第二章

第15話「第二章」その1

 金山駅北側にある金山バスターミナル。アスナル金山と一体的に整備されたここでは春日井駐屯地所属の陸上自衛隊第十後方支援連隊が野戦病院の設営をしていた。ただ万が一の撤退の際に放置できるよう、メインの設備が置かれるのはバスターミナル二階部分。一階には応急処置ができる設備と二階に運べなかった車両が配置された。また、自衛隊救急車も一階に配置されている。

 これが出来たのは別に政府が動いたからではない。災害派遣を弾力的に適用し警察機動隊の支援に回すことにした東海統合運用本部長のファインプレーだった。一般向け有料駐車場として営業されていた三階から上の部分は資材倉庫として運用し、形式上は前進拠点として整えてもいる。

「自衛隊からのご支援、心より感謝する」

 室伏機動隊第二中隊長は指揮権を成瀬対策本部長に移行したことに伴い、監視役を残し地上へ下りてきていた。

「いえ、本来は自衛隊が対処するべきものを押し付けているのですから」

「それでも、このような機転が利くとは」

 一方尾頭橋では。

「援軍の到着だ!」

 第一中隊長率いる応援部隊が両岸に分かれやって来ていた。

「水中への催涙弾発射による打撃で進行は食い止めていますが、その影響で一部個体が上陸しています!」

 指揮を執っていた第二中隊第一小隊長が報告。一緒に指揮権も移行する。

「了解。第三中隊から成る交代要員が派遣されるまで、ここは持たせる!」

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