第3話 店探し
リスタートにあたって、まず、やらなければならなかったことは「店探し」
入店先の店を決めるまでに、実は、少し時間がかかった。
その原因は、退店したソープランドも、店を探そうとしていたのも、同じススキノだったから。
ソープランド自体、ススキノの真ん中に位置しているため、
お水に戻ったとしても、偶然、客さんが来ないとも限らない。
そうなると、当然だが、そっち目的でくるお客も出てくる可能性がある。
それはとても面倒で、仕事がしづらい。
そのため、クラブ・ラウンジ・スナック系は難しいと判断し、キャバクラを選択。
色々アルバイト情報誌で調べ、その中から3件をピックアップし、面接をお願いした。
1軒目と2軒目は、雰囲気的にどうも自分と合わない感じがした。
そして3件目。
店の名前は「カーニバル IN フォーレ」
出来て2~3年目の若い店だった。
広めのエレベーターホールを抜けて、廊下を通り、店内へ・・・。
店内の入り口を抜けて、一番最初に目に入ってきたのは巨大なプロジェクター用のスクリーン。
1つのビル最上階のワンフロアだけにだだっ広かった。
時間はまだ営業前だったため、店内は明るく、所狭しと設置されたソファーとテーブル。
出勤してきた女の子もちらほらいて、賑やかな感じだった。
店内の雰囲気も嫌いじゃないし、女の子たちの雰囲気も悪くない。
ここなら働けそうな気がした。
でも障害が1つ。
働きたいからこそ、迷惑が掛からないように、
どうしても言わなければならないことがある。
そこで、面接時、面接官である常務という男性に
「実はつい最近までそこのソープに勤めていました。
だから、もしそのことを知っているお客さんがいた場合、
ご迷惑かかる場合もあるかもしれません。」
私がそう話すと、常務は
「でも、君はここで働きたいんだよね?なら働けばいいよ。」
そう笑顔で答えた。
その笑顔にちょっと救われたような気がした。
実は、前の2軒にも同じ話をしたのだが、
その時、2軒で担当した面接官はその話を聞いて、あまりいい顔をしなかったので、
3軒目も同じような感じなんだろうと思っていたのだが、常務は違った。
風俗に沈み、水商売には戻れないと覚悟していた部分もあっただけに、
常務の言葉を聞いた時、1つの光が見えた気がした。
この光を形に変えたい。
拾ってもらった恩を返したい。
そういう気持ちが生まれ、入店が決まったとき、常務にあることを宣言した。
「半年でこの店をNo1にして、退店します」
常務に拾ってもらった恩を返すために、私は覚悟を決め、腹をくくった。
「どんなことをしてでも、この店をグループNo1の有名店にする」
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