第38話「第二章」その24
「藤田課長補佐、何とかなりそうですね」
「今はそんなこと言うな」
ささしまライブ駅コンコース、現地指揮本部(大阪指揮)。相変わらず忙しない状況であるが、一時期と比べれば落ち着いてはいた。しかし指揮本部長を務める藤田はまだ気を緩めない。
「弾薬の状況は」
予想はつくものの、それでも藤田は聞く。
「かなり消費しているそうです。場合によっては足りなくなるかもと」
楽観視した部下とは違う部下が答える。彼からしたら、決して「何とかなる」状況ではないのだ。
「補給は?」
「一応、名古屋指揮から県内の製造メーカーに緊急要請はしたそうですが、今回の事案には間に合いそうもありません」
日本で数少ない銃弾の製造工場が名古屋市の東に立地している。しかし強化地域外の工場であっても操業を自粛していたため、再立ち上げには時間がかかっていた。しかし事後の弾数不足を早期に解消するにはよい判断だと藤田は思っている。藤田は成瀬のその辺りを評価する。
「そりゃそうだ。──一応、自衛隊に連絡しておけ」
「しかし、自衛隊も使うんじゃ」
「予備弾倉は自衛隊の方が豊富だ。警察内で集めるより手っ取り早い。警察も八九(式小銃)はあるだろ?」
「大阪は持ってたはずですが」
『愛知SATワンより大阪指揮。補給完了、作戦を再開します』
無線が入り、藤田は無線卓に戻る。
「大阪指揮了解。ちなみに何処を狙えばいいか判ったか?」
『愛知SATワンより大阪指揮。撃破を最優先に行ったので不明です』
「なら今の状態だと壁が出来ているはずだから、色々と試して見つけてくれ」
『了解しました』
「以上交信終了」
再び、銃声が遠くから聞こえ始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます