MG14B  マシンガン

 RC-14   陸戦用大型レールガン

AML24 ミサイルランチャー



TLA-XM99A ジークフリッド

火星軍の最新鋭フレーム、レディフレーム採用機。

次期主力として一部の火星騎士に配備されている。

・武装

 ジークソード


TLA-XM99C ジークガーター

ジークフリッドの両肩に大型シールドを搭載した物、レディフレームを用いた新型シリーズの試験機として用意された物とされる

武装はジークフリッドと共通。


XLA-45 ジャゴ

シャコのような外見の大型兵器

機体自体は火星のTLA開発メーカーM.A.R.S.が設計

その他搭乗者や運用コンセプトはレーナ・ゼクツェンが発案したとされている。

搭乗者は特殊な加工を受け薬物による調教や洗脳を施される。

敵味方見境なく攻撃してしまうのが難点だが非常に高い戦闘力を持つ。

・武装

 腕部ハンマー グロリィア

 頭部ブレード


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あとがき



今回は短めです。


うん、特に書くことない。


今回は火星軍のジャゴのお披露目回って感じなので、次回どうやって倒すのか、お楽しみに。


それでは。

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虚構のファフニール ヴァン=ガルム @Van15000

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