第42話「第二章」その28

「自衛隊南下中。間もなく尾頭橋高架橋に達します」

「機動隊には引き続き自衛隊のサポートを指示」

「了解」

 とらのあな名古屋店七階に設けられた愛知県警現地対策本部。ここでは対応の主導権を自衛隊に引き渡した後でも調整作業が続けられている。そして、

「警視庁よりー、市民団体側の情報発信源が判明したとー、連絡がー」

 現在自衛隊を追いかけている動物愛護団体・反自衛隊団体の行動を止めさせる手掛かりを掴もうとしていた。本来なら県警内部で行うべきであるが人員確保の面を考えて、警視庁のサイバーポリスに調査を委託している。

「情報は主にツイッターを媒介にしてー、拡散していますー」

 ツイッターとなるとある程度匿名性が存在し、個人の完全な特定は難しい。特定したところで何の手段も打てないこともある。

「金城、防御線の内側のマスコミ取材を条件付きで認めるよう自衛隊に打診しろ」

「しかし世論がどう転ぶかは──」

「警視庁機動隊に怪我人が出ています。一部公安のマーク対象も加わっているかと。報道があれば抑止力になります」

 三浦が報告した通り、純粋な市民運動に見えてもその中には過激派が混ざっている場合が少なくない。実際そのような人間が混じっていなきゃ怪我人が出る確率などないに等しい。マスコミの取材はそういった行動を控えさせるのに効果はあるが、一方取り締まりをしづらくする側面もある。

「現在取材しているのは?」

「AMBのみです。取材のみで中継は行っていない模様です。この局含め大抵の局はヘリから中継していますね」

「なるほど。なら自衛隊にその旨伝えるよう」

「了解っす。あ、そういえば笹島の方は作戦終了したと連絡が」

「ならそれを県庁や県警本部に」

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